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診療報酬改定施設基準
2026年5月4日 · HIRO

疑義解釈その3を5分で把握|押さえるべき3論点(5/18届出・包括期・ベースアップ)

疑義解釈その3を5分で把握|押さえるべき3論点(5/18届出・包括期・ベースアップ)
# 疑義解釈# 2026年度改定# 施設基準届出# 包括期充実体制加算# ベースアップ評価料

目次

  1. 「全部読む時間がない」現場のための疑義解釈その3
  2. 疑義解釈(その3)の全体像 — 27問の構成
  3. 論点1:5月18日(月)までの届出推奨 — 窓口混雑回避の行政要請
  4. 論点2:包括期充実体制加算(A204-4)— 中小・療養型病院の取得可能性が広がった
  5. 論点3:ベースアップ評価料の実務簡素化(別添2 全6問)
  6. その他の重要解釈(後発医薬品・充実管理加算)
  7. よくある質問・間違い
  8. 今週のアクション
  9. まとめ

「全部読む時間がない」現場のための疑義解釈その3

2026年4月20日付で、厚生労働省保険局医療課から「疑義解釈資料の送付について(その3)」が発出されました。令和8年度(2026年度)診療報酬改定に関する正式な行政解釈の追加文書で、別添1〜5に分かれた合計27問が示されています。

しかし、実務担当の立場で「全文(医-1〜訪看-1の十数ページ)を通読してから自院対応を考える」時間は、5月の改定対応シーズンには現実的に取れません。本記事では、現場の実務インパクトが特に大きい3論点に絞って解説します。

  • 論点1:5月18日(月)までの届出推奨 — 窓口混雑回避の行政要請
  • 論点2:包括期充実体制加算(A204-4)— 中小・療養型病院の取得可能性が広がった
  • 論点3:ベースアップ評価料 — 法定福利費の概算・年度途中の取扱いが大幅簡素化

それぞれ自院に該当するかをこの記事で確認したうえで、必要箇所だけ原本PDFを参照する読み方をおすすめします。

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疑義解釈(その3)の全体像 — 27問の構成

5本立ての別添と問数

別添ごとの構成は次のとおりです。実務上まず確認すべきは別添1(医科)と別添2(ベースアップ評価料)です。

別添領域問数主なテーマ
別添1医科診療報酬点数表問1〜問10届出/包括期充実体制加算/病棟薬剤/後発医薬品/充実管理加算/こころの連携/結核IFN-γ/BRCA1・2
別添2看護職員処遇改善評価料・ベースアップ評価料問1〜問6法定福利費/公費・労災/年度途中の雇用退職/40歳到達/入院基本料減算
別添3歯科診療報酬点数表問1〜問6新製有床義歯管理料の「1装置」単位ほか
別添4調剤報酬点数表問1〜問4処方箋集中率の計算・地域支援体制加算ほか
別添5訪問看護療養費問1訪看領域の取扱い

「網羅一覧はないか」への答え(医科 問1)

別添1の問1では「令和8年度改定で新設・要件変更となった施設基準の網羅一覧はないか」という疑問に対し、答えは「同日4月20日付で発出された『施設基準届出チェックリスト』を参照」となっています。

実務としては、まず以下のチェックリストPDFをダウンロードして自院該当項目を洗い出すのが定石です。

『令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリストの送付について』(令和8年4月20日 厚生労働省保険局医療課事務連絡)

論点1:5月18日(月)までの届出推奨 — 窓口混雑回避の行政要請

別添1 医科 問2 の本文

別添1の問2はこう述べています(要約)。

令和8年6月診療分の施設基準の届出については、5月7日から6月1日まで地方厚生(支)局等で受け付けている。5月下旬以降は届出が集中して窓口混雑が予想されるため、可能な限り令和8年5月18日までの届出に努めること。ただし電子申請は令和8年5月25日から受付開始となるため留意すること。

「努めること」という表現で強制ではありませんが、行政側が混雑回避を求める明確なシグナルです。期限ぎりぎりに駆け込むと、不備があった場合の補正期間が確保できません。

5月18日(月)が推奨期限の最終日

2026年5月18日は月曜日です。地方厚生(支)局の窓口は通常開庁しているため当日の窓口提出も可能ですが、推奨期限当日に駆け込むと、不備があった場合の補正期間がほぼ取れません。前週後半(5月14日(木)・15日(金))のうちに書類を完成させ、5月18日(月)に窓口提出するスケジュールが現実的です。

また、電子申請は5月25日(月)開始で、受付期限の6月1日(月)までは実質1週間しかありません。電子申請に頼る予定の場合も、書類の事前準備は5月18日週までに完了させる運用が安全です。

実務スケジュールの整理

窓口持参・郵送・電子申請の3ルートと、行政が想定するスケジュールを整理すると次のとおりです。

提出方法受付期間推奨タイミング備考
窓口持参・郵送5月7日〜6月1日〜5月18日(月)5月19日以降は窓口混雑想定
電子申請5月25日〜6月1日開始日に提出開始期間が実質1週間で短い

施設基準届出と同時に、院内掲示・Web掲示の更新も6月1日施行に合わせて準備しておく必要があります。届出と掲示の不一致は適時調査での定番指摘事項のため、両輪で進めることが重要です。

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論点2:包括期充実体制加算(A204-4)— 中小・療養型病院の取得可能性が広がった

救急指定要件の例外取扱い(医科 問3)

令和8年度改定で新設された包括期充実体制加算(A204-4)は、施設基準1(4)アで「救急指定」を要件としています。しかし問3では、療養病床中心で地域事情により救急指定を受けられない医療機関にも例外運用を示しました。

具体的には、以下の3要件をすべて満たす場合、救急指定要件を満たすものとみなされます。

  1. A100一般病棟入院基本料を算定していない医療機関の療養病床であること
  2. その療養病床でA308-3 地域包括ケア病棟入院料を届け出ている病棟または病室であること
  3. 当該病棟・病室が告示第70号 第九の十一の二の(10)のイ又はロを満たし、かつ24時間救急患者を受け入れていること

地域に救急告示病院が存在し新たな救急指定を受けにくい中小病院でも、地域包括ケア病棟で実態として救急患者を受けていれば加算取得の道が開ける、という解釈です。

「特別の関係」にある介護施設からの入院は算入しない(医科 問4)

一方で問4では、加算要件への算入を厳格化する解釈も示されました。包括期充実体制加算には次の3つの算定実績要件があります。

  • 原則として3以上の介護保険施設等の協力医療機関として定められていること
  • 自宅等からの緊急入院患者の受入れが直近3か月で15人以上
  • 直近3か月の入院患者に占める、救急搬送後の患者および救急患者連携搬送料を算定された搬送患者の合計の割合が8分以上

これらいずれの要件についても、「特別の関係」にある介護保険施設や、当該施設からの入院患者は算入しないとされました。系列の介護施設をループさせて要件を作る運用は不可、を明示した解釈です。

自院チェックの3ステップ

包括期充実体制加算の取得を検討している中小病院では、次の順で確認することを推奨します。

  1. 自院の療養病床に地域包括ケア病棟を届け出ているか、24時間救急受入の実態があるか(問3の例外適用可否)
  2. 協力医療機関や緊急入院・救急搬送の集計から、「特別の関係」施設由来の患者を除外した実数を再計算する(問4の影響)
  3. 残る他の施設基準(基本診療料の施設基準等告示 第九の十一の二)を含め、6月診療分から算定可能か総合判定

判断に迷う場合は、地方厚生局へ事前相談するのが安全です。

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論点3:ベースアップ評価料の実務簡素化(別添2 全6問)

別添2は看護職員処遇改善評価料およびベースアップ評価料の取扱いをまとめた6問構成で、経理・労務実務を大きく簡素化する解釈が並びました。とくに以下の4点は早めに社内共有しておきたい内容です。

法定福利費は「最大16.5%概算」可(看べ 問1)

ベースアップ評価料の実績報告書において、賃金改善に伴い増加する法定福利費の額は、合理的方法に基づく概算で計算してよいとされ、概算の場合は最大16.5%を上限としてよいことが明示されました。

対象となる法定福利費は以下のとおりです。

  • 健康保険料(事業者負担増加分)
  • 介護保険料(事業者負担増加分)
  • 厚生年金保険料(事業者負担増加分)
  • 子ども・子育て拠出金
  • 雇用保険料(事業者負担増加分)
  • 労災保険料(事業者負担増加分)

一方で、退職手当共済制度の掛金や企業型確定拠出年金(DC)の掛金は含まれません。社会保険料率の正確な計算が難しい中小施設にとって、16.5%概算は実務上のメリットが大きい運用です。

なお、この解釈に伴い、令和4年9月5日付「看護職員処遇改善評価料の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」 別添 問19 および 令和6年3月28日付「疑義解釈資料の送付について(その1)」 別添2 問17 は廃止となります。過去の解釈を引いていた院内マニュアル・社労士マニュアルは更新が必要です。

公費負担医療・労災患者も区分計算に算入(看べ 問2)

看護職員処遇改善評価料、外来・在宅ベースアップ評価料(II)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(II)、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料(II)の区分計算において、医療観察法制度等の公費負担医療や労災保険制度等で診療報酬点数表に従ってベースアップ評価料が算定される患者の診療回数も算入するとされました。

ただし自由診療の患者は料金の定め方にかかわらず算入しない点には注意が必要です。医療保険分とこれらの制度分を合算した額を、対象職員の賃金改善に充当する設計となります。これに伴い、令和6年3月28日付「疑義解釈資料の送付について(その1)」 別添2 問24 は廃止です。

年度途中の雇用・退職、40歳到達者の取扱い(看べ 問4・問5)

人事異動が頻繁に発生する施設にとって実務上の頻出論点です。問4・問5の解釈を整理すると次のとおりです。

論点取扱い
年度途中で雇用した対象職員雇用月以降を対象職員として取扱って差し支えない
年度途中で退職した対象職員退職月までを対象職員として取扱って差し支えない
対象職員数の1割以上の変動算出した月内に地方厚生(支)局長へ届出、翌月から変更後区分の点数を算定
算定期間中に40歳となる医師・歯科医師・保険薬局勤務薬剤師賃金支払対象月の初日時点で40歳未満であれば対象職員として取扱う

40歳到達の判定基準が「賃金支払対象月の初日」と明文化されたことで、月途中の誕生日があっても当月は対象に含めて運用できます。

入院ベースアップ評価料を「6月以降届出しない」場合のペナルティはない(看べ 問6)

問6は実務上の安心材料となる解釈です。

令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料を算定していた医療機関が、令和8年6月以降に入院ベースアップ評価料の届出を行わない場合、入院基本料等の減算対象とはならない。

医科点数表第1章第2部通則第11号、歯科点数表第1章第2部入院料等通則第9号に規定する入院基本料等の減算は、3月時点で算定中で6月以降不継続というパターンには適用されない、と明示されました。

6月以降の継続可否を内部で再検討中の施設は、算定停止=減算ペナルティ発動ではないことを前提に判断できます。

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その他の重要解釈(後発医薬品・充実管理加算)

後発医薬品使用体制加算 5月届出時のカットオフ値(医科 問6)

令和8年度改定の内容を適用する前の後発医薬品使用体制加算等の届出は、前月までの実績を用いるのが原則です。しかし令和8年5月1日に「5月に適用する」届出を行う場合、4月実績は新ルール移行月で参考値とならないため、カットオフ値の算出は令和8年3月までの実績を用い、4月実績は用いない経過措置が示されました。

充実管理加算の経過措置(医科 問7)

生活習慣病管理料(I)(II)に付随する充実管理加算の経過措置(令和9年3月31日まで適用される様式7の11関連)について、令和8年3月31日時点で外来データ提出加算を算定している必要はないと明確化されました。

令和8年4月1日から外来データ提出加算を算定できるよう、試行データが適切に提出されているとして厚生労働省保険局医療課から通知を受け、令和8年3月31日までに様式7の11の届出を行い地方厚生局への手続を終えていれば、経過措置の対象となります。3月時点の算定実績は不要、という運用です。

よくある質問・間違い

Q1. 「栄養管理/リハ栄養口腔連携加算/回復期リハ病棟」の解釈はその3に載っていますか?

A. その3には収載されていません。これらの論点は別途発出された疑義解釈(その4)2026年4月21日付に収載されている見込みです。その3単独のスコープは別添1〜5の27問であり、栄養・リハ系FAQはその4を別途参照してください。

Q2. 5月18日までに届出が間に合わない場合はどうなりますか?

A. 「努めること」という表現のため強制ではなく、6月1日までに届出すれば6月診療分の算定は可能です。ただし5月下旬は窓口混雑が見込まれるため、不備による補正対応の余裕がなくなるリスクが高まります。電子申請(5月25日開始)を併用することも検討してください。

Q3. 包括期充実体制加算の「特別の関係」とは具体的にどの範囲ですか?

A. 「特別の関係」の定義は診療報酬点数表通則の従来定義(開設者・代表者・株主等の重複や関連法人関係)に従います。系列の介護老人保健施設・介護医療院などからの入院患者は問4により算入不可となるため、自院の協力医療機関契約・搬送実績の集計時に該当施設由来の患者を除外する作業が必要です。判断に迷う場合は地方厚生局に確認することを推奨します。

Q4. ベースアップ評価料の法定福利費「16.5%概算」はどう使うのですか?

A. 賃金改善総額に16.5%を乗じた金額を「賃金改善に伴い増加する法定福利費」として実績報告書に計上できる、という運用です。社会保険料率を職員ごとに正確計算するのが難しい場合の簡便法で、退職手当共済掛金・企業型DC掛金は含まないため、これらが大きい施設では正確計算と概算のいずれが有利か比較検討する余地があります。

Q5. 過去の疑義解釈はどれが廃止になりましたか?

A. その3 別添2 問1・問2 で明示された3つの過去事務連絡(の特定問)が廃止です。

  • 令和4年9月5日付「看護職員処遇改善評価料の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」 別添 問19(→ 法定福利費の範囲)
  • 令和6年3月28日付「疑義解釈資料の送付について(その1)」 別添2 問17(→ 法定福利費の範囲)
  • 令和6年3月28日付「疑義解釈資料の送付について(その1)」 別添2 問24(→ 公費・労災患者の算入)

いずれも令和8年度改定とは別シリーズの過去事務連絡です。令和8年度改定の疑義解釈(その1:令和8年3月23日付)・(その2:令和8年4月1日付)は本記事時点で廃止対象ではなく、引き続き有効です。院内マニュアル更新時は廃止された3問だけを差し替えてください。

今週のアクション

本記事の3論点を踏まえ、今週中(5月第2週まで)に着手すべきアクションを整理します。

  1. 施設基準届出チェックリスト(260421_3.pdf)の自院該当項目洗い出し — 別添1問1の答に基づく定石作業
  2. 5月18日(月)の窓口提出を見据えた書類完成スケジュール — 前週後半(5/14・5/15)までに書類完成、5/18(月)に窓口提出
  3. 包括期充実体制加算の取得可否判定 — 問3例外要件・問4「特別の関係」除外を反映
  4. ベースアップ評価料の社内マニュアル更新 — 法定福利費16.5%概算・年度途中取扱い・廃止された旧問の反映
  5. 院内掲示・Web掲示の6月1日施行同期準備 — 届出と掲示の不一致は適時調査での定番指摘事項

まとめ

疑義解釈(その3)2026年4月20日付は、別添1〜5の合計27問という分量ですが、実務インパクトが特に大きいのは以下の3論点です。

  • 論点1:5月18日(月)までの届出推奨と、5月25日(月)開始の電子申請という2軸スケジュール
  • 論点2:包括期充実体制加算の救急要件例外(療養病床+地域包括ケア病棟+24時間救急受入)と「特別の関係」施設の算入不可
  • 論点3:ベースアップ評価料の法定福利費16.5%概算可・年度途中取扱い・入院基本料減算の不適用明確化

5月の届出シーズンは時間との戦いです。本記事の3論点だけでも自院に該当する箇所がないかを確認し、該当する論点だけ原本PDFを参照する読み方で、限られた時間を有効に使ってください。

掲示義務のWeb対応についてお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

参考資料

  • 疑義解釈資料の送付について(その3)(PDF) — 厚生労働省保険局医療課
  • 令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリストの送付について(PDF) — 厚生労働省保険局医療課
  • 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号) — 厚生労働省保険局医療課(点数表本体の留意事項通知。疑義解釈その3 鑑文で参照)
  • 令和8年度診療報酬改定について — 厚生労働省
  • 診療報酬の算定方法等に関する疑義解釈について(一覧) — 九州厚生局
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

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