5/18までの届出が要請される根拠
疑義解釈(その3)が示す前倒し要請
期限の根拠は、厚生労働省保険局医療課が 2026年4月20日付で発出した事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その3)」(地方厚生(支)局医療課宛)です。同事務連絡の前書きで「5月下旬以降は届出が集中し混雑が予想されるため、可能な限り『本年(2026年)5月18日まで』に届け出るよう努めて」と明記されています。
法令上の絶対期限ではなく、受付窓口の現実的な処理キャパに対応するための要請 です。土日が休庁となるため、5月29日(金)が5月の最終開庁日となり、この日までに受理されないと6月1日からの算定開始ができません。直前駆け込みは受理遅延のリスクが高いため、5/18までの提出が現実的な目安 となります(厚生局・施設の混雑状況によって余裕は変動します)。
紙申請と電子申請のスケジュール
| 区分 | 受付期間 | 備考 |
|---|
| 紙申請 | 2026/5/7(木)〜6/1(月) | 5/18までの提出が推奨 |
| 電子申請 | 2026/5/25(月)開始 | 6/1算定には5/29受理が必要 |
算定開始日のルール は全厚生局共通で、月末までに受理した届出は翌月1日から、月の最初の開庁日に受理した場合のみ当該月1日から算定可能です(関東信越厚生局東京事務所Q&Aほか)。6/1算定開始のためには、遅くとも 2026年5月29日(金)までの受理 が必要になります。
4/20公表のチェックリストで自院の届出を可視化する
厚労省は同じ4月20日付で 「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリストの送付について」 という別系統の事務連絡を発出し、5区分のチェックリストを公表しました。
原則Excel形式で配布され、医療機関側で自院に必要な届出を可視化するために活用するもの。届出時の同チェックリスト提出は不要。
事務長としての推奨運用は、施設区分のExcelをダウンロードし、「現在算定中の項目」「新設・要件変更で対応が必要な項目」「経過措置で猶予される項目」 の3列に色分けして整理することです。掲示文言の改修対象が一目で分かるようになります。
届出後にやるべき掲示の同期更新
Web掲示の対象は5項目
掲示義務の根拠通知は 保医発0327第6号(令和8年3月27日)「『療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等』及び『保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等』の実施上の留意事項について」 です。院内掲示に加えてWebサイト掲載が必要な項目は次の5つです。
- 保険医療機関である旨
- 入院基本料に関する事項
- 厚生局へ届け出た事項(各種施設基準)
- 明細書の発行状況に関する事項
- 保険外負担に関する事項(差額ベッド代、選定療養等)
自ら管理するウェブサイトを有しない保険医療機関等については、院内掲示・書面掲示のみで足りる(保医発0327第6号 第1掲示事項 補足項)。
ただし通知本体では「自院管理サイト」の細かな定義までは規定されていません。外部委託 CMS であっても自院が編集権・公表内容のコントロール権を持っていれば対象になると整理する解説が一般的ですが、判断に迷う場合は所管の地方厚生(支)局にご確認ください。第三者の掲示サービスを利用する場合も、同要件を満たすかたちで運用するのが安全です。
更新タイミングは「算定開始日(6/1)」を基準にする
「届出受理から何日以内に掲示せよ」という明文規定は、厚労省・厚生局の通知では確認できません。明文規定はなく、各厚生局 Q&A や業界解説でも 「算定開始日(6/1)に合わせて院内掲示・Web掲示を揃える」 運用が広く案内されています。
おすすめのフローは次の通りです。
- 届出受理日に下書き作成 — 受理通知が届いた段階で、新文言の下書きをWeb・印刷物の両方で準備
- 5/29(金)〜5/31(日)の間にプレビュー確認 — 院長・事務長で文言の最終確認
- 6/1の0時または始業時に切替公開 — Webは予約公開、院内掲示は当日朝に貼り替え

2026年度改定で文言書き換えが必要な代表項目
令和8年度改定では「医療DX推進体制整備加算」「医療情報取得加算」が廃止され、新たに 電子的診療情報連携体制整備加算 が新設されました。点数は(厚労省・中医協公表資料による整理で)初診時 加算1=15点/加算2=9点/加算3=4点(いずれも月1回算定)、再診時2点(月1回算定)、入院 加算1=160点/加算2=80点(入院初日)です。要件は電子処方箋対応・電子カルテ情報共有サービス参加・サイバーセキュリティ対策(バックアップの多重化・BCP訓練の定期実施 など)が含まれます。最終的な点数・要件は 「令和8年度診療報酬改定の概要」 および各加算の留意事項通知で確認してください。
旧加算名で掲示している施設は、6/1までに加算名・点数・要件の3点すべてを書き換え が必要です。
適時調査で実際に指摘されている「届出と掲示の不一致」
近畿厚生局・東海北陸厚生局・東北厚生局がそれぞれ年度版で公開している「適時調査における主な指摘事項」を見ると、以下のパターンが繰り返し言及されています。
頻出指摘パターン(厚生局公表資料・関連解説より整理)
個別の文言や該当性は所管厚生局の最新版資料で確認してください。各厚生局によって取り上げ方や記述粒度は異なります。
看護配置・夜勤時間は実態と揃える
特に入院基本料を算定する施設では、看護配置等における看護要員の数、月平均夜勤時間数、72時間ルールの遵守状況、当直医師数と勤務実績表の整合が頻出指摘です。掲示物には「届出時点の看護配置」が記載されますが、退職・配置変更で実態が乖離した場合は 掲示の差し替えが必要 になります。
個別事案の判断(指摘該当の可否や届出可否の断定)が必要な場合は、所管の地方厚生(支)局までお問い合わせください。
6月以降に控える経過措置の落とし穴
「今すぐやる」と「あとでよい」を切り分けないと、5/18期限に向けたリソースが分散します。代表的な経過措置を表にまとめます。
在支診・在支病および電子カルテ情報共有サービス参加要件の経過措置期限は、最新版「令和8年度診療報酬改定の概要 16. 経過措置」で必ず確認してください。本表の「見込み」は本記事執筆時点(2026年4月時点)の整理です。
機能強化加算のBCPは「既届出のみ」が落とし穴
機能強化加算の施設基準には「BCP(業務継続計画)策定と定期的な見直し体制」が新たに追加されました。令和8年3月31日において現に機能強化加算の届出を行っている保険医療機関は、令和9年5月31日までの間に限り当該基準に該当するものとみなす ものの、新規届出時は経過措置の適用外 で、届出時点でBCP策定済みである必要があります。
つまり「とりあえず6月から機能強化加算を新規届出して、BCPは来年までに整える」は通りません。新規取得の際は要件適合済みの状態で届出書類を提出する点に注意してください。
電子カルテ情報共有サービス参加要件は段階的延長
電子的診療情報連携体制整備加算の電子カルテ情報共有サービス参加要件は、前身の医療DX推進体制整備加算で2025年9月30日 → 2026年5月31日 → 令和9年5月31日と段階的に延長されてきました。最新の正確な期限は 「令和8年度診療報酬改定の概要 16. 経過措置」 で再確認すべきです。
まとめ:5/18から逆算したToDoリスト
最後に、この記事の内容を逆算スケジュールに落としました。
- 〜5/2(GW前): チェックリストExcel(自院区分)をダウンロードし、「現状」「新設・要件変更」「経過措置」を色分け
- 5/7〜5/18: 紙申請を提出(5/18が事実上の締切)。同時に新文言の下書きをWeb・印刷物で準備
- 5/25〜5/29: 電子申請対応分を提出。受理通知の到着確認
- 5/29〜5/31: 院内掲示・Web掲示のプレビュー最終確認
- 6/1: 切替公開・貼り替え。算定開始
- 6月中: 経過措置該当項目(機能強化加算BCP、電子カルテ情報共有サービス参加など)の対応計画策定
5/18は要請ベースですが、5/29受理の絶対期限から逆算すると、紙申請で安全圏を確保するなら5/18までに動かすのが現実解です。掲示文言の書き換えは届出と並行して進めると、6/1当日のドタバタを最小化できます。
掲示義務のWeb対応についてお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
参考資料