医療DX推進体制整備加算は2026年6月に廃止へ|新加算の掲示要件を解説

医療DX推進体制整備加算とは
医療DX推進体制整備加算は、令和6年度(2024年度)の診療報酬改定で新設された加算です。オンライン資格確認やマイナ保険証の活用、電子処方箋への対応など、医療のデジタル化に積極的に取り組む医療機関を評価するものとして導入されました。
この加算を算定するためには、施設基準を満たした上で、その内容を院内に掲示し、ウェブサイトにも掲載することが求められています。
しかし、2026年6月の令和8年度診療報酬改定で、この加算は廃止されます。代わりに新設される「電子的診療情報連携体制整備加算」に移行するため、現在算定中の医療機関は対応が必要です。
2026年6月から「電子的診療情報連携体制整備加算」に移行
何が変わるのか — 2つの加算が1つに統合
令和8年度改定では、以下の2つの加算が廃止されます。
- 医療DX推進体制整備加算(令和6年度新設)
- 医療情報取得加算(令和6年度新設)
これらを統合・再編し、新たに「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されます。さらに、入院においてはサイバーセキュリティ対策の要件も加わり、診療録管理体制加算の再編も行われます。
名称変更の背景 — 「体制整備」から「利用実績」へ
名称が変わるだけではありません。評価の軸そのものが大きく変わります。
| 現行(〜2026年5月) | 新加算(2026年6月〜) | |
|---|---|---|
| 加算名 | 医療DX推進体制整備加算 | 電子的診療情報連携体制整備加算 |
| 評価の軸 | 体制を「整備」しているか | 実際に「利用」しているか |
| マイナ保険証 | 利用率の段階的引き上げ | 30%以上(レセプト件数ベース) |
| 電子処方箋 | 体制整備が要件 | 対応状況で点数が変動 |
| 電子カルテ情報共有 | 経過措置あり | 活用実績で最上位区分に |
「体制を整えていること」ではなく、「実際に使っていること」が評価される時代になります。
電子的診療情報連携体制整備加算の点数と区分

外来(初診・再診)
| 区分 | 初診時 | 再診時 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| 加算1 | 15点 | 2点(月1回) | 電子処方箋+電子カルテ情報共有サービスの活用実績あり |
| 加算2 | 9点 | 2点(月1回) | 電子処方箋または電子カルテ情報共有サービスのいずれかの体制あり |
| 加算3 | 4点 | 2点(月1回) | オンライン資格確認の体制あり |
現行の医療DX推進体制整備加算は加算1〜6の6区分(医科:初診時8〜12点、歯科:6〜11点、調剤:6〜10点)でしたが、新加算では3区分に整理され、最上位の加算1は医科15点と大幅に引き上げられています。
入院
| 区分 | 点数 | 算定タイミング |
|---|---|---|
| 加算1 | 160点 | 入院初日に1回 |
| 加算2 | 80点 | 入院初日に1回 |
入院の加算では、サイバーセキュリティ対策の要件が新たに加わります。加算1は「十分な対策」、加算2は「必要な対策」が求められます。
歯科(電子的歯科診療情報連携体制整備加算)
歯科では「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」として別の加算が新設されます。
| 区分 | 初診時 | 再診時 |
|---|---|---|
| 加算1 | 9点 | 2点(月1回) |
| 加算2 | 4点 | 2点(月1回) |
調剤(電子的調剤情報連携体制整備加算)
薬局では「電子的調剤情報連携体制整備加算」が新設されます。
| 区分 | 点数 | 算定タイミング |
|---|---|---|
| 電子的調剤情報連携体制整備加算 | 8点 | 調剤基本料(月1回) |
施設基準の要件一覧
基本要件(全区分共通)
以下は、加算1〜3のすべてに共通する基本要件です。
- オンライン請求を行っていること
- オンライン資格確認の体制が整備されていること
- 医師等がオンライン資格確認等システムにより取得した診療情報を診察室等で閲覧・活用できる体制があること
- マイナ保険証の利用率が30%以上であること(算定月の3か月前のレセプト件数ベース)
- 医療DX推進の体制に関する事項等を院内に掲示し、ウェブサイトにも掲載していること
- 明細書を無料で交付する体制があること
加算1・2・3の違い
| 要件 | 加算1 | 加算2 | 加算3 |
|---|---|---|---|
| オンライン資格確認 | 必須 | 必須 | 必須 |
| マイナ保険証利用率30%以上 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 電子処方箋の発行体制 | 必須(実績あり) | 必須(体制あり) | 不要 |
| 電子カルテ情報共有サービス | 必須(活用実績あり) | 不要 | 不要 |
| 院内掲示・Web掲載 | 必須 | 必須 | 必須 |
加算1を算定するには、電子処方箋の発行実績と電子カルテ情報共有サービスの活用実績の両方が必要です。
掲示義務・ウェブサイト掲載の具体的内容

院内に掲示すべき事項
電子的診療情報連携体制整備加算を算定する医療機関は、以下の事項を院内の見やすい場所に掲示する必要があります。
- オンライン資格確認等システムにより取得した診療情報等を活用して診療を実施していること
- マイナ保険証の利用を促進するなど、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいること
- 明細書を患者に無料で交付していること
ウェブサイトに掲載すべき事項
院内に掲示している内容と同じ事項を、医療機関のウェブサイト(ホームページ等)にも掲載する必要があります。
自らが管理するウェブサイトを持っていない場合は、院内掲示のみでも可とされていますが、今後はウェブサイトでの情報公開が標準的に求められる流れです。
加算1の場合の追加掲示
加算1を算定する医療機関は、上記に加えて以下の掲示も必要です。
- 電子カルテ情報共有サービスに参加していること
- 実際に患者情報を共有している連携先医療機関の名称
移行に向けて医療機関がやるべきこと
届出の確認
2026年6月の改定施行に向けて、現在「医療DX推進体制整備加算」を算定中の医療機関は、新たに「電子的診療情報連携体制整備加算」の届出が必要になります。届出期限や手続きの詳細は、各地方厚生局のウェブサイトで確認してください。
届出に関する最新情報は、九州厚生局の医療DX推進体制整備加算に係る届出ページなどで確認できます。
掲示内容の更新
加算の名称が変わるため、院内掲示物とウェブサイトの掲載内容の更新が必要です。特に以下の点に注意してください。
- 「医療DX推進体制整備加算」の名称で掲示している場合は、新加算の名称に更新する
- 加算1を算定する場合は、電子カルテ情報共有サービスに関する掲示を追加する
- 明細書の無料交付に関する掲示が漏れていないか確認する
マイナ保険証利用率30%の確認
新加算では、全区分共通でマイナ保険証の利用率がレセプト件数ベースで30%以上であることが求められます。
現行の医療DX推進体制整備加算では段階的に利用率基準が引き上げられてきましたが、新加算では30%で統一されます。自院の利用率を確認し、基準を下回る場合はマイナ保険証の利用促進に取り組む必要があります。
まとめ
2026年6月の診療報酬改定で、医療DX推進体制整備加算は廃止され、電子的診療情報連携体制整備加算に移行します。主な変更点をまとめます。
- 「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」が廃止され、1つの加算に統合
- 評価の軸が「体制整備」から「利用実績」にシフト
- 医科の初診時は加算1(15点)・加算2(9点)・加算3(4点)の3区分
- 歯科は電子的歯科診療情報連携体制整備加算(9点/4点)、薬局は電子的調剤情報連携体制整備加算(8点)として別途新設
- 掲示義務は継続 — 院内とウェブサイトの両方に掲載が必要
- マイナ保険証利用率はレセプト件数ベースで30%以上が全区分共通の要件
- 入院加算ではサイバーセキュリティ対策が新たに要件化
改定の施行日までに、届出の準備と掲示内容の更新を進めておきましょう。
掲示義務のWeb対応についてお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
- 医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて(PDF) — 厚生労働省保険局医療課
- 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて(PDF) — 中医協 総会資料
- 医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直し(PDF) — 厚生労働省
- 医療DX推進体制整備加算の見直し・令和7年10月以降(PDF) — 厚生労働省
- 医療DX推進体制整備加算等に係る届出について — 九州厚生局