在宅医療情報連携加算の施設基準と掲示要件|ICT活用の要件を解説

在宅医療における多職種間の情報連携を評価する在宅医療情報連携加算は、令和6年度(2024年度)診療報酬改定で新設された加算です。ICTを活用して連携機関と診療情報を共有している医療機関が算定できます。
この記事では、在宅医療情報連携加算の点数・施設基準・掲示義務について、厚生労働省の通知をもとに解説します。
在宅医療情報連携加算とは
在宅医療情報連携加算は、在宅での療養を行っている患者の診療情報等を、ICTを用いて連携機関と共有し、その情報を活用して計画的な医学管理を行った場合に算定できる加算です。
ここでいう「連携機関」とは、以下を含む幅広い事業者を指します。
- 他の保険医療機関
- 居宅サービス事業者(訪問介護、通所介護等)
- 地域密着型サービス事業者
- 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)
- 施設サービス事業者
- 指定特定相談支援事業者・指定障害児相談支援事業者
医療機関だけでなく、介護・福祉の事業者との連携も対象になっている点が特徴です。
点数と算定要件
点数
100点(月1回)
算定対象
在宅時医学総合管理料(施設入居時等医学総合管理料を含む)を算定する患者に対して加算します。
ICTを活用して連携機関が記録した患者の診療情報等を活用した上で、計画的な医学管理を行った場合に算定可能です。
在宅療養支援診療所について詳しくは、

在宅療養支援診療所(在支診)の施設基準と掲示要件を解説
在宅療養支援診療所(在支診)の施設基準・3つの区分(機能強化型単独・連携・一般)の違い・掲示要件を厚生労働省の通知をもとに解説。24時間体制や看取り実績の要件、届出方法をまとめました。
をご覧ください。

施設基準の要件
在宅医療情報連携加算の施設基準は、以下の(1)〜(6)全てを満たす必要があります。
(1) ICTによる情報共有体制
連携機関とICTを用いて患者の診療情報等を共有し、当該情報について常に確認できる体制を有していること。
(2) ICT体制の具体的要件(7項目)
(1)の体制は、以下の全てを満たすこと。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| ア:サーバー管理 | 患者の診療情報等は、連携機関の協議に基づき一元的に管理されたサーバーで保管 |
| イ:患者同意 | 患者が同意した者のみが、ICTを用いて情報を共有 |
| ウ:参加者設定 | 参加者の範囲を随時設定可能 |
| エ:常時閲覧 | 参加者が保管された情報を常時、閲覧・取得可能。時系列で速やかに表示されるICTを使用 |
| オ:情報共有 | 参加者が常時、必要な診療情報等を共有可能。画像・映像の共有機能を有するICTが望ましい |
| カ:SNS注意 | HISPRO「医療情報連携において、SNSを利用する際に気を付けるべき事項」を参考 |
| キ:セキュリティ | 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を参考に安全な通信環境を確保 |
(3) 連携機関の数
患者の診療情報等を共有している連携機関(特別の関係にあるものを除く)の数が5以上であること。
(4) 地域への開放性
連携機関以外の保険医療機関等が連携体制への参加を希望した場合には、取り決めに基づき連携体制を構築すること(地域で同一の連携体制を構築することが望ましい)。
(5) 掲示義務(院内掲示)
連携体制を構築していること及び実際に患者の情報を共有している実績のある連携機関の名称等について、保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
(6) ウェブサイトへの掲載
(5)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではありません。
ICT共有体制の具体例
施設基準で求められるICT体制を具体的に説明します。
利用できるICTツールの例
一元管理されたサーバーで保管され、常時閲覧・画像共有が可能なICTとして、以下のようなサービスが想定されます。
- 医療介護専用SNS(MedicalCareStation、カナミックネットワーク等)
- 多職種連携プラットフォーム
- 地域医療情報連携システム
注意点
- LINEやFacebookなどの一般的なSNSは推奨されていません(HISPROのガイドラインを参考にすること)
- メールやFAXでの情報共有はICTによる「常時確認できる体制」に該当しません
- 患者の同意を得た上でのみ情報共有を行うこと
掲示義務の内容
在宅医療情報連携加算の掲示義務は、他の施設基準と比べて具体的な内容が求められています。
掲示すべき内容
- ICTを用いた連携体制を構築していること
- 実際に患者の情報を共有している実績のある連携機関の名称
院内掲示
保険医療機関の見やすい場所に掲示すること。
ウェブサイトへの掲載
掲示事項は、原則としてウェブサイトにも掲載すること(自ら管理するホームページ等を有しない場合はこの限りではありません)。
掲示文例
在宅医療情報連携体制に関するお知らせ
当院は、ICTを活用して以下の連携機関と患者様の診療情報等を共有し、質の高い在宅医療の提供に取り組んでおります。
【連携機関一覧】
- ○○訪問看護ステーション
- ○○薬局
- ○○居宅介護支援事業所
- ○○病院
- ○○訪問介護ステーション
※情報の共有は患者様の同意を得た上で行っております。
○○クリニック
届出方法
在宅医療情報連携加算の施設基準に係る届出は、別添2の様式19の3を用います。届出先は、所在地を管轄する地方厚生局です。
なお、在支診の施設基準では在宅医療情報連携加算に係る届出を行っていることが要件の一つとされています(機能強化型の場合)。
まとめ
在宅医療情報連携加算は、ICTを活用した多職種間の情報連携を評価する加算です。
- 100点(月1回)、在宅時医学総合管理料の算定患者が対象
- ICTで連携機関と診療情報を常時共有する体制が必要
- 連携機関は医療機関だけでなく介護・福祉事業者も含む
- 連携機関の数は5以上(特別の関係を除く)
- ICTは一元管理サーバー・患者同意・常時閲覧・画像共有の要件を満たすこと
- 掲示義務:連携体制の構築+連携機関名称を院内掲示+ウェブサイト掲載(原則)
- 届出:様式19の3
在宅医療のICT化が進む中で、この加算は多職種連携の質を高めるインセンティブとなります。まずは連携機関5か所以上との情報共有体制を構築し、届出を検討しましょう。
掲示義務のWeb対応についてお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
- 令和8年度診療報酬改定について — 厚生労働省
- 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて — 厚生労働省保険局医療課
- 医科診療報酬点数表(令和8年厚生労働省告示第69号) — 厚生労働省
