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2026年5月20日 · HIRO

2026年2月の病院患者数はコロナ前未回復、新地域医療構想と再編・集約化議論にどう向き合うか

2026年2月の病院患者数はコロナ前未回復、新地域医療構想と再編・集約化議論にどう向き合うか
# 病院報告# 新地域医療構想# 再編集約化# 外来患者減# コロナ禍

目次

  1. 「コロナ前に戻らない」病院患者数と、もう動き始めた「新地域医療構想」
  2. 1. 2026 年 2 月病院報告:何が起きたか
  3. 2. 「コロナ前未回復」の意味:戻らない外来 12.8%
  4. 3. 新地域医療構想とは何か:2027 年度から順次開始、2028 年度までに機能決定
  5. 4. 再編・集約化の議論主体:誰がいつ動くのか
  6. 5. 経営・地域医療への影響(短期・中期・長期)
  7. 6. 掲示ナビ視点:届出と掲示の整合性は「中長期」で問われる
  8. 7. 5 月以降のアクションプラン
  9. 8. まとめ
  10. 参考文献

「コロナ前に戻らない」病院患者数と、もう動き始めた「新地域医療構想」

2026 年 5 月 15 日、厚生労働省「病院報告(令和 8 年 2 月分概数)」が公表された。1 日あたりの外来患者数は約 117.7 万人で、コロナ前(2019 年 2 月)比で 12.8% 減。入院も 1 日 116.4 万人で 8.3% 減。コロナ禍から 6 年経っても、病院の患者数は元の水準に戻らないまま「定常化」している。

一方で、新たな地域医療構想(新地域医療構想)は、2027 年度から順次開始され、2028 年度までに全病院が「急性期拠点機能」「高齢者救急・地域急性期機能」などのどれを担うかを決定・明確化する方向で動き出している。急性期拠点機能病院は、人口 20〜30 万人に 1 か所を目安に選定される設計だ。

この記事では、

  • 「2026 年 2 月の病院報告」の数字が何を示しているのか
  • 新地域医療構想・再編・集約化の議論が、いつ・誰の手で動くのか
  • そこに掲示ナビ視点で「届出と掲示の整合性」がどう関わるか

を、中規模〜大規模病院の経営層・診療所オーナーの目線で整理する。

1. 2026 年 2 月病院報告:何が起きたか

厚生労働省の「病院報告」は、全国の病院(および療養病床を持つ診療所)の患者数・在院日数・病床利用率を毎月概数で把握する基幹統計である。今回公表された令和 8(2026)年 2 月分概数の主な数字は次のとおり。

区分1 日あたり患者数前年同月比2019 年同月比(コロナ前)
入院患者(全体)116 万 3,667 人-0.6%-8.3%
外来患者(全体)117 万 6,623 人-0.5%-12.8%
うち一般病床 入院68 万 984 人-0.5%-3.8%

そのほか、一般病床の平均在院日数は 15.7 日(対前月比 0.4 日短縮、前年同月比でも 0.3 日短縮)、月末病床利用率は 73.1%(対前月比 1.6 ポイント低下、前年同月比では 3.0 ポイント低下)と、いずれも傾向としては縮小方向に動いている。

数字の出典は、厚生労働省「病院報告(令和 8(2026)年 2 月分概数)」(2026 年 5 月 15 日公表)と、これを報じた GemMed(2026 年 5 月 19 日)、CB News(2026 年 5 月 19 日)。

ポイントは次の 3 点。

  1. 入院・外来ともに前年同月比で微減(横ばいに近い)
  2. 2019 年(コロナ前)比では入院 -8.3%、外来 -12.8% と差が大きい
  3. 一般病床の在院日数は短縮、病床利用率は低下

「コロナで一時的に減って戻る」のではなく、6 年経っても戻らないまま固定化しつつあるのが、今の景色だ。


2. 「コロナ前未回復」の意味:戻らない外来 12.8%

「コロナ前比 -12.8%(外来)」という数字を、経営の文脈で言い換えてみる。

  • 1 病院あたりの外来件数が月 1 万件だったところは、1,280 件減って 8,720 件に近い水準
  • 「1 人あたり外来単価」を粗く 6,000 円としても、月約 768 万円の収入低下に相当する規模感(あくまで全国平均からの粗い試算)

もちろん、これは「直近 1 年で急に落ちた」のではなく、コロナ禍中に縮んだまま戻っていない状態だ。考えうる要因(一般論として整理)は、

  • オンライン診療・電話再診の定着
  • 受診抑制(軽症は様子見、まとめ受診)の習慣化
  • 大病院の機能分化(紹介・逆紹介の徹底)が進み、「直接外来で来る人」が減少
  • 高齢化に伴う「通院から在宅・訪問」へのシフト
  • 一部診療科(小児・耳鼻科・感染症系)で受診行動そのものが変化

つまり、「戻る前提で経営計画を組む」フェーズはもう終わっている。コロナ前を 100 として、外来は 87 程度・入院は 92 程度を「新しい標準」として受け止め、そのうえで何を整えるかという話になる。

これに対する厚労省側の答えが、次に述べる新地域医療構想だ。


3. 新地域医療構想とは何か:2027 年度から順次開始、2028 年度までに機能決定

「新地域医療構想」は、現行(2025 年度をゴールとしていた)地域医療構想の次のフェーズ。2040 年に向けた医療提供体制の再設計を目的とし、令和 6 年 12 月 18 日に「新たな地域医療構想等に関する検討会」がとりまとめを公表している(厚労省「新たな地域医療構想に関するとりまとめの概要」)。

要点は 4 つ。

3-1. ガイドラインは「2026 年 4 月中」に作成・公表

  • 当初は 2025 年度内(3 月まで)の予定だったが、2026 年 3 月 26 日の社会保障審議会医療部会意見を踏まえる必要から、2026 年 4 月中に作成・公表へ後ろ倒し
  • 出典:GemMed「新地域医療構想等のガイドライン、医療部会意見も踏まえて『2026 年 4 月中』に作成・公表」

3-2. 2027 年度から順次開始、2028 年度までに「全病院が機能を決める」

  • 新たな構想は2027 年度から順次開始(2026 年度は都道府県で体制全体の方向性や必要病床数の推計)
  • 各病院は「急性期拠点機能/高齢者救急・地域急性期機能/在宅医療等連携機能/専門等機能」のどれを担うかを2028 年度までに決定・明確化
  • いわゆる「機能の名乗り直し」が、全国の病院に対して期限付きで求められる

3-3. 急性期拠点機能病院は「人口 20〜30 万人に 1 か所」

  • 急性期拠点機能病院は、人口 20〜30 万人に 1 か所を目安に選定
  • 選定は診療実績データを基本とし、政策医療の実施状況・経営状況・建物老朽化なども総合勘案
  • 結果として、「急性期を名乗っているが、拠点ではない」病院が一定数生じる設計

3-4. 2040 年に向けた病床機能:「包括期機能」の新設

  • これまでの「回復期機能」に高齢者等の急性期患者への医療提供機能を加え、「包括期機能」として再定義
  • 高齢者救急・在宅復帰までを担う包括期病床を多めに推計、急性期の必要量は減少方向と見込む
  • 出典は厚労省「新たな地域医療構想に関するとりまとめの概要」

つまり、「コロナ前未回復」という直近の数字と、「2027 年度から順次開始し、2028 年度までに機能を決め、2040 年に向けて急性期を集約していく」という中長期方針が、同じ向きを指している。


4. 再編・集約化の議論主体:誰がいつ動くのか

「再編・集約化」と言われると、現場では「具体的に誰がどうやって決めるのか」が見えづらい。整理しておく。

主体役割時期目安
厚生労働省(検討会)ガイドライン作成・全体方針〜2026 年 4 月:新地域医療構想ガイドライン公表
各都道府県ガイドラインに沿って自地域の構想を策定(病床数、機能の役割分担、外来・在宅需要)2026 年度中(ガイドライン公表後)
二次医療圏単位の調整会議病院間の機能調整・集約候補の協議2027 年度以降が本格化
各病院(開設者)自院が「急性期拠点機能/高齢者救急・地域急性期機能/在宅医療等連携機能/専門等機能」のどれを担うか決定・明確化2028 年度まで

ここで重要なのは、「集約される側」になるリスクは、急性期を名乗っているすべての中規模病院に等しく存在するということ。「拠点に選ばれるか/包括期等にシフトするか」は、診療実績データが基準のひとつとなるため、自院の届出と実態の整合性が、過去の数字で判定される時代に入っていく。

参考:2028 年度までに、全病院が『急性期拠点、高齢者救急等のどの機能を果たすか』を決定・明確化(GemMed)


5. 経営・地域医療への影響(短期・中期・長期)

5-1. 短期(〜2026 年度)

  • 外来患者数のコロナ前未回復は「事実」として固定化、外来単価・件数前提の経営は厳しい
  • 一般病床の利用率 73.1% は、「重症の新規入院をどれだけ取れるか」に依存する構造
  • 都道府県のガイドライン策定に向けた実態調査・データ提出が活発化する見込み

5-2. 中期(2027〜2028 年度)

  • 二次医療圏単位での機能調整協議が本格化
  • 自院が「拠点候補」か「集約される側」かが、診療実績データと届出内容で判定される
  • 「急性期で届出はしているが、急性期の数字(重症度・在院日数・救急受入)が実態に追いついていない」状況が表に出やすくなる

5-3. 長期(2030〜2040 年度)

  • 急性期病床は減少方向、包括期機能(高齢者救急・在宅復帰)が中心に
  • 中規模病院の多くが「地域包括的機能・高齢者救急」へ寄っていく
  • 診療所も、地域連携の中で「かかりつけ機能・在宅・予防」の比重が高まる

短期は「数字との向き合い」、中期は「データに基づく機能の名乗り直し」、長期は「包括期・在宅・かかりつけにシフトした体制」へ。ロードマップは既に提示されていると捉えるのが現実的だ。


6. 掲示ナビ視点:届出と掲示の整合性は「中長期」で問われる

ここからは掲示ナビとして、中規模〜大規模病院の経営層に向けて 1 点だけ強調しておきたい。

新地域医療構想は、「届出と実態と掲示の整合性」を、これまで以上に長期で見る仕組みになっている。

  • 急性期拠点機能の選定は診療実績データが基本
  • 各病院は「自院は何の機能を担うか」を2028 年度までに決定・明確化
  • 都道府県の構想・二次医療圏の調整会議に自院のデータが横並びで並ぶ

このとき、

  • 厚生局への届出内容(施設基準)
  • 院内・Web の掲示内容(患者・家族・地域に何を提示しているか)
  • 実際の診療実績(DPC、レセプト、報告データ)

の三つがズレていると、「この病院は何の機能を担うつもりなのか」が外部からは読み取れない。これは、適時調査・個別指導での指摘以前に、地域内での機能調整の議論で不利になりうる話だ。

「Web 掲示義務」を、長期視点で運用に組み込む

R6(2024 年)の改定で自院 HP がある医療機関は「掲示事項を Web にも掲載する」ことが原則義務化されている(根拠通知:保医発 0327 第 10 号、R8 改定では 0327 第 6 号で一部改正、2026 年 6 月 1 日から適用)。

これは「Web 掲示義務」と呼ばれており、新地域医療構想の議論とは別立てに見えるが、実態としては同じ方向を向いている。

  • 届出している施設基準を Web で正しく開示できているか
  • 急性期・包括期・在宅等の機能を、患者・家族にどう説明しているか
  • 院内に貼っている内容と、Web の内容が食い違っていないか

これらは、適時調査の指摘リストにも入りやすく、改定・届出変更のたびに手作業で更新するのは現実的でない。ここで紹介してきた掲示ナビは、厚生局の届出データを起点に Web 掲示データを自動生成し、改定や届出の追加・取下げに追従する仕組み。開発者は元医療従事者かつ院内 SE の出身で、「掲示の手で医療現場を止めたくない」という発想から仕組み化したと聞いている。

加えて、生成した内容は PDF / PPTX でダウンロードでき、そのまま院内掲示にも使える。Web と院内で同じデータを使うため、「Web には書いてあるが院内にない」「院内には貼ってあるが Web に出していない」というズレが構造的に起きない。

中長期で「機能の名乗り直し」を求められる時代に、掲示の整合性をシステム側で担保しておく意味は、これまでより大きくなる。


7. 5 月以降のアクションプラン

  1. 病院報告 2026 年 2 月分概数(PDF / 概要)を読む
    • 自院の入院・外来推移と国全体の推移を見比べる
    • 在院日数・病床利用率の傾向を、自院の数字と並べる
  2. 自県の「新地域医療構想」策定スケジュールを確認
    • 都道府県の医療政策ページ・地域医療構想調整会議の公開資料をチェック
    • 二次医療圏単位の議論の俎上に乗っているテーマを把握
  3. 自院の届出 ↔ 掲示の棚卸し
    • 厚生局への直近届出と、院内掲示・Web 掲示の内容が一致しているか確認
    • 改定で経過措置中の項目(5/31 期限・6/1 切替)が残っていないか
  4. 「2028 年度の機能決定」に向けた仮置きの自院ポジションを言語化
    • 急性期拠点機能/高齢者救急・地域急性期機能/在宅医療等連携機能/専門等機能のどこを目指すか
    • 5 年スパンの体制図に落として、経営会議で共有
  5. Web 掲示義務対応の運用を、人手から仕組みに寄せる
    • 改定・届出変更ごとに手作業で更新する運用は、長期では持たない
    • 掲示ナビのような届出データ起点のサービスを、評価・比較ベースで検討してみる

8. まとめ

  • 2026 年 2 月の病院報告で、入院 -8.3%、外来 -12.8%(コロナ前比)と「未回復」の状態が明確化
  • 厚労省は新地域医療構想ガイドラインを 2026 年 4 月中に作成・公表へ後ろ倒しで進めており、2027 年度から順次開始、2028 年度までに全病院が機能を決め、急性期拠点機能は人口 20〜30 万人に 1 か所に集約する方向
  • 病院経営の論点は、「コロナ前に戻る」ではなく「包括期・在宅・かかりつけにシフトした体制」へ
  • そのとき、届出・実態・掲示の三つの整合性が、地域内の機能調整議論で効いてくる
  • Web 掲示義務対応を「人手で改定ごとに直す」運用から、届出データ起点の仕組みに寄せておく価値は、これまで以上に大きい

参考文献

  • 厚生労働省「病院報告(令和 8(2026)年 2 月分概数)」(2026 年 5 月 15 日公表)
  • GemMed「2026 年 2 月の病院患者数、入院 -8.3%・外来 -12.8% でコロナ前に戻らず」(2026 年 5 月 19 日)
  • CB News「外来患者コロナ前から 12.8% 減、2 月分概数」(2026 年 5 月 19 日)
  • 厚生労働省「新たな地域医療構想に関するとりまとめの概要」
  • GemMed「新地域医療構想等のガイドライン、医療部会意見も踏まえて『2026 年 4 月中』に作成・公表」
  • GemMed「2028 年度までに、全病院が『急性期拠点、高齢者救急等のどの機能を果たすか』を決定・明確化」
  • 保医発 0327 第 10 号(R6.3.27)/R8 改定では 0327 第 6 号(R8.3.27、2026 年 6 月 1 日適用)で一部改正(Web 掲示義務の根拠通知)
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医療系専門ライター

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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1「コロナ前に戻らない」病院患者数と、もう動き始めた「新地域医療構想」
  2. 21. 2026 年 2 月病院報告:何が起きたか
  3. 32. 「コロナ前未回復」の意味:戻らない外来 12.8%
  4. 43. 新地域医療構想とは何か:2027 年度から順次開始、2028 年度までに機能決定
  5. 54. 再編・集約化の議論主体:誰がいつ動くのか
  6. 65. 経営・地域医療への影響(短期・中期・長期)
  7. 76. 掲示ナビ視点:届出と掲示の整合性は「中長期」で問われる
  8. 87. 5 月以降のアクションプラン
  9. 98. まとめ
  10. 10参考文献
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