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2026年6月23日 · HIRO

オンライン診療でベースアップ評価料は算定できる?算定要件と注意点を解説

オンライン診療でベースアップ評価料は算定できる?算定要件と注意点を解説
# ベースアップ評価料# オンライン診療# 令和8年度改定# 情報通信機器# 算定要件

オンライン診療をしたとき、「ベースアップ評価料って、これ取れるんだっけ」と一瞬手が止まる。対面ならいつも通り算定しているのに、画面越しの診療になった途端、急に自信がなくなる。賃上げの原資に直結する加算だからこそ、取り漏らしも誤算定も避けたい――そんなモヤモヤを現場で抱えている方は少なくないはずです。

結論から言うと、オンライン診療でも外来・在宅ベースアップ評価料(I)は算定できます。ただし「オンラインだから取れる/取れない」で判断するのではなく、いくつかの前提を押さえておく必要があります。この記事では、なぜ迷いが生まれるのかをほどいたうえで、算定の前提条件と算定回数の注意点までを、令和8年度改定の一次資料ベースで整理します。

目次

  1. オンライン診療でベースアップ評価料は算定できるのか
  2. なぜ「取れるんだっけ」と迷うのか
  3. 外来・在宅ベースアップ評価料(I)の算定対象
  4. オンライン診療で算定するための2つの前提
  5. 算定回数の注意点 ― 「1日につき」の扱い
  6. ベースアップ評価料と掲示義務の関係
  7. まとめ
  8. 出典・参考

オンライン診療でベースアップ評価料は算定できるのか

まず結論です。情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)であっても、その診療で初診料・再診料などを算定していれば、外来・在宅ベースアップ評価料(I)は算定できます。

外来・在宅ベースアップ評価料は、令和6年度改定で新設され、令和8年度改定で要件が見直された加算です。医療従事者の賃上げ(ベースアップ)の原資を確保するための評価で、施設基準を届け出た医療機関が、初診・再診・訪問診療を行った患者について算定します。基本的な点数や施設基準はベースアップ評価料とは?2026年6月改定後の点数・施設基準・院内掲示で整理しているので、ここでは「オンライン診療で取れるのか」という一点に絞って見ていきます。

「オンラインだと対象外なのでは」という不安は、結論としては誤解です。対面かオンラインかという診療形態で対象が決まるわけではなく、後述するとおり「対象として定められた診療料を算定したか」で判断します。

なぜ「取れるんだっけ」と迷うのか

迷いの正体は、外来・在宅ベースアップ評価料(I)が「初診・再診・訪問診療を行った患者」に紐づく加算である一方、オンライン診療が「情報通信機器を用いた初診料・再診料」という、一見すると別の点数に見えるところにあります。

ところが点数表をたどると、情報通信機器を用いた初診・再診は、独立した別区分ではありません。情報通信機器を用いた初診は医科点数表の初診料(A000)の注に「情報通信機器を用いた初診を行った場合」として規定され、情報通信機器を用いた再診も再診料(A001)の注に位置づけられています。つまりオンラインの初診料・再診料も、点数表のうえでは A000初診料・A001再診料の枠内なのです。

この「枠内」という構造が点数表を追わないと見えにくいため、対面では迷わず算定している人ほど、オンラインになると判断の拠り所を見失ってしまう。これがモヤモヤの正体です。

外来・在宅ベースアップ評価料(I)の算定対象

では、外来・在宅ベースアップ評価料(I)は具体的に何を算定したときに取れるのか。令和8年度改定の留意事項通知(保医発0305第6号)で、区分番号O001として算定対象が次のように整理されています。

区分主な算定対象(通知が列挙する診療料の例)
1(初診時)初診料(A000)、小児科外来診療料の初診時 など を算定した場合
2(再診時等)再診料(A001)、外来診療料(A002) など を算定した場合
3(訪問診療時)在宅患者訪問診療料(I)(C001) など を算定した場合

ポイントは、対象が「初診料・再診料・外来診療料・訪問診療料などを算定した場合」と、診療料の区分で定められている点です。診療が対面かオンラインかは要件に書かれていません。

そして前章のとおり、情報通信機器を用いた初診料・再診料は A000初診料・A001再診料の枠内です。したがってオンライン診療で初診料・再診料を算定していれば、それは外来・在宅ベースアップ評価料(I)の「1」「2」の対象に当てはまります。「オンラインだから別物」ではなく、「対象の診療料を算定したか」で見れば答えは自ずと決まります。

オンライン診療で算定するための2つの前提

オンラインでも対象になるとはいえ、無条件に取れるわけではありません。押さえるべき前提が2つあります。

前提1:施設基準を届け出ていること

そもそも外来・在宅ベースアップ評価料(I)は、施設基準を地方厚生局へ届け出てはじめて算定できる加算です。届け出ていなければ、対面でもオンラインでも算定できません。令和8年度改定では現に算定している医療機関も改めて届出が必要になった経緯(【6/1必着】ベースアップ評価料、現算定機関も再届出が必須)があるため、自院が現時点で有効な届出をしているかは必ず確認しておきます。

前提2:対象の診療料を実際に算定していること

算定できるのは、通知が挙げた診療料(初診料・再診料・外来診療料・訪問診療料など)を実際に算定した場合に限られます。オンライン診療でその日に情報通信機器を用いた初診料・再診料を算定したのであれば対象になり、逆に対象の診療料を算定していない日には乗せられません。

整理すると、算定前に確認することは次の2点です。

  • 外来・在宅ベースアップ評価料(I)の施設基準を届け出ているか
  • その診療で、対象となる初診料・再診料など(情報通信機器を用いた場合を含む)を算定したか

この2つが揃えば、オンライン診療でも算定できます。判断の軸は「オンラインか対面か」ではなく「対象の診療料を算定したか」だと押さえておくと、迷いがなくなります。

算定回数の注意点 ― 「1日につき」の扱い

もう一つ、算定回数についての注意点があります。

令和6年度改定の時点では「1日につき1回」という算定単位が示されていましたが、令和8年度改定でこの「1日につき」の文言が整理され、同一日に複数回算定し得るケースが想定されるようになりました。具体的には、同一の医療機関で同じ日に、別の傷病について別の診療科で初診・再診を行ったような場合の取り扱いが、改定後の疑義解釈でも触れられています。

そのため「ベースアップ評価料は1日1回まで」と機械的に決めつけてしまうと、かえって取り漏らしが起きることがあります。同一日に複数科を受診したケースなど、判断に迷う個別パターンは、改定後の疑義解釈や所管の地方厚生局・審査支払機関に確認しておくと確実です。

ベースアップ評価料と掲示義務の関係

掲示ナビは医療機関・薬局のウェブサイト掲示義務に対応するサービスなので、掲示との関係も整理しておきます。

外来・在宅ベースアップ評価料は、先に触れたとおり施設基準を届け出て算定する項目です。施設基準を届け出て算定する項目は、原則として院内に掲示し、自院のホームページがある場合はウェブにも掲載することが求められます(ウェブサイト掲示義務は令和6年度改定で原則化されました)。つまり、調剤時に要件を満たすたびに算定するタイプの加算と違い、ベースアップ評価料は掲示の対象になる加算です。

掲示で実際に問われやすいのは、届け出ている内容と院内・ウェブの掲示内容がずれていないか、です。届け出ているのに掲示にない、改定で区分や点数が変わったのに古い掲示が残っている、というズレが適時調査や個別指導で指摘されます。ベースアップ評価料の院内掲示はベースアップ評価料の院内掲示テンプレ集【無料】で、運用面のよくある疑問はベースアップ評価料の運用Q&A(疑義解釈その7)で整理しています。掲示ナビは厚生局への届出データを起点に掲示ページを自動生成するため、加算の出入りや改定があっても掲示内容が自動で追従し、この「届出と掲示の不整合」を構造的に防げます。

まとめ

オンライン診療でのベースアップ評価料の算定について、要点を整理します。

  • オンライン診療(情報通信機器を用いた診療)でも、外来・在宅ベースアップ評価料(I)は算定できる
  • 情報通信機器を用いた初診料・再診料は、独立区分ではなく A000初診料・A001再診料の枠内。だから対象に含まれる
  • 算定対象は令和8年度改定の留意事項通知(保医発0305第6号・区分番号O001)で「初診料・再診料・外来診療料・訪問診療料などを算定した場合」と定められている
  • 前提は2つ。①施設基準を届け出ていること ②対象の診療料を実際に算定していること
  • 算定回数は令和8年度改定で「1日につき」の扱いが見直されており、同一日複数科などの個別パターンは疑義解釈・厚生局・支払基金で確認すると確実
  • ベースアップ評価料は施設基準を届け出て算定する項目なので、院内・ウェブ掲示の対象になる

「オンラインだと急に自信がなくなる」というモヤモヤは、診療形態ではなく「対象の診療料を算定したか」で判断すると押さえれば解消できます。賃上げの原資に直結する加算だからこそ、入口の判断は正確に。そして掲示物の管理のような本質ではない作業に時間を奪われないよう、仕組みに任せられるところは任せて、医療現場の時間を診療に取り戻していきましょう。

出典・参考

一次資料(厚生労働省・点数表)

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
  • 厚生労働省保険局医療課「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(保医発0305第6号・令和8年3月5日)別添1 区分番号O001 外来・在宅ベースアップ評価料(I) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001686863.pdf
  • しろぼんねっと「O001 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(医科診療報酬点数表 令和8年)」 https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch2/r08i2_pa14/r08i2e_sec1/r08i2e1_O001.html

二次資料(専門サイト)

  • しろぼんねっと「A000 初診料」※情報通信機器を用いた初診の注を収載 https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch1/r08i1_pa1/r08i11_sec1/r08i111_A000.html
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目次

  1. 1オンライン診療でベースアップ評価料は算定できるのか
  2. 2なぜ「取れるんだっけ」と迷うのか
  3. 3外来・在宅ベースアップ評価料(I)の算定対象
  4. 4オンライン診療で算定するための2つの前提
  5. 5算定回数の注意点 ― 「1日につき」の扱い
  6. 6ベースアップ評価料と掲示義務の関係
  7. 7まとめ
  8. 8出典・参考

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