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診療報酬改定施設基準
2026年5月1日 · HIRO

ベースアップ評価料とは?2026年6月改定後の点数・施設基準・院内掲示をわかりやすく解説

ベースアップ評価料とは?2026年6月改定後の点数・施設基準・院内掲示をわかりやすく解説
# ベースアップ評価料# 2026年改定# 賃上げ# 届出# 院内掲示

目次

  1. 「うちは既に算定している」も再届出が必要—5月中に押さえておくポイント
  2. ベースアップ評価料とは(位置づけと目的)
  3. 2026年6月改定後の点数構造
  4. 施設基準の主な要件—賃金改善計画書を中身に据える
  5. 届出スケジュール—5/18推奨・6/1必着の意味
  6. 現に算定していても「再届出」が必要
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ—4/30以降に取り組む3ステップ

「うちは既に算定している」も再届出が必要—5月中に押さえておくポイント

2026年6月の診療報酬改定で、ベースアップ評価料は大幅に拡充されます。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の初診点数は、2024年度版の6点から、新規賃上げ機関で17点・継続賃上げ機関で23点へと最大約3.8倍に拡充。入院ベースアップ評価料は1〜250段階(1点刻み)へと拡大し、医療従事者の賃上げ財源を一気に厚くする中身になっています。

その一方で、見落としがちな重要ポイントがあります。それは 「現に算定している医療機関も、2026年6月1日までに改めて施設基準を届け出さなければ、その後の算定ができなくなる」 という点です。厚生労働省の令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料に係る施設基準の届出について(周知)(令和8年4月24日事務連絡)、および疑義解釈資料の送付について(その3)(令和8年4月20日事務連絡)で明記されています。

本記事では、ベースアップ評価料とは何かという全体像から、2026年6月改定後の点数・施設基準・掲示・届出スケジュールまで、今週動くためのポイントを厚生労働省・厚生局の一次資料で裏づけしながら整理します。

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ベースアップ評価料とは(位置づけと目的)

ベースアップ評価料は、2024年6月の診療報酬改定で新設された 「医療従事者の賃上げを位置づけるための加算」 です。2026年6月の改定で点数が拡充され、賃上げ財源としての役割がさらに重く位置づけされました。

「Ⅰ」と「Ⅱ」の位置づけ

ベースアップ評価料には ⅠとⅡの2種類 があります。

  • ベースアップ評価料(Ⅰ):初診・再診・訪問診療の際に受診1件ごとに算定する「一般枠」
  • ベースアップ評価料(Ⅱ):Ⅰだけでは賃金改善に必要な財源が不足する医療機関のための「上乗せ枠」

シンプルに整理すれば「評価料は二階建て」と捉えておけばOKです。

対象職員の範囲

ベースアップ評価料は「医師・歯科医師以外の幅広い医療従事者」を対象とします。看護職員・薬剤師・リハ職・事務職員などが含まれます。令和8年4月21日の疑義解釈その4(別添2 問1)では、保険医療機関の開設者・管理者・法人代表者・役員は対象職員に含まれない ことが明示されています。医師・歯科医師は雇用形態を問わず対象外になるため、勤務医・院長本人ともに賃金改善の計算からは除外します。

また、一定要件を満たした場合は「派遣職員」も対象にできます(労働者派遣法第2条第2項該当者)。請負業務従事者は対象外となります。

2026年6月改定後の点数構造

点数は「新規賃上げ機関」と「継続賃上げ機関」の2区分で設定されています。「継続」の入り口要件は次の OR 条件で、ここを正しく押さえることが最初の判断ポイントになります。

  • (a) 令和8年3月31日時点でベースアップ評価料を届け出済みである、または
  • (b) 令和6年3月時点と比較して、対象職員に対し以下の賃上げ実績を達成している
    • 一般職員:令和8年度時点で5.5%(5分5厘)以上のベア、令和9年度時点で8.7%(8分7厘)以上のベア
    • 看護補助者・事務職員:令和8年度時点で8%(8分)以上のベア、令和9年度時点で13.7%(1割3分7厘)以上のベア

この (a)(b) のどちらかを満たせば「継続」枠の点数(23点等)を取れます。新規開設で届出履歴が無くても、所定水準の賃上げ実績を提示できれば「継続」枠で算定できる場合があるので、自院が新規枠か継続枠かは早めに確認しておきましょう。なお (b) は2階建ての要件で、令和9年度時点で水準を満たせなくなった場合は新規賃上げ機関の点数に切り替わります(要件詳細は告示第69号注2と保医発0305第6号通知に基づく)。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の点数表

令和8年厚生労働省告示第69号(2026年3月5日)により、以下の構成をスタートします。

区分新規賃上げ機関継続賃上げ機関
初診17点23点
再診時等4点6点
訪問診療(同一建物居住者以外)79点107点
訪問診療(その他)19点26点

改定前(2024年度版)は初診6点・再診2点・訪問28点だったため、初診で 新規17点(約2.8倍)/継続23点(約3.8倍) と最大約3.8倍の拡充となります。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)は12段階評価へ拡大

Ⅱは医療機関の規模・賃金改善必要額に応じて区分計算し、初診8〜96点・再診1〜12点の12段階評価 に拡大されました。作成した賃金改善計画書の「賃金改善に必要な額」と「ベースアップ評価料Ⅰの収入見込」の差を、その医療機関の期待収入見込に照らして区分を判定します。

入院ベースアップ評価料は1点刻み250段階

入院ベースアップ評価料は 1〜250段階(1点刻み) の体系に変わりました。2027年6月以降は1〜500段階へ拡大予定で、賃金改善必要額をより細かく加算にトレースできるよう設計されています。

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施設基準の主な要件—賃金改善計画書を中身に据える

ベースアップ評価料の施設基準は「賃金改善を実際に行う体制をつくって、その計画と実績を届け出る」ことが柱です。

必ず作成する主な様式(医療機関用)

  • 様式95〜100(医療機関用届出様式一式):賃金改善計画書(様式95〜97)/対象職員の状況(様式99)/月額賃金総額算出表(様式100)など、届出時に提出する一連の様式
  • 様式98(賃金改善実績報告書):毎年8月に前年度の実績を地方厚生(支)局長へ提出(届出時の計画書とは別系統)
  • 様式94(特別事情届出書):規模拡大・重大な事情等の場合に提出
  • 訪問看護ステーションは別紙様式11、保険薬局は様式103〜104が用意されています

「掲示」には2つの意味がある

ベースアップ評価料に関する「掲示」には、混同しやすい2つの意味があります。本記事の第3章で扱うのは (1) です。患者向けの掲示・ウェブ掲示は別系統であり、混同しないよう注意してください。

  • (1) 施設基準としての対象職員への周知(本章で扱う)— 賃金改善計画書・実施方法を職員に知らせる義務
  • (2) 患者向けの院内掲示・ウェブ掲示(別系統)— 医療機関全般に求められる情報提供の掲示

対象職員への周知が施設基準

対象職員に「賃金改善実施方法」を周知することが求められています。例えば以下のような方法で応じられます。

  • 賃金改善計画書や就業規則を書面で職員に配布する
  • 職員が確認できる箇所(休憩室・スタッフルーム等)に掲示する
  • 社内ポータル・連絡ツールで全職員へ送信する

ひとまず「職員休憩室に貼る」「賃金改善計画書を送る」ことで、厚生局の適時調査にも耐えられる形になります。

賃金改善のタイミングと繰越

  • 原則:算定開始月から賃金改善を実施する
  • 例外:「令和8年6月〜令和9年5月」の1年間の収入を「令和8年4月〜令和9年3月」の賃金改善に充当しても差し支えない(令和8年4月1日事務連絡「疑義解釈その2」参照)
  • 繰越:原則不可。ただし患者数変動による余剰のみ可

賃金改善計画書を作る際には、「何月から、誰に、いくらベースアップさせるのか」を具体的に記します。ベアだけでなく、賞与・時間外手当・法定福利費(事業者負担増加分)に充てることも認められます。法定福利費は概算で最大16.5%まで計上可能です(令和8年4月20日事務連絡「疑義解釈その3」 別添2 共通事項 問1参照)。

届出スケジュール—5/18推奨・6/1必着の意味

2026年6月診療分でベースアップ評価料を算定するための届出スケジュールを、厚生労働省の事務連絡と厚生局の公表を裏取りして整理します。

公式の期限は6月1日(月)「必着」

令和8年4月20日事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その3)」の別添1・問2では、令和8年6月診療分の施設基準の届出は令和8年5月7日から6月1日まで受け付ける と明示されています。これが 公式の「必着」期限 です。

5月18日推奨の理由

同じ事務連絡では、「令和8年5月下旬以降に地方厚生(支)局等の窓口は届出が集中し、混雑が予想されることから、可能な限り令和8年5月18日までの届出に努めること」とされています。また、電子申請は5月25日から受付開始 とされているため、書面提出の医療機関と電子申請の医療機関で提出タイミングが並ぶ点も意識しておくと良いでしょう。

期限を超えると「7月以降算定」にずれ込む

各厚生局のページでは「期限を過ぎて提出された場合は、7月以降の算定になります」と明記されています(九州厚生局・近畿厚生局 など)。1月遅れるとその間の加算収入がゼロで、以降の賃金改善連動スケジュールも崩れるため、今週中に動き出したいテーマ です。

現に算定していても「再届出」が必要

2026年6月以降にベースアップ評価料を算定する場合、現に算定している医療機関も、改めて施設基準を届け出さなければなりません。厚生労働省が2026年4月24日付けで発出した「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料に係る施設基準の届出について(周知)」(PDF)で明示されています。

「ずっと同じ評価料を選ぶ」ケースでも届出が必要

例えば「うちはこれまで外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)をとってきた」という医療機関も、点数と要件が改定されたため「同じ評価料」と見て届出を引き継ぐことはできません。改定前の届出はそのままは生きない と考えてください。

長尾の実務チェック記事

6/1必着の再届出ルールの詳細・電子申請の手順・賃金改善計画書の記載例は

【6/1必着】ベースアップ評価料、現算定機関も再届出が必須

【6/1必着】ベースアップ評価料、現算定機関も再届出が必須

2026年4月24日付の厚労省事務連絡で、ベースアップ評価料を6月以降も算定する施設は「現に算定中であっても」6/1までに改めて届出が必要と明示。医科・歯科・薬局を網羅した再届出フローを整理します。

で詳しく取り上げています。入院ベースアップ評価料を選ぶ医療機関は

入院ベースアップ評価料の施設基準と届出方法を解説

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入院ベースアップ評価料の点数(区分1〜500)、施設基準、外来・在宅ベースアップ評価料との違いを解説。前提条件として外来・在宅(Ⅰ)の届出が必要。掲示義務と届出方法をまとめました。

、外来・在宅枠は

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外来・在宅ベースアップ評価料の点数(初診17点・再診4点)、評価料(Ⅰ)(Ⅱ)の違い、施設基準、届出方法を解説。掲示義務は不要ですが、職員への周知義務があります。R8改定での大幅増点についてもまとめました。

もあわせてご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 小規模クリニックでスタッフが医師・受付の2名だけ。それでも加算できる?

A. 加算できる可能性があります。医師本人(開設者)は対象外ですが、受付の事務職員は「幅広い医療従事者」に含まれます。ただし、その1名の賃金改善を計画・実行し、計画書・実績報告を提出し続ける仕組みが必要です。

Q2. 令和8年に入ってから新規開設したクリニックも「継続賃上げ」の点数を取れる?

A. 「継続」枠は、(a) 令和8年3月31日時点で届出済み、または (b) 令和6年3月時点と比較して所定水準の賃上げを実施した医療機関が対象です。(b) は2階建ての要件で、一般職員は令和8年度時点で5.5%以上・令和9年度時点で8.7%以上のベア、看護補助者・事務職員は令和8年度時点で8%以上・令和9年度時点で13.7%以上のベアが必要です。新規開設で (a) が満たせなくても、(b) の賃上げ実績を示せれば継続枠の点数を取れる場合があります。賃上げ実績の根拠書類(賃金台帳等)が必須です。

Q3. ベースアップさせた職員が年度途中で退職したらどうなる?

A. 賃金改善実績報告書(様式98)を提出する際に、退職者・入職者を含めた実際の賃金改善額を計上します。実績が計画を下回った場合は、その差をベア・賞与・一時金で追加支給して補填することが求められるため、提出の手前で公認会計士・社労士に相談されると安心です。

Q4. 外来・在宅ベースアップ評価料Ⅱの「区分」を今すぐ上げたい。可能?

A. 区分は 賃金改善計画書の記載内容と収入見込に基づいて計算 されます。賃上げ幅を増やせば区分も上がりますが、実績報告でその計画を実際に達成していることが不可欠です。実装できる賃上げ幅を計画してから区分を定める順番を推奨します。

Q5. 院内で「賃上げはしたくない」という結論になった。どうすれば?

A. ベースアップ評価料は「算定しない」という選択もできますが、その場合も6/1必着の届出を出さないと以前の加算収入もそこで打ち切り になります。賃上げ財源を手放すことの意味を院長・会計・社労士と共有した上で判断されることを推奨します。算定可否の最終判断は所轄の厚生(支)局にもご確認ください。

まとめ—4/30以降に取り組む3ステップ

  1. 今週:賃金改善計画書一式(様式95〜100)の下書きを作成し、院長・会計と読み合わせ。対象職員・賃上げ幅・財源の見積をひとまず数字化する。同時に、自院が「新規賃上げ機関」か「継続賃上げ機関」かを (a) 届出履歴/(b) 賃上げ実績(令和8年度時点で一般5.5%・事務職員等8%以上)で判定する。
  2. ゴールデンウィーク明け:電子申請は5月25日から受付、書面提出は連休明けから。どちらで提出するかを決め、会計・社労士に伝える。
  3. 5月18日(月)までに提出:厚生局推奨期限に間に合わせる。同時に 対象職員への周知(計画書配布・休憩室掲示)を完了させる。

2026年度の診療報酬改定は賃上げを中身に据えた拡充路線です。「現に算定中だからといって何もしなくていい」という誤解だけは避け、今週動くことで差がつきます。

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参考資料

  • 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について — 厚生労働省
  • 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料に係る施設基準の届出について(周知)(PDF) — 厚生労働省保険局医療課(令和8年4月24日事務連絡)
  • 疑義解釈資料の送付について(その3)(PDF) — 厚生労働省保険局医療課(令和8年4月20日事務連絡)
  • 疑義解釈資料の送付について(その4)(PDF) — 厚生労働省保険局医療課(令和8年4月21日事務連絡)
  • ベースアップ評価料の届出について(令和8年度改定) — 九州厚生局
  • ベースアップ評価料等の届出について — 近畿厚生局
  • ベースアップ評価料に係る「賃金改善計画書」及び「賃金改善実績報告書」について — 関東信越厚生局
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

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  1. 1「うちは既に算定している」も再届出が必要—5月中に押さえておくポイント
  2. 2ベースアップ評価料とは(位置づけと目的)
  3. 32026年6月改定後の点数構造
  4. 4施設基準の主な要件—賃金改善計画書を中身に据える
  5. 5届出スケジュール—5/18推奨・6/1必着の意味
  6. 6現に算定していても「再届出」が必要
  7. 7よくある質問(FAQ)
  8. 8まとめ—4/30以降に取り組む3ステップ

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