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2026年4月7日 · MASA

厚生労働大臣が定める掲示事項とは?医科・歯科・薬局別に全項目を解説

厚生労働大臣が定める掲示事項とは?医科・歯科・薬局別に全項目を解説
# 掲示事項# 施設基準# 院内掲示# 掲示義務# 適時調査# ウェブサイト掲示

医療機関や薬局を運営していると、「厚生労働大臣が定める掲示事項」という言葉を目にする機会があるかもしれません。これは、保険医療機関が院内の見やすい場所に掲示しなければならない事項として、法令で定められたものです。

令和6年度の診療報酬改定により、この掲示事項は院内掲示だけでなく、ウェブサイトへの掲載も原則として義務化されました。経過措置期間(令和7年5月31日まで)はすでに終了しており、ウェブサイトを持つ医療機関は対応が必須となっています。

この記事では、厚生労働大臣が定める掲示事項の全体像を医科・歯科・薬局別に解説します。

目次

  1. 掲示事項の法的根拠
  2. 保険医療機関(医科・歯科共通)の掲示事項
  3. 歯科の掲示事項
  4. 保険薬局の掲示事項
  5. 院内掲示とウェブサイト掲示の違い
  6. 対応していない場合のリスク
  7. 掲示事項への対応方法
  8. まとめ

掲示事項の法的根拠

掲示事項は、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(療担規則)の第2条の6で定められています。

保険医療機関は、その病院又は診療所内の見やすい場所に、第五条の三第四項、第五条の三の二第四項及び第五条の四第二項に規定する事項のほか、別に厚生労働大臣が定める事項を掲示しなければならない。

つまり、掲示が必要な事項は大きく2つに分けられます。

  1. 療担規則で直接定められた事項(食事療養・生活療養の内容と費用、保険外併用療養費に関する事項)
  2. 厚生労働大臣が別に定める事項(告示第107号で規定)

後者が、一般的に「厚生労働大臣が定める掲示事項」と呼ばれるものです。

療担規則で直接定められた掲示事項

療担規則の条文で直接掲示が求められている事項は以下の通りです。

  • 食事療養の内容及び費用(第5条の3第4項)— 入院時の食事療養に関する内容と費用
  • 生活療養の内容及び費用(第5条の3の2第4項)— 入院時の生活療養(食事・温度・照明・給水等)に関する内容と費用
  • 保険外併用療養費に係る療養の内容及び費用(第5条の4第2項)— 評価療養・患者申出療養・選定療養の内容と費用

これらは主に入院患者向けの掲示ですが、選定療養の掲示は外来のクリニックでも該当する場合があります。

保険医療機関(医科・歯科共通)の掲示事項

厚生労働省告示第107号「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」の第一に、保険医療機関が掲示すべき事項が定められています。主な項目は以下の通りです。

1. 入院基本料に関する事項

入院基本料を算定している病院・有床診療所では、以下を掲示する必要があります。

  • 届出している入院基本料の種類(例:急性期一般入院料1)
  • 看護職員の配置状況(時間帯ごとの人数、患者対看護職員の割合)
  • 看護補助者の配置状況

掲示例: 「当病棟では、1日に13人以上の看護職員(看護師及び准看護師)が勤務しています。なお、時間帯毎の配置は以下の通りです。朝9時〜夕方17時まで、看護職員1人当たりの受け持ち数は6人以内です。」

※ 無床のクリニックでは入院基本料を算定しないため、この項目は該当しません。

2. DPC対象病院に関する事項

DPC(診断群分類包括評価)対象病院は、厚生労働大臣が指定する病院の病棟であること、基礎係数・機能評価係数等に関する事項を掲示する必要があります。

※ クリニック(無床診療所)や有床診療所でDPC非対象の場合は該当しません。

3. 届出施設基準に関する事項

地方厚生局長等に届け出た施設基準に関する事項を掲示しなければなりません。これは多くの医療機関に該当する、最も重要な掲示事項の一つです。

具体的には、以下のような届出している施設基準の名称を一覧で掲示します。

  • 初診料の注に掲げる各種加算
  • 外来感染対策向上加算
  • 地域包括診療加算
  • 在宅療養支援診療所の届出
  • その他、届出しているすべての施設基準

4. 明細書の発行状況に関する事項

明細書の発行について、以下の内容を掲示します。

  • 明細書を無料で発行している旨
  • 公費負担医療の受給者で自己負担のない方にも、希望すれば明細書を発行する旨

5. 保険外負担に関する事項

患者から費用の支払を受ける役務の提供・物品の販売等について、項目とそれに要する実費を掲示します。

  • おむつ代、病衣貸与料、テレビ代 等
  • 文書料(診断書・証明書等の作成費用)
  • 差額ベッド代(特別の療養環境の提供)

なお、衛生材料(ガーゼ、包帯等)の費用を患者に請求することは認められていません。

6. 医療情報取得の体制に関する事項

オンライン資格確認を通じて患者の診療情報を取得・活用できる体制を有していることなど、医療情報の取得等に関する体制について掲示します。

※ この項目は令和6年度改定以降に追加されたもので、改定前の資料では記載がない場合があります。

歯科の掲示事項

歯科医院では、上記の医科と共通する掲示事項(届出施設基準・明細書発行状況・保険外負担等)に加え、歯科診療報酬点数表に基づく入院基本料や、歯科固有の施設基準(例:歯科外来診療環境体制加算、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所など)を掲示します。

また、選定療養として金属床による総義歯を提供する場合は、療担規則第5条の4に基づき、その内容と費用の掲示が必要です(これは告示107号の掲示事項ではなく、療担規則で直接定められた掲示事項です)。

基本的な掲示項目の構成は医科と同じですが、届出している施設基準の内容が歯科固有のものになります。

保険薬局の掲示事項

保険薬局の掲示事項は、告示第107号の第十三で定められています。

1. 調剤管理料・服薬管理指導料に関する事項

調剤点数表に基づく調剤管理料および服薬管理指導料の内容について掲示します。

2. 届出施設基準に関する事項

地方厚生局長等に届け出た施設基準を掲示します。

  • 調剤基本料の区分(調剤基本料1、2、3等)
  • 地域支援体制加算
  • 後発医薬品調剤体制加算
  • かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料
  • 在宅患者調剤加算 等

3. 明細書の発行状況に関する事項

医科と同様、明細書の発行に関する掲示が必要です。

院内掲示とウェブサイト掲示の違い

令和6年度の診療報酬改定により、療担規則第2条の6に以下の規定が追加されました。

保険医療機関は、原則として、前項の厚生労働大臣が定める事項をウェブサイトに掲載しなければならない。

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これにより、院内掲示とウェブサイト掲示の両方が求められることになりました。

項目院内掲示ウェブサイト掲示
義務の根拠療担規則 第2条の6 第1項療担規則 第2条の6 第2項
対象すべての保険医療機関ウェブサイトを持つ保険医療機関
開始時期以前から義務令和6年6月(経過措置あり)
経過措置なし令和7年5月31日まで(終了済み)
掲示内容厚生労働大臣が定める掲示事項院内掲示と同じ内容

ウェブサイトを持たない医療機関は対象外です。ただし、医療DX推進体制整備加算など一部の施設基準では、ウェブサイトでの情報公開が算定要件に含まれるケースが増えています。

対応していない場合のリスク

掲示事項への未対応は、以下のリスクにつながります。

適時調査での指摘

厚生局が実施する適時調査では、院内掲示の状況が確認されます。実際によくある指摘事項として以下が挙げられます。

  • 届出している施設基準を掲示していない
  • 届出していない施設基準を掲示している(実態と掲示が不一致)
  • 明細書の発行に関する掲示がない
  • 入院基本料の看護配置に関する掲示内容が実態と異なる

指摘を受けた場合、改善報告書の提出が求められ、重大な不備があれば施設基準の取消し(=加算の算定不可)につながる可能性もあります。

適時調査について詳しくは、

適時調査チェックリスト|当日までに準備すべきこと完全版

適時調査チェックリスト|当日までに準備すべきこと完全版

適時調査の通知が届いたら何を準備すべきか。事前提出書類・掲示物・人員配置のチェックリストと、よくある指摘事項TOP5を解説。

をご覧ください。

ウェブサイト未掲載のリスク

経過措置が終了した現在、ウェブサイトへの未掲載は療担規則違反となります。令和8年度の改定ではさらにオンライン診療チェックリストの掲載義務化など、ウェブ掲示の範囲が拡大しています。

個別指導・適時調査対策|院内掲示とHPの齟齬を整える

掲示事項への対応方法

掲示事項への対応は、以下のステップで進めます。

1. 自院の届出状況を確認する

まず、地方厚生局のウェブサイトで自院が届出している施設基準の一覧を確認します。

詳しい確認方法は

施設基準の届出一覧|自院の届出状況を確認する3つの方法

施設基準の届出一覧|自院の届出状況を確認する3つの方法

自院の施設基準の届出一覧を確認する3つの方法(厚生局サイト・医療情報ネット・届出控え)と、届出状況と掲示義務の関係を解説。厚生局ごとの確認ページリンク付き。

で解説しています。

2. 掲示が必要な項目を洗い出す

届出している施設基準に応じて、掲示が必要な項目を整理します。

3. 院内掲示物を作成・更新する

掲示内容を作成し、院内の見やすい場所に掲示します。

4. ウェブサイトにも掲載する

院内掲示と同じ内容を、自院のウェブサイトにも掲載します。

具体的なウェブサイトへの掲載方法については、

ウェブサイト掲示義務の対応方法|何をどう載せればいい?具体例つきで解説

ウェブサイト掲示義務の対応方法|何をどう載せればいい?具体例つきで解説

医療機関のウェブサイト掲示義務について、何を掲載すべきか・どう対応すべきかを具体例つきで解説します。令和8年改定での変更点も網羅。

で詳しく解説しています。

まとめ

厚生労働大臣が定める掲示事項は、保険医療機関・保険薬局が法令に基づいて掲示しなければならない事項です。

  • 医科・歯科: 入院基本料、届出施設基準、明細書発行状況、保険外負担、医療情報取得の体制 等
  • 薬局: 調剤管理料・服薬管理指導料、届出施設基準、明細書発行状況
  • 令和6年度改定で院内掲示に加え、ウェブサイトへの掲載が原則義務化(経過措置は終了済み)
  • 未対応の場合、適時調査での指摘や施設基準の取消しにつながるリスクがある

掲示義務のWeb対応についてお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

参考資料

  • 保険医療機関及び保険医療養担当規則 — 厚生労働省
  • 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号) — 厚生労働省
  • 個別指導・適時調査で指摘する機会が多い事項について — 近畿厚生局
  • 令和5年度 適時調査における主な指摘事項(PDF) — 東北厚生局
掲示ナビ|HP掲示の義務化をシステムに任せる
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HIRO

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医療系専門ライター

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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1掲示事項の法的根拠
  2. 2保険医療機関(医科・歯科共通)の掲示事項
  3. 3歯科の掲示事項
  4. 4保険薬局の掲示事項
  5. 5院内掲示とウェブサイト掲示の違い
  6. 6対応していない場合のリスク
  7. 7掲示事項への対応方法
  8. 8まとめ

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