電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準と掲示要件を解説

令和8年度(2026年度)診療報酬改定で、「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」が廃止され、新たに電子的診療情報連携体制整備加算が設けられました。
この記事では、電子的診療情報連携体制整備加算の点数・施設基準・掲示義務について、厚生労働省の告示・通知をもとに解説します。
電子的診療情報連携体制整備加算とは
電子的診療情報連携体制整備加算は、医療DXの推進体制を評価する加算です。オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスなど、医療情報の電子的な連携体制を整備している医療機関を評価します。
従来の「医療DX推進体制整備加算」(令和6年度新設)と「医療情報取得加算」を統合・再編したもので、評価の軸が体制の「整備」から利用の「実績」へとシフトした点が最大の特徴です。
従来の医療DX推進体制整備加算について詳しくは、

医療DX推進体制整備加算は2026年6月に廃止へ|新加算の掲示要件を解説
医療DX推進体制整備加算は2026年6月に廃止され、電子的診療情報連携体制整備加算に移行します。新加算の点数・施設基準・掲示要件の変更点をわかりやすく解説します。
をご覧ください。

点数と算定区分
電子的診療情報連携体制整備加算は、初診料・再診料・入院料のそれぞれに加算されます。
初診料の加算(月1回)
| 区分 | 点数 | 主な追加要件 |
|---|---|---|
| 加算1 | 15点 | 電子処方箋+電子カルテ情報共有サービスの両方 |
| 加算2 | 9点 | 電子処方箋 or 電子カルテ情報共有サービスのいずれか |
| 加算3 | 4点 | 共通要件のみ(追加要件なし) |
再診料の加算(月1回)
再診料の加算は区分なしで一律2点です。
なお、初診料・再診料ともに、電子的診療情報連携体制整備加算を算定する場合は明細書発行体制等加算は別に算定できません。明細書の無償交付は本加算の施設基準に含まれているためです。
明細書発行体制等加算について詳しくは、

明細書発行体制等加算の掲示内容と注意点【例文付き】
明細書発行体制等加算の算定に必要な院内掲示の内容を、例文付きでわかりやすく解説。ウェブサイト掲載義務についてもまとめています。
をご覧ください。
入院料の加算(入院初日)
| 区分 | 点数 | 主な追加要件 |
|---|---|---|
| 加算1 | 160点 | 安全管理責任者+バックアップ+BCP |
| 加算2 | 80点 | 安全管理責任者の配置 |
入院料の加算では、共通要件に加えてサイバーセキュリティ対策が求められます。
共通の施設基準(全区分共通)
初診・再診・入院の全ての加算に共通する施設基準は以下のとおりです。
- レセプトオンライン請求を行っていること
- 算定した診療報酬の区分・項目・点数を記載した明細書を患者に無償で交付していること(その旨の院内掲示を含む)
- オンライン資格確認を行う体制を有していること(医療機関等向けポータルサイトで運用開始日を登録)
- 算定する月の3か月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率が30%以上であること
- (4)について、3か月前の代わりに前月又は前々月の利用率を用いることも可
- マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること
- 所定の掲示義務を満たしていること(後述)
- 掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載していること
初診料の加算区分ごとの追加要件
加算1(15点)の追加要件
共通要件(1)〜(8)に加えて、以下の全てを満たすこと。
- 電子処方箋を発行する体制、又は調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制を有していること
- 以下のア〜ウの全て又はエを満たす電子カルテを有していること
- ア:安全管理ガイドラインに準拠した体制
- イ:電子処方箋管理サービスとの接続インターフェース
- ウ:電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェース
- エ:厚生労働省が認証する電子カルテ製品
- 電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制を有していること(又は地域医療情報連携ネットワークを活用する体制)
加算2(9点)の追加要件
共通要件(1)〜(8)に加えて、上記の追加要件のいずれかを満たすこと。
つまり、電子処方箋のみ対応、又は電子カルテ情報共有サービスのみ対応でも加算2を算定できます。
加算3(4点)
共通要件(1)〜(8)のみで算定可能です。追加要件はありません。
入院料加算のサイバーセキュリティ要件
入院料の電子的診療情報連携体制整備加算では、共通要件に加えてサイバーセキュリティ対策が求められます。
加算1(160点)・加算2(80点)共通
- 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した体制であること
- 専任の医療情報システム安全管理責任者を配置すること
- 当該責任者は、職員を対象として年1回以上、情報セキュリティに関する研修を実施すること
- 責任者は情報セキュリティマネジメントや情報処理安全確保支援士の資格を有していることが望ましい
加算1(160点)のみの追加要件
- 非常時に備えた医療情報システムのバックアップを複数の方式で確保し、一部はネットワークから切り離したオフラインで保管すること(日次バックアップ、少なくとも3世代確保)
- 安全管理ガイドラインに基づき、BCP(業務継続計画)を策定し、少なくとも年1回以上定期的に訓練・演習を実施すること
掲示義務の内容
院内掲示
保険医療機関の見やすい場所に、次の事項を掲示しなければなりません。
- ア 医師等が診察室等において、オンライン資格確認等システムにより取得した診療情報等を活用して診療を実施している保険医療機関であること
- イ マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる保険医療機関であること
- ウ 算定した診療報酬の区分・項目の名称及びその点数又は金額を記載した詳細な明細書を患者に無料で交付していること
ウェブサイトへの掲載
上記の掲示事項は、原則としてウェブサイトにも掲載することが求められています。
自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではありません。
掲示文例
医療DX推進体制に関するお知らせ
当院は、医療DX推進の体制に関する以下の事項について、施設基準を満たしております。
- 当院では、オンライン資格確認等システムにより取得した診療情報等を活用して診療を実施しております
- マイナ保険証の利用を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでおります
- 算定した診療報酬の区分・項目の名称及び点数を記載した詳細な明細書を、患者様に無料で交付しております
○○クリニック
届出方法と経過措置
届出
- 初診料・再診料の加算:様式1の6(別添7)
- 入院料の加算:様式18の4(別添7)
なお、マイナ保険証利用率(30%以上)とマイナポータル相談対応体制については、基準を満たしていれば届出不要です(基準を満たせばよく、特に地方厚生局長への届出を行う必要はありません)。
経過措置
電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェースの要件については、当面の間、基準を満たしているものとみなされます。ただし、国等が全国で電子カルテ情報共有サービスの運用を開始した場合には、速やかに導入するよう努めることとされています。
電子カルテ情報共有サービスの詳細は、

電子カルテ情報共有サービスとは?仕組み・参加方法・掲示要件を解説
電子カルテ情報共有サービスの仕組み・共有される6情報・参加方法・補助金・診療報酬との関係・掲示要件を、医療機関向けにわかりやすく解説します。
をご覧ください。
まとめ
電子的診療情報連携体制整備加算は、医療機関のDX推進レベルに応じた3段階(初診料)+入院2段階の評価体系です。
- 初診料 加算1(15点):電子処方箋+電子カルテ情報共有サービスの両方に対応
- 初診料 加算2(9点):いずれかに対応
- 初診料 加算3(4点):共通要件のみ
- 再診料(2点):区分なし、月1回
- 入院 加算1(160点):サイバーセキュリティ対策(バックアップ+BCP)
- 入院 加算2(80点):安全管理責任者の配置
掲示義務として、オンライン資格確認の活用・医療DXへの取り組み・明細書の無料交付について院内掲示とウェブサイト掲載が必要です。
クリニックや診療所でまず取り組むべきは、加算3(4点)の共通要件を満たすことです。そのうえで、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの導入に進めば、加算2・加算1へのステップアップが可能になります。
掲示義務のWeb対応についてお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
- 令和8年度診療報酬改定について — 厚生労働省
- 医科診療報酬点数表(令和8年厚生労働省告示第69号) — 厚生労働省
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305第7号) — 厚生労働省保険局医療課
- 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて — 中医協 総会資料
