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診療報酬改定
2026年6月14日 · HIRO

健診後の初診料・再診料は算定できる?企業健診も対象か【R8改定で明確化】

健診後の初診料・再診料は算定できる?企業健診も対象か【R8改定で明確化】
# 初診料# 再診料# 健診# R8改定# 保険診療

健診のあと、外来で「ついでに、この気になる症状も診てほしい」と言われて保険診療に切り替える——医科のクリニックなら日常的に起こる場面です。そのとき、初診料や再診料は算定していいのか。しかも対象になる「健診」に、特定健診やがん検診だけでなく、自院でやっている企業健診や個人の健康診断まで入るのか。一瞬、手が止まった経験のある方は少なくないはずです。

令和8年(2026年)の診療報酬改定で、この扱いが医科点数表の通則にはっきり書き込まれました。この記事では、その条文に沿って「健診のあとの保険診療で初診料・再診料は取れるのか」をQ&A形式で整理します。対象は医科の外来です。

目次

  1. なぜ「健診後の初診料・再診料」で毎回迷うのか
  2. 【前提】令和8年改定で何が変わったか
  3. 健診後の初診料・再診料、よくある疑問に答えます
  4. 算定可否のひとめ早見チェックリスト
  5. あわせて確認したい関連の論点
  6. まとめ
  7. 出典・参考

なぜ「健診後の初診料・再診料」で毎回迷うのか

迷う一番の原因は、ルールの置き場所が増えたことにあります。

改定前は、初診料についての記載が中心で、再診料や「同じ受診か、別の受診か」の線引きは、現場の判断に委ねられがちでした。それが今回、医科点数表の通則に「健診等を受けたあとの初診料・再診料の扱い」として整理され、明文化されています。

明確になったのは良いことなのですが、いざ自院のケースに当てはめようとすると、「同じ日ならどうなる? 別の日は? うちの企業健診は対象に入る?」と、確認すべき条件が一度に増えたように感じます。結論から言えば、条文を当たると線引きははっきりしているので、順番に見ていきましょう。

【前提】令和8年改定で何が変わったか

今回はじめて整理されたのは、医科点数表の通則にある「健診等のあとに保険診療を行う場合の初診料・再診料の扱い」です。具体的には、健診を実施した医療機関で、同じ受診のなかで保険診療をしたとき、別の受診で保険診療をしたときの取り扱いが、通則として書き分けられました。

通則では、まず「健康診断、検診及び予防接種等」をまとめて「健診等」と定義し、そのうえで同じ受診か別の受診かで初診料・再診料の可否が分かれる構造になっています。なお、他の医療機関の健診で見つかった疾患を治療し始めたときの初診料の扱いなど、初診料そのものの考え方は改定前から条文にありました。今回新しく整理されたのは、この「同じ受診か別の受診か」を通則で明文化した部分だと押さえておくと混乱しません。

健診後の初診料・再診料、よくある疑問に答えます

Q1. 自院の健診と「同じ受診」で保険診療したら、初診料・再診料は取れる?

A. 取れません。

健診を実施した医療機関で、健診と同じ1回の受診のなかで保険診療を行った場合、初診料も再診料(外来診療料を含む)も算定できません。「健診のついでに、その場で気になる症状も診てもらった」というように、受診が1回で完結しているケースがこれにあたります。

Q2. 健診と「別の受診」(同じ日の別受診・翌日以降)なら取れる?

A. 初診料は取れませんが、再診料・外来診療料は規定に従って算定できます。

同じ日であっても別の受診として行った場合、または翌日以降の別の日に保険診療を行った場合がこれにあたります。このとき、初診料は算定できませんが、再診料・外来診療料は、それぞれの規定に従って算定できます。

ここで大事なのは、判断の軸が「同じ日か、別の日か」ではないという点です。同じ日であっても、健診とは別の受診として行われていれば、再診料・外来診療料の算定対象になります。

Q3. 対象の「健診」に、自院の企業健診や個人の健康診断は含まれる?

A. 含まれます。

通則の定義は「健康診断、検診及び予防接種等」です。特定健診やがん検診に限る書き方ではありません。自院でやっている企業健診・雇入時健診・個人の健康診断(自費)も、この「健診等」に含まれます。支払いが企業か個人かで線を引く規定もありません。

「特定健診のときだけのルールだろう」と思い込んでいると、自院の企業健診のケースで取り扱いを誤りかねません。健診の種類や費用の出どころにかかわらず、まず「健診等にあたるか」で考えるのが出発点です。

Q4. 他施設の健診で見つかった病気を、当院で治療し始めたら初診料は取れる?

A. 取れます。

健診等で疾患が見つかった患者さんが、その疾患を発見した医師以外の医師のもとで治療を始めた場合は、初診料を算定できます。条文にも明記されています。たとえば、よその施設の健診で異常を指摘された方が、当院を受診して治療を開始したケースです。当院は「発見した医療機関」ではないため、初診料の対象になります。

ただし、ここで効くのは「別の医療機関かどうか」です。疾患を発見した医師が属する医療機関のなかで、別の医師が引き継いで治療を始めた場合は対象外で、初診料は算定できません。

Q5. 自院の産業医健診で見つけて、そのまま治療を始めたら?

A. 初診料は取れません。

自他覚的な症状がないまま受けた自院の健診で疾患が見つかり、その医師が特に治療の必要を認めて治療を開始した場合、初診料は算定できません。自院の産業医健診などで自院が見つけて、そのまま治療に入るケースがこれにあたります。

なお、このとき治療そのもの(初診を除く)については、医療保険給付の対象として診療報酬を算定できます。「初診料は取れないが、治療の費用まで取れないわけではない」という整理です。

Q6. 健診のついでにやった検査や、その後の治療費は算定できる?

A. 条件付きで算定できます。

健診等の結果、疾病またはその疑いがあると診断された患者さんについて、治療方針を確立する等のために検査を行う必要がある場合、その検査が健診等の一環としてあらかじめ計画・予定されていたものではないことが客観的に明らかであれば、検査の費用を保険給付の対象として算定できます。

また、健診等の結果、特に治療の必要を認めて治療を開始した場合、その治療の費用も保険給付の対象になります(ここまでで述べたとおり、通則の規定で算定できないとされる初診料・再診料は除きます)。「健診で予定していた検査の焼き直し」ではなく、新たに必要と判断したものかどうかが分かれ目です。

Q7. 結局、「同じ日か別の日か」と「同じ受診か別の受診か」、どっちで判断する?

A. 「同じ受診か、別の受診か」で判断します。

通則の構造は、日付そのものではなく受診の単位で組み立てられています。健診と同じ1回の受診のなかでの保険診療なら初診料・再診料とも算定できず、別の受診(同じ日の別受診または翌日以降)なら初診料は不可・再診料は規定に従って可、という整理です。

つまり、同じ日でも「別の受診」として行われていれば再診料・外来診療料の対象になりますし、別の日であっても初診料は対象外です。「日付」で機械的に判断すると取り違えるので、まず「これは健診と同じ受診か、別の受診か」を確認するのが安全です。

算定可否のひとめ早見チェックリスト

自院のケースを当てはめるときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  • 健診を実施したのは自院か、他の医療機関か
  • 保険診療は、健診と同じ受診のなかか、別の受診か
  • (他院の健診で発見の場合)治療を始めるのは、発見した医師が属する医療機関の外か
  • 行う検査は、健診の一環としてあらかじめ予定されていたものではないと客観的に言えるか
  • 対象の「健診」は、特定健診に限らず企業健診・個人健診も含めて判断したか

この5点を押さえれば、初診料・再診料・検査の可否はほぼ切り分けられます。判断に迷う個別ケースは、所管の地方厚生局や審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険団体連合会)に確認するのが確実です。

あわせて確認したい関連の論点

健診後の取り扱いは、「診察の有無」「保険か自費か」といった、ほかの算定論点ともつながっています。あわせて確認しておくと、自院の運用全体を見直しやすくなります。

  • 診察を伴わない文書作成の算定可否は、考え方が似ています。詳しくは
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で整理しています。

  • 自費の健診費用は保険外の扱いです。保険外併用療養費と実費徴収の線引きは
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を参考にしてください。

  • 「この費用は別の点数と一緒に取れるのか」という併算定の考え方は
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でも解説しています。

  • 患者都合のキャンセル料など、保険外で徴収できる範囲については
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をご覧ください。

まとめ

健診のあとの保険診療で初診料・再診料が取れるかは、令和8年改定で通則に書き込まれたことで、条文を当たればはっきり判断できるようになりました。要点は次のとおりです。

  • 対象の「健診等」は特定健診に限らず、企業健診・雇入時健診・個人の健康診断も含む(支払主体は問わない)
  • 自院で健診→健診と同じ受診で保険診療:初診料・再診料(外来診療料)とも算定できない
  • 自院で健診→別の受診(同じ日の別受診または翌日以降)で保険診療:初診料は不可、再診料・外来診療料は算定できる
  • 他施設の健診で発見→当院で治療開始:当院は初診料を算定できる(発見した医師が属する医療機関の別医師は除く)
  • 健診の一環で予定していない検査は算定可、治療開始後の費用も保険給付の対象
  • 判断は「同じ日か別の日か」ではなく「同じ受診か別の受診か」で行う

掲示義務や算定要件は改定のたびに細かく変わり、こうした確認に現場の時間が取られがちです。掲示ナビは、厚生局の届出データを起点に掲示内容を自動で組み立て、改定への追従も仕組み側で吸収します。掲示物の管理に追われる時間を、本来の医療に取り戻す一手として活用いただけます。

出典・参考

一次資料(厚生労働省)

  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(保医発0305第6号・令和8年3月5日)別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 通則13〜17、および第1章 基本診療料 第1部 初・再診料 A000 初診料(4)〜(6) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707246.pdf
掲示ナビ|HP掲示の義務化をシステムに任せる
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1なぜ「健診後の初診料・再診料」で毎回迷うのか
  2. 2【前提】令和8年改定で何が変わったか
  3. 3健診後の初診料・再診料、よくある疑問に答えます
  4. 4算定可否のひとめ早見チェックリスト
  5. 5あわせて確認したい関連の論点
  6. 6まとめ
  7. 7出典・参考

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