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保険外併用療養費掲示義務診療報酬改定
2026年5月29日 · HIRO

保険外併用療養費と実費徴収の違いとは?掲示義務と2026年6月の追加項目を解説

保険外併用療養費と実費徴収の違いとは?掲示義務と2026年6月の追加項目を解説
# 保険外併用療養費# 選定療養# 院内掲示# Web掲示

医療機関や薬局が患者さんから「保険のきかないお金」を受け取る場面には、実は性格の異なる2つの系統があります。ひとつは差額ベッド代などの「保険外併用療養費」、もうひとつはWi-Fi利用料や診断書代などの「療養の給付と直接関係ないサービス等」(実費徴収)です。

同じ"保険外"でも、地方厚生局への報告が要るかどうか、掲示する中身を誰が決めるかが異なります。ここを混同したまま運用している医療機関は少なくありません。さらに2026年(令和8年)6月の改定では、実費徴収の側にも新しい項目が加わりました。

本記事では、この2系統の違いと、それぞれに共通する院内・Web掲示のルールを、医科・歯科・薬局に共通する目線で整理します。

目次

  1. 保険外で費用を徴収する「2つの系統」とは?
  2. ①保険外併用療養費(選定療養・評価療養など)とは
  3. ②療養の給付と直接関係ないサービス等(実費徴収)とは
  4. 2026年6月改定で実費徴収に追加された4項目
  5. 違い①:厚生局への報告の有無
  6. 違い②:掲示内容の決まり方(標準化 vs 自院設定)
  7. どちらも必要な「院内掲示+Web掲載」
  8. よくある誤解・注意点
  9. まとめ
  10. 出典・参考

保険外で費用を徴収する「2つの系統」とは?

保険診療の枠の外で患者さんから費用をいただく場面は、大きく次の2系統に分かれます。

  • ①保険外併用療養費(選定療養・評価療養・患者申出療養)…保険診療と併用する"特別料金"。差額ベッド代、予約診察、長期収載品の特別の料金(薬局でおなじみ)、前歯部の材料差額や金属床総義歯(歯科)、治験など。
  • ②療養の給付と直接関係ないサービス等(実費徴収)…そもそも保険診療とは別物の実費。診断書代、予防接種、Wi-Fi利用料、予約診察の患者都合キャンセル料など。

①は「保険診療への上乗せ」、②は「そもそも保険の外」という性格の違いがあります。下表のように、報告の要否や中身の決め方も異なります。

比較項目①保険外併用療養費②療養の給付と直接関係ないサービス等(実費徴収)
性格保険診療への上乗せ(特別料金)保険診療とは別の実費
代表例差額ベッド、予約診察、長期収載品、前歯部材料差額診断書代、予防接種、Wi-Fi利用料、キャンセル料
厚生局への報告あり(名簿で公表)なし(掲示のみで完結)
中身の決まり方告示・通知で標準化自院が項目・実費を設定
掲示院内+(HPがあれば)Web院内+(HPがあれば)Web

①保険外併用療養費(選定療養・評価療養など)とは

保険外併用療養費は、保険が使える「療養の給付」に、患者さんが選んだ特別なサービス分の料金を上乗せして併用できる仕組みです。代表的なのが、いわゆる差額ベッド代(特別の療養環境)や予約に基づく診察、紹介状なしの大病院受診時の定額負担などの選定療養です。

薬局では、後発医薬品があるのに先発医薬品(長期収載品)を希望した場合の特別の料金が選定療養にあたります。2026年6月からはこの患者負担が変わっており、詳しくは

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にまとめました。

これらは、どの項目をいくらで提供するかが告示・通知で標準化されているのが特徴です。

②療養の給付と直接関係ないサービス等(実費徴収)とは

もう一方の系統が、保険診療とは直接関係のない「サービス」や「物」について、実費として患者さんからいただくものです。根拠は厚生労働省の通知「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」で、次のような具体例が挙げられています。

  • おむつ代、病衣貸与代、テレビ代などの日常生活上のサービス
  • 証明書代(診断書など)、診療録の開示手数料といった文書発行に係る費用
  • インフルエンザ等の予防接種、美容形成(しみとり等)など、治療中の疾病に対するものではない医療行為
  • 在宅医療に係る交通費、薬剤の容器代 など

①と違い、項目と実費を自院が設定して掲示する点がポイントです。なお、「お世話料」「施設管理料」「雑費」といった曖昧な名目での費用徴収は認められていません。

2026年6月改定で実費徴収に追加された4項目

2026年(令和8年)6月1日からは、この実費徴収のリストに次の4項目が新しく加わりました。根拠は令和8年3月27日付の通知(保医発0327第7号)です。

  • Wi-Fi利用料(院内Wi-Fiの利用料)
  • 在留外国人の診療に当たり必要となる多言語対応に要する費用(通訳の手配料や翻訳機の使用料など)
  • 予約やオンライン診療の受診に係るシステム利用料
  • 予約に基づく診察の患者都合によるキャンセル料(診察日の直前にキャンセルした場合に限る。予約時に、患者都合のキャンセルには費用がかかる旨を事前に説明し、同意を得ることが前提)

いずれも保険点数(保険請求)でも選定療養でもなく、「保険の外の実費」という整理です。日常的に発生しうる項目が並ぶため、自院で徴収するかどうかを検討する医療機関は今後増えると見られます。

違い①:厚生局への報告の有無

2系統の決定的な違いの1つ目が、地方厚生局への報告です。

①保険外併用療養費は、所定の様式で地方厚生局に報告する義務があり、その内容は保険外併用療養費医療機関名簿として公表されます。一方、②の実費徴収にはこの報告義務がなく、掲示だけで完結します。

つまり、差額ベッドや予約診察(①)は「届け出て名簿に載る」もの、Wi-Fi利用料や診断書代(②)は「自院で掲示すれば足りる」もの、という整理になります。届出と掲示の内容がずれていると、適時調査や個別指導で指摘の対象になりやすいのも①の特徴です。

違い②:掲示内容の決まり方(標準化 vs 自院設定)

2つ目の違いが、何を載せるかの決まり方です。

①は告示・通知で内容が標準化されています。差額ベッドであれば病床数や室料、予約診察であれば予約料といった具合に、掲示すべき項目の枠組みが定められています。

②は、自院が項目と実費を設定して掲示します。自由度が高い分、前述のとおり「お世話料」「雑費」のような曖昧な名目は認められず、サービス内容と料金を患者さんに分かりやすく示すことが求められます。

どちらも必要な「院内掲示+Web掲載」

報告の要否や中身の決まり方は違っても、掲示が必要な点は2系統で共通しています。

どちらの系統も、徴収するなら院内の見やすい場所(受付窓口、待合室など)にサービス内容と料金を掲示し、自院のホームページがあれば原則としてウェブサイトにも掲載しなければなりません。①の根拠は療担規則第5条の4で、令和6年改定でウェブサイトへの掲載が原則義務化されました。②の根拠は通知「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」で、こちらも院内掲示に加えて原則ウェブサイト掲載が求められています。

加えて②では、徴収の必要が生じる際に内容・料金を明確かつ懇切に説明して同意を確認し(内容・料金を明示した文書への署名による)、他の費用と区別した領収証を発行することも必要です。Web掲示が算定要件になっている加算もあるため、自院で掲示すべき範囲を逆引きで確認したい場合は

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もあわせてご覧ください。

よくある誤解・注意点

最後に、運用で混同しやすいポイントを整理します。

  • 「Web掲示は①だけ」ではありません。 ②の実費項目もウェブサイト掲載の対象です。ここが見落とされやすい点です。
  • ②は自由に取れるわけではありません。 曖昧な名目での徴収は不可で、事前の説明・同意と区別した領収証がセットです。
  • キャンセル料は選定療養ではありません。 診察が行われていないため保険診療への上乗せにあたらず、②の実費という整理です。
  • 金額に一律の上限は定められていませんが、社会的にみて妥当適切な範囲とすることが通知で求められています。

選定療養側の2026年6月の告示・掲示対応は

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で詳しく扱っています。

まとめ

  • 保険外で患者さんからいただくお金は、①保険外併用療養費(選定療養など)と②療養の給付と直接関係ないサービス(実費徴収)の2系統に分かれます。
  • 違いは「地方厚生局への報告の有無(①は名簿に載る/②は掲示のみ)」と「中身の決まり方(①は標準化/②は自院設定)」です。
  • 掲示はどちらも院内+(HPがあれば)Web掲載が必要で、2026年6月からは②にWi-Fi利用料など4項目が追加されました。

自院の保険外メニューがどちらの系統にあたるかを仕分けると、掲示の抜け漏れに気づきやすくなります。掲示ナビは、厚生局の届出データを起点に院内・Web掲示の内容を自動でそろえ、適時調査や個別指導で問われやすい「届出と掲示の不整合」を構造的に防ぎます。

出典・参考

一次資料(厚生労働省・地方厚生局 等)

  • 厚生労働省「『療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて』の一部改正について」(令和8年3月27日 保医発0327第7号、令和8年6月1日適用) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001681828.pdf
  • 厚生労働省 保医発0327第6号(掲示事項等の実施上の留意事項、令和8年3月27日・令和8年6月1日適用) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/15-3.pdf
  • 保険医療機関及び保険医療養担当規則 第5条の4・第2条の6(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50000100015
  • 中央社会保険医療協議会 総会 総-2(令和8年1月9日 第640回) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001629047.pdf
  • 近畿厚生局 保険外併用療養費の報告 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/shinsei/shido_kansa/hoken_heiyo/index.html

二次資料(業界誌・専門サイト)

  • 社会保険研究所「保険外で請求できる費用としてWi-Fi利用料などを明確化」 https://media.shaho.co.jp/n/ne4a7f4adf71f
  • ウィーメックス メディコム「選定療養に『キャンセル料』等4項目追加、中医協総会」 https://www.phchd.com/jp/medicom/park/idea/medicom-medicalnews/80760
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医療系専門ライター

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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1保険外で費用を徴収する「2つの系統」とは?
  2. 2①保険外併用療養費(選定療養・評価療養など)とは
  3. 3②療養の給付と直接関係ないサービス等(実費徴収)とは
  4. 42026年6月改定で実費徴収に追加された4項目
  5. 5違い①:厚生局への報告の有無
  6. 6違い②:掲示内容の決まり方(標準化 vs 自院設定)
  7. 7どちらも必要な「院内掲示+Web掲載」
  8. 8よくある誤解・注意点
  9. 9まとめ
  10. 10出典・参考
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