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診療報酬改定
2026年7月8日 · HIRO

難病外来指導管理料と特定薬剤治療管理料は同じ月に両方算定できる?併算定の可否を解説

難病外来指導管理料と特定薬剤治療管理料は同じ月に両方算定できる?併算定の可否を解説
# 令和8年度改定

難病外来指導管理料を算定している患者さんで、お薬の血中濃度も測って精密に管理している。特定薬剤治療管理料の要件も満たしていそう――でも、指導管理料って「同じ月にひとつ」の縛りがあった気がする。両方つけていいのかな、とレセプトの前で手が止まった方は、少なくないはずです。

結論から言うと、難病外来指導管理料と特定薬剤治療管理料は、それぞれの要件を満たせば同じ月に両方算定できます。混乱のもとは「指導管理料は同月ひとつ」という相互排他のルールと、名前がよく似た別の管理料の存在にあります。この記事では、なぜ両方取れるのかを一次資料で確認しながら、Q&A形式で整理します。

目次

  1. なぜ「両方は取れないのでは」と不安になるのか
  2. Q1. そもそも「同じ月にひとつ」の相互排他グループとは?
  3. Q2. 難病外来指導管理料と特定薬剤治療管理料は同月に両方取れる?
  4. Q3. 「特定疾患療養管理料」なら取れないのでは? 名前が紛らわしい
  5. Q4. 実際に算定するとき、何を満たせばいい?
  6. Q5. 逆に、難病外来指導管理料と「取れない」のはどれ?
  7. 算定前のチェックリスト
  8. 掲示義務との関係
  9. まとめ
  10. 出典・参考

なぜ「両方は取れないのでは」と不安になるのか

医学管理料には、「同じ月には片方しか取れない」相互排他のグループがあります。難病外来指導管理料は、まさにこのグループの一員です。だから「難病外来指導管理料を取っているなら、特定薬剤治療管理料も一緒には取れないのでは」と考えたくなります。この相互排他グループの射程がどこまでか、が見えにくいことが、悩みの正体です。

Q1. そもそも「同じ月にひとつ」の相互排他グループとは?

留意事項通知(点数表の各項目の運用を厚生労働省が示す文書)の、医科点数表 第2章 特掲診療料の通則に定めがあります。

通則は、同一月に併算定できない管理料を次のように列挙しています。特定疾患療養管理料、ウイルス疾患指導料、小児特定疾患カウンセリング料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、皮膚科特定疾患指導管理料、慢性疼痛疾患管理料、小児悪性腫瘍患者指導管理料、耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料、そして在宅療養指導管理料や心身医学療法――これらは「特に規定する場合を除き、同一月に算定できない」とされています。難病外来指導管理料が相互排他になるのは、この並びに載っている管理料同士との間、というのが正確な射程です。在宅療養指導管理料まわりの併算定は在宅療養指導管理料は両方算定できる?でも整理しています。

Q2. 難病外来指導管理料と特定薬剤治療管理料は同月に両方取れる?

取れます。理由はシンプルで、いま挙げた「同一月に取れない」リストに、特定薬剤治療管理料は入っていないからです。

難病外来指導管理料はこのリストの一員ですが、特定薬剤治療管理料はリストの外にあります。相互排他の対象になっているのは、あくまでリストに列挙された管理料同士(と在宅療養指導管理料など)の関係です。したがって、リストに載っていない特定薬剤治療管理料は、難病外来指導管理料と同じ月に、それぞれの要件を満たせば重ねて算定できます。

Q3. 「特定疾患療養管理料」なら取れないのでは? 名前が紛らわしい

ここが最大の落とし穴です。相互排他リストに載っているのは「特定“疾患療養”管理料」で、今回の「特定“薬剤治療”管理料」とは別物です。

  • 特定疾患療養管理料:リストに載っている、相互排他グループの一員。難病外来指導管理料とは同じ月に取れません。
  • 特定薬剤治療管理料:リストの外。お薬の血中濃度を測って投与量を精密に管理する、別カテゴリの管理料です。

名前が似ているため、「特定〜管理料はどれもダメ」と早合点しやすいのですが、区別すべきは“疾患療養”か“薬剤治療”か、です。難病外来指導管理料と併算定できないのは前者、両方取れるのは後者、と押さえておくと取り違えません。

Q4. 実際に算定するとき、何を満たせばいい?

大事なのは「それぞれの要件を、それぞれ満たすこと」です。片方の要件で両方をまかなうことはできません。

  • 難病外来指導管理料:別に厚生労働大臣が定める疾病を主病とし、治療計画に基づく療養上の指導を行い、月1回算定します。第1回目は、初診料を算定した初診の日、または当該保険医療機関から退院した日から起算して1か月を経過した日以降に算定できます。診療計画および診療内容の要点を診療録に記載します。
  • 特定薬剤治療管理料1:対象薬剤の血中濃度を測定して投与量を精密に管理し、月1回算定します。血中濃度や治療計画を診療録に残します。

たとえば、難病外来指導管理料の対象疾病を主病として療養指導を行いつつ、その治療に用いる免疫抑制剤(シクロスポリンやタクロリムスなど)の血中濃度を測定して精密に管理しているようなケースが、両方の要件を満たす典型です。両者は評価している行為が別なので、要件をそれぞれ満たせば重ねて立ちます。

Q5. 逆に、難病外来指導管理料と「取れない」のはどれ?

混同を避けるために、排他側も押さえておきます。難病外来指導管理料と同じ月に取れないのは、Q1で挙げた相互排他リストの管理料同士です。

具体的には、特定疾患療養管理料、てんかん指導料、皮膚科特定疾患指導管理料、小児科療養指導料などが同じグループにあり、難病外来指導管理料とこれらは、特に規定する場合を除いて同一月には算定できません。「取れない」のはこの範囲、「取れる」のはリスト外の特定薬剤治療管理料、と線を引くと整理できます。個別の当てはめで判断が割れそうなときは、自己判断で決めず、所管の社会保険診療報酬支払基金・地方厚生局に確認するのが確実です。併算定の考え方は外来服薬支援料1と2は同じ月に両方算定できる?や物価対応料は他の加算と併算定できる?も参考になります。

算定前のチェックリスト

レセプトの前で手が止まったら、次の順で確認すると整理できます。

  • 難病外来指導管理料と特定薬剤治療管理料は、要件を各々満たせば同一月に併算定できる(特定薬剤治療管理料は相互排他グループの外)
  • 難病外来指導管理料=対象疾病を主病・初診(または退院)から1か月経過後・月1回・診療計画/内容の要点を診療録に記載
  • 特定薬剤治療管理料1=対象薬剤の血中濃度測定+投与量の精密管理・月1回・血中濃度/治療計画を診療録に記載
  • 「指導管理料は同じ月にひとつ」の縛りは、通則に列挙された管理料どうし(特定疾患療養管理料・てんかん指導料 等)の話。特定薬剤治療管理料はそこに含まれない
  • 特定“疾患療養”管理料(取れない)と特定“薬剤治療”管理料(取れる)を取り違えない
  • 個別の当てはめに迷うケースは、支払基金・地方厚生局に確認

掲示義務との関係

掲示ナビは医療機関・薬局のウェブサイト掲示義務に対応するサービスなので、掲示との関係も整理しておきます。

難病外来指導管理料も特定薬剤治療管理料も、算定要件は診療録への記載などで、施設基準の届出を要してウェブや院内に掲示する項目ではありません。一方で、医療機関には別に、施設基準を届け出て算定する加算などについての掲示義務があります。生活習慣病管理料のように施設基準・掲示が関わる管理料は生活習慣病管理料とは?で、医療機関が院内・ウェブに掲示すべき項目の全体像は医科・歯科編 ウェブサイト掲示義務の掲示項目で確認できます。掲示ナビは厚生局への届出データを起点に掲示ページを自動生成するため、加算の出入りや改定があっても掲示内容が自動で追従し、届出と掲示の不整合を構造的に防げます。

まとめ

難病外来指導管理料と特定薬剤治療管理料の併算定について、要点を整理します。

  • 両者は、それぞれの要件を満たせば同じ月に両方算定できる
  • 根拠は、特掲診療料の通則が定める「同一月に算定できない」相互排他グループに、特定薬剤治療管理料が含まれないこと
  • 難病外来指導管理料が排他になるのは、通則に列挙された管理料同士(特定疾患療養管理料・てんかん指導料 等)と在宅療養指導管理料などとの間
  • 相互排他リストの特定“疾患療養”管理料と、今回の特定“薬剤治療”管理料は別物。ここを取り違えない
  • 算定は「それぞれの要件を、それぞれ満たす」ことが前提

レセプトで迷ったら、「その管理料が相互排他リストに載っているか」に立ち返ると整理できます。算定の入口を正確に押さえつつ、掲示物の管理のような本質ではない作業に時間を奪われないよう、仕組みに任せられるところは任せて、医療現場の時間を診療に取り戻していきましょう。

出典・参考

一次資料(厚生労働省)

  • 厚生労働省保険局医療課「医科診療報酬点数表に関する事項」(令和8年3月5日 保医発0305第6号 別添1)第2章 特掲診療料 通則1(同一月に併算定できない相互排他グループの列挙。特定薬剤治療管理料は不含)、B001「7」難病外来指導管理料(対象疾病を主病・初診または退院から1か月経過後・月1回・診療録記載)、B001「2」特定薬剤治療管理料1(対象薬剤の血中濃度測定に基づく精密管理) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1なぜ「両方は取れないのでは」と不安になるのか
  2. 2Q1. そもそも「同じ月にひとつ」の相互排他グループとは?
  3. 3Q2. 難病外来指導管理料と特定薬剤治療管理料は同月に両方取れる?
  4. 4Q3. 「特定疾患療養管理料」なら取れないのでは? 名前が紛らわしい
  5. 5Q4. 実際に算定するとき、何を満たせばいい?
  6. 6Q5. 逆に、難病外来指導管理料と「取れない」のはどれ?
  7. 7算定前のチェックリスト
  8. 8掲示義務との関係
  9. 9まとめ
  10. 10出典・参考

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