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診療報酬改定
2026年6月16日 · HIRO

在宅自己注射とCPAP、在宅療養指導管理料は両方算定できる?併算定ルールを解説

在宅自己注射とCPAP、在宅療養指導管理料は両方算定できる?併算定ルールを解説
# 在宅療養指導管理料# 在宅自己注射指導管理料# CPAP# 在宅医療# 令和8年度改定

目次

  1. レセプトの手が止まる「在宅療養指導管理料、両方とれる?」
  2. よくある疑問にお答えします
  3. レセプト点検チェックリスト
  4. 関連する在宅医療の論点
  5. まとめ
  6. 出典・参考

レセプトの手が止まる「在宅療養指導管理料、両方とれる?」

インスリンの在宅自己注射を続けている患者さんが、睡眠時無呼吸でCPAP(在宅持続陽圧呼吸療法)も使っている——在宅医療の現場では珍しくない組み合わせです。

このとき、レセプト作成の手が一瞬止まります。在宅自己注射指導管理料と在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料、どちらも「在宅療養指導管理料」です。両方やっているのだから、両方算定していいのか。それとも、どちらか一方なのか。

結論から言うと、同じ医療機関で同じ月に診ている場合、在宅療養指導管理料そのものは両方は取れず、主たるもの1つだけです。ただし、ここで早合点すると損をします。指導管理料は1つでも、薬剤やCPAPの機器加算(在宅療養指導管理材料加算)はそれぞれ別に算定できるからです。

この記事では、在宅自己注射とCPAPを例に、在宅療養指導管理料の併算定ルールを、厚生労働省の点数表・通知(令和8年度改定の現行)に沿ってQ&A形式で整理します。

よくある疑問にお答えします

Q1. 在宅自己注射とCPAP、在宅療養指導管理料は両方算定できますか?

いいえ。同一の保険医療機関で、同じ患者・同じ月に診ている場合は、両方の在宅療養指導管理料は算定できません。 主たる指導管理の1つだけを算定します。

在宅自己注射指導管理料(区分番号C101)も、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料(C107-2)も、どちらも点数表の「在宅療養指導管理料」という同じグループに属します。このグループには共通のルール(通則)があり、2つ以上の指導管理を行っていても、算定できる指導管理料は主たるもの1つ、と決まっています。

Q2. なぜ2つ取れないのですか?根拠は?

在宅療養指導管理料の通則に、次のように定められているためです。

同一の患者に対して、本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料に規定する在宅療養指導管理のうち2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数のみにより算定する。

「本款各区分」とは、在宅自己注射やCPAPを含む在宅療養指導管理料のグループ全体を指します。つまり、このグループの中で複数の指導管理を行っても、算定するのは主たるもの1つ分の所定点数だけ、というのが原則です。在宅自己注射とCPAPはまさにこの関係に当たります。

Q3. どちらを算定すればいいですか?「主たる」とは?

通則の文言は「主たる指導管理の所定点数のみ」です。どちらが主たる指導管理かは、その患者の診療実態に即して判断します。

運用上は、所定点数の高い方を主として算定するのが一般的です。令和8年度の点数で比べると、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1が2,250点、在宅自己注射指導管理料が複雑な場合で1,230点(注射回数により650点・750点)です。多くのケースではCPAP側が主たる指導管理になりますが、「点数の高い方」と機械的に決めると断言できるわけではない点には注意してください。あくまで主たる指導管理は診療実態に即した判断であり、点数の高低は目安です。

Q4. 指導管理料が1つだけなら、注射薬やCPAPの加算も取れないのですか?

いいえ、ここが最重要ポイントです。指導管理料の本体は1つでも、在宅療養指導管理材料加算・薬剤・特定保険医療材料は、それぞれ別に算定できます。

在宅療養指導管理材料加算についての留意事項通知では、同一の医療機関で2以上の指導管理を行っている場合に主たる指導管理の所定点数を算定するときでも、在宅療養指導管理材料加算、および当該2以上の指導管理に使用した薬剤・特定保険医療材料の費用は、それぞれ算定できるとされています。

たとえば在宅自己注射とCPAPなら、

  • 指導管理料の本体:主たるもの1つ(多くはCPAP側)
  • 在宅療養指導管理材料加算:在宅自己注射側(注入器加算・血糖自己測定器加算など要件を満たすもの)と、CPAP側(機器の加算)を、それぞれ算定できる
  • 薬剤・特定保険医療材料:インスリン等の薬剤、CPAP関連の材料を、それぞれ算定できる

「指導管理料が1つだから、片方の材料や薬剤は捨てなければいけない」というのは誤解です。取りこぼしやすいのはむしろこの材料加算側なので、レセプト点検で漏れがないか確認してください。

Q5. 別々の医療機関でそれぞれ診てもらっている場合は?

これは状況によって扱いが変わります。

留意事項通知では、2以上の保険医療機関が同一の患者について「同一の」在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行っている場合は、特に規定する場合を除き、主たる指導管理を行っている1つの医療機関で算定する、とされています。

一方で、在宅療養支援診療所・病院などからの紹介に基づく連携体制のもとで、それぞれ異なる指導管理を行う場合には、各医療機関でそれぞれ在宅療養指導管理料を算定できる例外規定も設けられています(特定の組み合わせを除く)。

ただし、「在宅自己注射はA院、CPAPはB院」という具体的な組み合わせで両方算定できるかを名指しで定めた規定までは確認できていません。自院だけで判断せず、連携先の算定状況と、必要なら地方厚生局・審査支払機関に確認するのが安全です。

Q6. 消毒綿や注射器は別に算定できますか?

いいえ。アルコール等の消毒薬、衛生材料、酸素、注射器、注射針などは、在宅療養指導管理料の所定点数に含まれており、別に算定できません(材料加算等として別途評価されているものを除く)。

Q4の「材料加算・薬剤は別に算定できる」と混同しやすいところです。別に算定できるのは在宅療養指導管理材料加算として定められたものや薬剤・特定保険医療材料であって、消毒薬や注射器そのものは所定点数に含まれる、と整理してください。

Q7. 令和8年度改定で、このあたりは変わりましたか?

併算定の通則(主たるもの1つ)と、在宅自己注射指導管理料の主要点数は据え置きです。一方、CPAP側にいくつか変更があります。

  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1:2,250点(変更なし)
  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2:250点 → 240点(10点引き下げ)
  • 持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算(15点)を新設(体制要件を満たす場合に上乗せ)
  • 直近3か月すべてで1日平均使用時間が1時間未満の場合に指導管理料2を算定しない、という除外要件が追加(この場合でも在宅療養指導管理材料加算は算定可)

CPAPの点数構成が動いているため、改定後のレセプトでは点数の取り違えに注意してください。

レセプト点検チェックリスト

在宅自己注射とCPAPを併用している患者さんのレセプトでは、次の点を確認すると取りこぼし・過誤を防げます。

  • 在宅療養指導管理料の本体は1つだけになっているか(2つ算定していないか)
  • 算定している指導管理料は、診療実態に照らして主たるものになっているか
  • もう一方の在宅療養指導管理材料加算を算定し忘れていないか
  • それぞれの指導管理に使った薬剤・特定保険医療材料を算定しているか
  • 消毒薬・注射器など、所定点数に含まれるものを誤って別算定していないか
  • CPAPの点数(管理料2の引き下げ・充実管理体制加算の新設)を令和8年度の最新点数で取っているか

関連する在宅医療の論点

在宅療養指導管理料は、在宅医療を支える施設の体制とセットで運用されます。あわせて確認しておくと、算定全体の整理がしやすくなります。

  • 在宅医療を担う施設の基準は「在宅療養支援診療所(在支診)の施設基準と掲示要件」で解説しています。Q5の連携の例外を理解する前提になります。
  • 在宅の医学管理を包括的に評価する在総管については「在総管・施設総管の注16減算と様式19報告」を参照してください。
  • 多職種でのICT連携は「在宅医療情報連携加算の施設基準と掲示要件」で扱っています。

まとめ

在宅自己注射とCPAPの在宅療養指導管理料について、ポイントを整理します。

  • 同一医療機関・同一月・同一患者では、在宅療養指導管理料の本体は主たるもの1つだけ(通則「主たる指導管理の所定点数のみにより算定する」)
  • どちらが主たるかは診療実態で判断。運用上は点数の高い方(多くはCPAP側)が目安だが、機械的に高い方と断定はしない
  • 指導管理料は1つでも、在宅療養指導管理材料加算・薬剤・特定保険医療材料はそれぞれ別に算定できる(取りこぼし注意)
  • 消毒薬・注射器などは所定点数に含まれ別算定不可
  • 別医療機関でそれぞれ診ている場合は扱いが分かれる。同一の指導管理は主たる1機関、連携下の異なる指導管理は例外あり。具体の組み合わせは確認のうえ判断
  • 令和8年度改定では通則・在宅自己注射は据え置き、CPAPの管理料2引き下げと充実管理体制加算の新設に注意

「両方やっているのに1つしか取れない」と感じる場面ですが、材料加算・薬剤まで含めて見れば、必要な評価はきちんと算定できる設計になっています。指導管理料の本体だけで判断せず、材料加算側まで点検することが、過不足のないレセプトにつながります。

出典・参考

一次資料(厚生労働省)

  • 医科診療報酬点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)第2章 第2部 在宅医療 第1款 在宅療養指導管理料 通則/C101 在宅自己注射指導管理料/C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発0305第6号・令和8年3月5日)在宅療養指導管理料 通則・C101・C107-2 の項 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707246.pdf
  • 医科診療報酬点数表(令和6年厚生労働省告示第57号)C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料(令和6年度→令和8年度の点数比較用) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf

二次資料(点数表・解説)

  • しろぼんねっと「在宅療養指導管理料 通則/C101/C107-2(令和8年版)」 https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch2/r08i2_pa2/r08i22_sec2/r08i222_sub1/r08i2221_C107_2.html
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1レセプトの手が止まる「在宅療養指導管理料、両方とれる?」
  2. 2よくある疑問にお答えします
  3. 3レセプト点検チェックリスト
  4. 4関連する在宅医療の論点
  5. 5まとめ
  6. 6出典・参考

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