生活習慣病管理料とは?Ⅰ・Ⅱの違い・点数・算定要件・掲示義務をわかりやすく解説

生活習慣病管理料は、糖尿病・高血圧症・脂質異常症を主病とする患者に対して、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に算定できる管理料です。
2024年度(令和6年度)の診療報酬改定で大きな見直しが行われ、生活習慣病管理料(Ⅱ)の新設と特定疾患療養管理料からの移行が話題になりました。
この記事では、生活習慣病管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い、施設基準、療養計画書のポイント、掲示義務の内容を、文例つきでわかりやすく解説します。
生活習慣病管理料とは
生活習慣病管理料は、許可病床数200床未満の病院又は診療所が対象の管理料です。内科クリニックだけでなく、200床未満の病院でも算定できます。
対象疾患
- 脂質異常症
- 高血圧症
- 糖尿病
上記3疾患のいずれかを主病とする患者(入院中の患者を除く)が対象です。
生活習慣病管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)の比較

| 項目 | 管理料(Ⅰ) | 管理料(Ⅱ) |
|---|---|---|
| 点数(脂質異常症) | 610点 | 333点 |
| 点数(高血圧症) | 660点 | 333点 |
| 点数(糖尿病) | 760点 | 333点 |
| 検査等の包括 | 包括する(検査・注射・病理診断) | 包括しない |
| 算定回数 | 月1回に限り | 月1回に限り |
| 対象医療機関 | 200床未満の病院又は診療所 | 200床未満の病院又は診療所 |
| 療養計画書 | 必要(患者署名あり) | 必要(患者署名あり) |
管理料(Ⅰ)から(Ⅱ)に切り替える場合、(Ⅰ)を算定した月から6ヶ月以内は(Ⅱ)を算定できない点に注意してください。
2024年改定の主な変更点
生活習慣病管理料(Ⅱ)の新設
2024年度改定で、検査等を包括しない生活習慣病管理料(Ⅱ)が新設されました。従来の生活習慣病管理料は(Ⅰ)に名称変更され、点数も各40点ずつ引き上げられています。
特定疾患療養管理料からの移行
最も影響が大きい変更は、特定疾患療養管理料の対象疾患から糖尿病・高血圧症・脂質異常症が除外されたことです。
これまで特定疾患療養管理料(診療所225点・200床未満の病院147点)で3疾患の管理を行っていた医療機関は、生活習慣病管理料(Ⅱ)(333点)への移行が想定されています。療養計画書の作成や掲示義務など、新たな対応が必要になります。
療養計画書の簡素化
改定に伴い、療養計画書の様式が簡素化されました。また、電子カルテ情報共有サービスを利用している場合は、血液検査項目の記載を省略できます。
月1回の治療管理要件の廃止
改定前は「月1回以上の総合的な治療管理」が求められていましたが、改定後は概ね4ヶ月に1回以上の療養計画書の交付に緩和されています。
施設基準の要件
生活習慣病管理料の施設基準は以下の通りです。
基本的な施設基準
- 許可病床数200床未満の病院又は診療所であること
- 生活習慣病管理に関する総合的な治療管理ができる体制を有していること
- 治療計画に基づく総合的な治療管理は、歯科医師・看護師・薬剤師・管理栄養士等の多職種と連携して実施することが望ましい
掲示に関する施設基準
- 患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること
- 掲示事項について、原則としてウェブサイトに掲載していること
届出は不要
生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準は、基準を満たしていれば届出は不要です。地方厚生(支)局長への届出を行う必要はありません。
ただし、外来データ提出加算(注4)を算定する場合は別途届出が必要です。
療養計画書の作成ポイント
生活習慣病管理料を算定するには、療養計画書を作成し、患者に説明・同意を得る必要があります。
初回の対応
- 栄養・運動・休養・喫煙・飲酒・服薬等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨を療養計画書により丁寧に説明する
- 患者の同意を得る
- 療養計画書に患者の署名を受ける
2回目以降の対応
- 医師が治療計画の内容を患者に説明し、患者が十分に理解したことを確認できれば、患者署名は省略可能
- 概ね4ヶ月に1回以上、療養計画書を交付する(内容に変更がない場合も交付が必要)
療養計画書の記載内容
- 患者の基本情報・主病名
- 目標(体重・血圧・HbA1c等の数値目標)
- 食事療法・運動療法の内容
- 服薬管理の方針
- 達成目標・行動目標(患者と相談のうえ設定)
掲示義務の内容と掲示例
生活習慣病管理料を算定する医療機関は、以下の内容を院内に掲示する必要があります。
掲示義務の全体像については

厚生労働大臣が定める掲示事項とは?医科・歯科・薬局別に全項目を解説
厚生労働大臣が定める掲示事項の全体像を医科・歯科・薬局別に解説。令和6年度改定でウェブサイト掲載が義務化された背景や、対応していない場合のリスクについても説明します。
で詳しくまとめています。
掲示が必要な内容
患者の状態に応じ、以下の対応が可能であることを院内の見やすい場所に掲示します。
- 28日以上の長期の投薬を行うことが可能であること
- リフィル処方箋を交付することが可能であること
疑義解釈資料(その1)では、長期投薬とリフィル処方箋交付の「いずれの対応も可能であること」を掲示する必要があることが明確化されています。「28日以上の投薬のみ可能」「リフィルのみ可能」という掲示では不十分です。
また、患者から求められた場合には適切に対応することも求められます。
ウェブサイトへの掲載
院内掲示事項については、2025年5月31日で経過措置が終了し、ウェブサイトへの掲載が必須となりました。具体的な対応方法は

ウェブサイト掲示義務の対応方法|何をどう載せればいい?具体例つきで解説
医療機関のウェブサイト掲示義務について、何を掲載すべきか・どう対応すべきかを具体例つきで解説します。令和8年改定での変更点も網羅。
で解説しています。
掲載すべき項目の一覧は

【医科・歯科編】ウェブサイト掲示義務の具体的な掲示項目一覧【第2部】
医科・歯科のウェブサイト掲示義務の具体的な掲示項目を一覧で整理。全施設共通の5カテゴリー、選定療養12項目、施設基準ごとの掲示要件を網羅しています。
で確認できます。
院内掲示の文例
以下は、そのまま利用できる掲示文例です。
生活習慣病管理料に係るお知らせ
当院では、糖尿病・高血圧症・脂質異常症を主病とする患者様に対して、療養計画書に基づく生活習慣に関する総合的な治療管理を行っています。
患者様の状態に応じ、以下の対応が可能です。
- 28日以上の長期の投薬を行うこと
- リフィル処方箋を交付すること
上記について、ご希望がございましたらお気軽に医師・スタッフにご相談ください。
○○クリニック(○○病院)
まとめ
生活習慣病管理料は、2024年度改定で(Ⅱ)が新設され、特定疾患療養管理料からの移行に伴い多くの医療機関に影響がある管理料です。
押さえておくべきポイントは以下の通りです。
- 対象は200床未満の病院又は診療所(内科クリニック限定ではない)
- 管理料(Ⅰ)は検査等を包括(610〜760点)、(Ⅱ)は包括しない(333点)
- 施設基準は届出不要(基準を満たしていればOK)
- 療養計画書の作成と患者署名(初回)が必要
- 28日以上の長期投薬・リフィル処方箋対応可であることを院内に掲示する
- 2025年6月からウェブサイトへの掲載が義務化された
掲示義務のWeb対応についてお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
なお、同じく施設基準の掲示義務がある加算として

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参考資料
- 令和6年度診療報酬改定の概要 個別改定項目(医科・その他)(PDF) — 厚生労働省保険局医療課
- 基本診療料の施設基準等に係る届出書・届出様式(令和6年度) — 関東信越厚生局
- 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について — 厚生労働省