掲示ナビ
ブログプレスリリース
ブログ/診療報酬改定/R8改定の通知訂正、在宅医療以外で見落としやすい論点|疑義解釈4を踏まえた修正点を読み解く
診療報酬改定施設基準
2026年5月23日 · HIRO

R8改定の通知訂正、在宅医療以外で見落としやすい論点|疑義解釈4を踏まえた修正点を読み解く

R8改定の通知訂正、在宅医療以外で見落としやすい論点|疑義解釈4を踏まえた修正点を読み解く
# R8改定# 通知訂正# 疑義解釈# 電子的診療情報連携体制整備加算# 急性期総合体制加算# Web掲示

R8改定(令和8年度診療報酬改定)の関連通知は、3月5日付で本体が出揃ったあと、4月21日に疑義解釈その4が、5月1日に関連通知の訂正事務連絡が発出されています。前作『

R8通知訂正で「在宅医療の基準緩和」が施設基準通知に正式反映|掲示への影響と5月中の点検ポイント

R8通知訂正で「在宅医療の基準緩和」が施設基準通知に正式反映|掲示への影響と5月中の点検ポイント

5月1日付の通知訂正で、疑義解釈4の在宅医療基準緩和が施設基準通知本体に正式反映。重度認知症患者の特例で重症患者割合「1割5分」、訪問100人ルールの「0.5人みなし」、8月の往診基準確認義務化を整理し、掲示への影響と5月中の点検ポイントを解説。

』(2026-05-19公開)では、訂正のうち在宅医療充実体制加算の重症患者割合緩和に絞って解説しました。

ただし5月1日訂正は、訂正本体PDF冒頭の対象通知リスト(別添1〜別添11)によれば 11通知の関連通知を一括訂正 したもので、在宅以外にも16項目を超える重要な変更が含まれています。報道は「在宅の基準緩和」一色になりがちで、外来・入院・人員配置・ベースアップに関わる論点が見落とされやすい構造です。本記事では、その「在宅以外」のうち、クリニック院長と中規模病院の事務責任者に効く4つを軸に、補助論点を含めて整理します。施行は6月1日、再届出の必着期限が6月1日に迫っている加算もあるため、5月最終週の最終チェックに使ってもらえれば。

目次

  1. 4月21日の疑義解釈と5月1日訂正の全体像
  2. 論点A:電子的診療情報連携体制整備加算 — 再届出は6月1日必着、月1回算定で同月併算定不可
  3. 論点B:急性期総合体制加算 — 二次医療圏再編と地域包括医療病棟のみなし規定
  4. 論点C:地域医療体制確保加算2 — 「特定診療科」「研修」「給与配慮」の解釈整理
  5. 論点D:重症度、医療・看護必要度 — 救急患者応需係数の算出
  6. 補助論点:見落としやすい訂正・解釈4つ
  7. 業態別チェックリスト
  8. 掲示・届出への影響と仕組み側の備え
  9. よくある質問
  10. まとめ

4月21日の疑義解釈と5月1日訂正の全体像

R8改定の通知体系は、3月5日付の保医発0305第6号(留意事項通知)と保医発0305第7号(基本診療料の施設基準)、第8号(特掲診療料の施設基準)を骨格に、3月27日付の保医発0327第6号(掲示事項等の留意事項通知)が乗る形で組み上がっています。施行はすべて 令和8年6月1日。

そこに4月以降、疑義解釈その1(3/23)→ その2(4/1)→ その3(4/20)→ その4(4/21)→ その5・6(5月、追加Q&A発出) とQ&Aが立て続けに発出され、その内容を反映する形で 4月2日と5月1日に「関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について」事務連絡 が出ました。「訂正」と名乗っていますが、実質的には初期通知では曖昧だった解釈を施設基準通知本体に書き戻す作業で、現場の届出判断にそのまま跳ね返ります。

5月1日訂正の対象は、訂正本体PDF冒頭の対象通知リスト(別添1〜別添11)によれば 正確に11通知。内訳は、3月5日付の保医発0305第2・4・6・7・8・9・13・17号(第9号は訪問看護ステーションの基準)と、3月27日付の保医発0327第2号、保医発0327第3号(歯科の診療録及び診療報酬明細書に使用できる略称、単独発出)、および老老発0327第2号・保医発0327第4号(医療保険と介護保険の給付調整、連名発出)の計11通知が一括で訂正されました。

ここで扱う在宅以外の主な論点は次の4本です。

#論点主な対象訂正・解釈の根拠
A電子的診療情報連携体制整備加算(新加算)の再届出と同月重複算定の整理全業態(医科・歯科)疑義解釈その4 問1〜4
B急性期総合体制加算と二次医療圏再編・統合のみなし規定中規模病院・地域中核病院疑義解釈その4 問8〜9 / 5/1訂正で保医発0305第7号に追記
C地域医療体制確保加算2の特定診療科・研修・給与体系の解釈急性期病院・大学病院疑義解釈その4 問10〜14
D重症度、医療・看護必要度の救急患者応需係数の算出方法急性期一般入院料・地域包括医療病棟を持つ病院疑義解釈その4 問5〜7

Aは無床クリニックを含むほぼ全業態に届出義務、B〜Dは中規模以上の病院が直撃を受ける構造です。順に見ていきます。

4月21日の疑義解釈、5月1日の訂正、6月1日施行までの流れと、論点A〜Dが施行日に重なるスケジュール図

論点A:電子的診療情報連携体制整備加算 — 再届出は6月1日必着、月1回算定で同月併算定不可

R8改定の目玉のひとつが、医療DX関連加算の再編です。R6改定で新設された 「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」は、令和8年5月31日をもって算定終了。6月1日からは新加算「電子的診療情報連携体制整備加算」に統合・再編 されます。両加算の点数自体は消えますが、要件を見直したうえで新加算に発展的に統合される構造です。点数構成は次のとおり。

区分加算1加算2加算3
初診加算(月1回)15点9点4点
再診加算(月1回)2点2点2点
入院加算(入院初日)160点80点—

※ 初診加算・再診加算はいずれも月1回算定。入院加算は入院初日のみ算定可、加算3には入院加算なし。

ポイントは3つあります。

  1. 旧加算からの自動移行はありません。「医療DX推進体制整備加算」「医療情報取得加算」を算定している施設も、6月1日以降に新加算を算定するなら、新たに届出が必要です。届出期限は令和8年5月7日〜6月1日必着(地方厚生(支)局によって受付運用に細部差があるため、自院所在地の厚生局案内の確認を推奨)。
  2. 施設基準に実績要件が組み込まれました。 マイナ保険証利用率30%以上が加算1〜3共通の必須要件で、加算1・加算2には追加で電子処方箋発行体制や電子カルテ情報共有サービス対応などの要件が加わります(加算1は要件をすべて満たすこと、加算2はいずれかを満たすこと、加算3は共通要件のみ、という整理)。R6時点では「体制整備」中心だった旧加算が、利用実績と機能要件で判定される加算に質的に変わっています。
  3. 同月内併算定の明示禁止が疑義解釈で確定しました。 これが疑義解釈その4 問4の論点です。

疑義解釈その4 問1〜4の確定事項

疑義解釈その4(令和8年4月21日付)の冒頭4問で、新加算の運用解釈が確定しています。

  • 問1:「電子処方箋を発行する体制」「調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制」の定義
  • 問2:「電子処方箋管理サービスとの接続インターフェース」=「電子処方箋の運用開始日が登録され、厚生労働省ウェブサイトにおいて電子処方箋対応施設として公表されている状態」
  • 問3:「電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェース」=同様に運用開始日登録+ウェブ公表が条件(ただし入力機能・公表ページは執筆時点で準備中)
  • 問4:A001再診料注19・A002外来診療料注10の電子的診療情報連携体制整備加算と、A000初診料注16の同加算を同月内に算定可能か → 「いずれも算定不可」

問4の影響が地味に大きいです。初診月に同一患者が他の傷病で再診を受けた場合や、別の傷病で初診を受けた場合に、「初診注16と再診注19の両方を算定できるのではないか」という誤解が現場にありました。疑義解釈その4は 「初診加算(注16)と再診/外来診療加算(注19/注10)の同月内併算定はいずれも不可」 と確定しています。

加えて、加算自体に「初診加算・再診加算ともに月1回」の算定上限がある(点数表の構造)ため、結果として 同月内に同一患者で本加算を2回以上算定する余地はありません。問4のスコープは「初診↔再診/外来診療」の組み合わせ限定ですが、月1回上限の別ルートからも同一患者・同月内の重複算定は遮断される、という二重構造になっています。

掲示・運用への影響

新加算は施設基準告示に「マイナ保険証利用率30%以上」などの実績要件が入っており、Web掲示すべき「届出事項」の中身も差し替えが必要です。6月1日以降、旧加算名のままで届出事項を掲示している施設は、その時点で掲示義務違反になります。届出書一覧、院内掲示物、Web掲示ページの3軸で「医療DX推進体制整備加算 → 電子的診療情報連携体制整備加算」への置き換えを確実に終わらせてください。

論点B:急性期総合体制加算 — 二次医療圏再編と地域包括医療病棟のみなし規定

R8改定では、R6まで存在した 総合入院体制加算と急性期充実体制加算が統合され、「急性期総合体制加算」 として5区分構成の新加算に再編されました。最高は 加算1(7日以内530点/日) で、従来の急性期充実体制加算1(440点)を上回ります。

5月1日訂正で焦点になったのは、「地域最多救急病院」判定と二次医療圏再編・統合への対応 です。疑義解釈その4 問8〜9で示された運用が、施設基準通知(保医発0305第7号)本体に追記されました。

疑義解釈その4 問8:地域最多救急病院の判定方法

「自院が所属する二次医療圏で救急搬送件数が最多」を判定する方法について、疑義解釈はこう示しています。

直近の病床機能報告のデータ等に基づき確認した上で届出を行うこと。この際、当該二次医療圏において、自院の救急搬送件数の概ね8割以上の実績を有する他の医療機関が存在する場合、又は新設、再編若しくは統合等により自院を上回る救急搬送件数となる可能性のある医療機関が存在する場合には、必要に応じて、当該医療機関に対し前年度の救急搬送件数を照会する等により確認を行うこと。 (疑義解釈その4 問8)

「8割以上の他施設」がいる二次医療圏では、自院判定だけで届出を完結できず、他施設への照会まで踏み込む必要があります。地方の中核病院で「うちが最多」と思い込んで届出を出した結果、別の病院も同等規模だったケースが想定されており、届出時の確認手順を文書で残しておくのが現実的です。

疑義解釈その4 問9:二次医療圏再編・統合のみなし規定

5月1日訂正のハイライトがここです。人口20万人未満の二次医療圏が再編・統合で20万人以上の二次医療圏に編入された場合、当分の間、再編・統合前の20万人未満二次医療圏に所在するものとみなす ことが、疑義解釈で確定し、施設基準通知本体に書き戻されました。

再編・統合前の20万人未満二次医療圏に所在していた医療機関については、当分の間、人口20万人未満の二次医療圏に所在するものとみなして差し支えない。 (疑義解釈その4 問9)

地方の医療圏再編はここ数年で各都道府県が進めており、特に北海道・東北・中国地方の中核病院に直撃します。再編後の医療圏で人口要件が外れて加算対象から外れる、という事態を防ぐためのみなし規定で、再編前の医療圏所在として届出・算定を継続できます。

同じ問9で 「再編・統合前の20万人未満二次医療圏に所在する医療機関のうち、救急搬送件数が最も多い病院」については、施設基準通知別添2第2の4の10の(2)ウに規定する基準のうち救急搬送件数が最も多いもの及び施設基準通知別添3第1の6に規定する地域最多救急病院に該当するものとみなして差し支えない、とも示されています。地域配慮がかなり厚く効いている読み解きです。

地域包括医療病棟届出施設のみなし

別途、5月1日訂正で保医発0305第7号に追記された経過措置として、「2026年3月31日現在で地域包括医療病棟を届け出ている場合、急性期総合体制加算の基準を満たすと見做す」 が確定しています。地域包括医療病棟はR6改定の目玉でしたが、R8改定で急性期総合体制加算が新設されたことで「移行の整合性」が問われていた論点が、訂正で正面から決着しました。

論点C:地域医療体制確保加算2 — 「特定診療科」「研修」「給与配慮」の解釈整理

地域医療体制確保加算2(A252)は、医師の働き方改革に連動した加算で、施設基準に「特定診療科に係る適切な研修を受けた看護師」「特定診療科の医師の給与体系における特別な配慮」など曖昧な文言が並んでおり、4月時点で多くの中規模病院が判断保留していました。疑義解釈その4 問10〜14で5項目の解釈が一気に整理されました。

問10:「特定診療科に係る適切な研修」の中身

「集中治療、術後疼痛管理、呼吸ケア等、特定診療科に係る適切な研修」とは、以下4区分のいずれかを修了した看護師、または日本集中治療医学会の集中治療認証看護師を指す、と確定しました。

  1. 日本看護協会認定看護師教育課程「クリティカルケア」「新生児集中ケア」「小児プライマリケア」(後2者は小児外科が特定診療科の場合に限る)
  2. 日本看護協会認定看護系大学院「急性・重症患者看護」専門看護師教育課程
  3. 特定行為に係る看護師の研修制度9区分のいずれか1つ以上(呼吸器・気道確保/呼吸器・人工呼吸療法/栄養及び水分管理/動脈血液ガス分析/血糖コントロール/循環動態/術後疼痛管理/循環器/精神及び神経症状)
  4. 集中治療領域・救急領域・術中麻酔管理領域・外科術後病棟管理領域のパッケージ研修

問11〜12:消化器外科の細分化を1つの診療科として扱える条件

上部消化管・下部消化管・肝胆膵で診療科が細分化されている施設では、「消化器に係る手術等の外科的治療を主として行っており、原則として消化器外科以外の診療科の診療を実施していない場合には、複数の診療科を合わせて1つの消化器外科として特定して差し支えない」 とされました。

ただし問12で 「実態として、各診療科で独立した勤務体制を取っている場合には、それぞれの診療科で交代勤務制又はチーム制の要件を満たす必要がある」 と釘が刺されています。「統合してよい」だけ拾うと届出後に勤務体制側で躓くので、運用実態とセットで判断してください。

問13:常勤・非常勤の給与配慮の温度差

「特定診療科の医師の給与体系に他の診療科の医師とは異なる特別な配慮」については、「常勤医師については、他の診療科の医師とは異なる特別な配慮を行っている必要があり、当該特定診療科の非常勤医師についても、同様の配慮を行っていることが望ましい」 と整理されました。常勤は必須、非常勤は努力義務、という温度差が確定です。

問14:若手医師育成の取組の具体例

「臨床研修終了後の研修を地域の他の保険医療機関と連携して行うなど、地域で協働して医師の育成を図るための取組」の具体例として、4つが示されました。

  1. 連携先での専門研修実施
  2. hands-onセミナーやカダバートレーニング等の手技研修を年複数回(うち年1回以上自施設)
  3. 指導医派遣
  4. 地域他施設からの若手医師受入

「地域連携で若手育成」と書かれていても、何をすれば要件を満たしたことになるのかが従来は曖昧でした。4つの例示によって、人事・教育部門が動きやすくなった整理です。

論点D:重症度、医療・看護必要度 — 救急患者応需係数の算出

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に 「救急患者応需係数」 が新たに組み込まれました。算出方法について疑義解釈その4 問5〜7で詳細解釈が示されています。

問5:特定入院料を持つ病院の算出方法

特定集中治療室、小児入院医療管理料1〜5、地域包括ケア入院医療管理料などの特定入院料への救急搬送入院件数は、「直近1年間における救急搬送により当該保険医療機関に入院した患者」および「入院基本料を算定するものとして届け出た病床に入院した患者」には含めない、と整理されました。一方、病院の救急搬送受入件数には入院(特定入院料含む)・外来を含めた 全件数 を含めます。

具体例:特定集中治療室管理料3が5床、急性期一般入院料4が100床、地域包括医療病棟入院料2が50床の病院で、救急搬送受入件数1,000件、救急搬送入院件数450件(うち特定集中50件、急性期一般入院料4が300件、地域包括医療2が100件)の場合:

  • 急性期一般入院料4の救急患者応需係数 = 1,000 ×(300 ÷(300 + 100))÷ 100 × 0.005 = 0.0375
  • 地域包括医療病棟入院料2の救急患者応需係数 = 1,000 ×(100 ÷(300 + 100))÷ 50 × 0.005 = 0.025

問6:病床数の数え方

「当該入院基本料を算定するものとして届け出た病床数」については、「当該特定入院料を算定するものとして届け出た病床数(小児入院医療管理料5を除く)は、当該入院基本料を算定するものとして届け出た病床から除外して、当該入院基本料を算定するものとして届け出た病床数を算出すること」 とされました。

具体例:一般病床100床の病院で、急性期一般入院料4を100床届け出、地域包括ケア入院医療管理料1を20床届け出ている場合、「当該入院基本料を算定するものとして届け出た病床数」は 80床(100 − 20)。

問7:年度途中で病床数が変動した場合

直近1年間に届出区分の病床数に変動があった場合は 加重平均 で算出します。例:急性期一般入院料4を100床届け出、前年度12月に40床に変更した場合は、(100 × 8/12) + (40 × 4/12) = 80床 で計算します。

数値の組み合わせが多く、改定告示時点では計算式の解釈が施設間でバラついていました。算定要件の閾値ぎりぎりの施設 は、6月施行前にこの3問を踏まえて再計算しておくことを推奨します。

救急患者応需係数の計算例:疑義解釈その4 問5の数値を用いた計算式と数値ブロックの図解

補助論点:見落としやすい訂正・解釈4つ

A〜Dの主要4論点のほかに、業態を問わず確認しておきたい補助論点を4つ拾います。

ベースアップ評価料における派遣職員の消費税分の取扱い

疑義解釈その4 別添2 問2で、派遣職員の賃金改善に伴い増加する消費税分の扱いが整理されました。実績報告書上は「ベア等に伴う賞与、時間外手当、法定福利費(事業者負担等を含む。)等の増加分に用いた額」として計上できます。

ただし、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の 区分計算における「月額賃金総額」には、派遣職員の賃金改善に伴い増加する消費税分を含めない と明示されました。区分計算で消費税分を入れてしまうと区分判定が狂い、再算定の手戻りが大きくなります。事務処理ルールとして固めておきたい論点です。

外科医療確保特別加算 — 年間200例の数え方

外科医療確保特別加算の施設基準にある「医科点数表第2章第10部に掲げる長時間かつ高難度な手術(中略)を合わせて年間200例以上実施していること」について、疑義解釈その4 問34で 「外科医療確保特別加算の算定に係る届出を行った特定診療科において、当該対象手術を合算して年間200例以上実施していることを指す」 と確定しました。「病院全体で200例」か「特定診療科で200例」かが現場で迷いどころでしたが、後者で確定です。

子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算 — IG+RI併用時の算定

K879・K879-2の子宮悪性腫瘍センチネルリンパ節生検加算について、インドシアニングリーンおよび 放射性同位元素を用いてセンチネルリンパ節生検を実施した場合は 「主たるもののみ算定」 と疑義解釈その4 問35で確定しました。「両方使ったので両方算定できる」と読まれかねない条文を、明確に整理しています。

オンライン診療で初診開始した患者の再診時、向精神薬は処方できない

疑義解釈その4 問16で、「初診を情報通信機器を用いた診療で実施し、再診も情報通信機器を用いた診療を行った場合、向精神薬を処方することはできるか」 → 「不可」 と確定しました。

根拠は令和8年4月1日に改正された医療法施行規則第9条の6の13第3項で、「医師又は歯科医師は、オンライン診療を行う場合において、初診でない場合であってその症状等について対面診療を経ている場合を除いては、次に掲げる処方を行ってはならない」とされ、対象に「麻薬及び向精神薬取締法第2条第1項第1号に規定する麻薬及び同項第6号に規定する向精神薬の処方」が含まれています。精神科・心療内科でオンライン診療を行う施設は、初診から再診までの全工程の運用フローを再確認しておく必要があります。

業態別チェックリスト

ここまでの論点を業態別に整理すると次のとおりです。

業態主な影響6月1日までに必要な動き
医科クリニック(無床)電子的診療情報連携体制整備加算の再届出、オンライン診療での向精神薬制限(精神科系)旧加算届出書の確認 → 新加算の届出様式入手 → 5/7〜6/1必着で再届出 → Web掲示文の差し替え
中規模病院(200床以下〜400床)急性期総合体制加算の地域配慮みなし、二次医療圏再編対応、救急患者応需係数の算出、地域医療体制確保加算2の研修・特定診療科解釈、入院ベースアップ評価料の派遣消費税分自院所在の二次医療圏の再編状況確認 → 地域最多救急判定の根拠資料整備 → 看護必要度の係数再計算 → 加算2の研修要件チェック
急性期高機能病院・大学病院急性期総合体制加算の地域最多救急判定、地域医療体制確保加算2、外科医療確保特別加算、子宮悪性腫瘍センチネルIG+RI併用8割以上の他施設への照会、特定診療科統合の運用実態確認、若手医師育成取組の文書化
歯科診療所ベースアップ評価料関連(派遣職員消費税分、歯科技工所ベースアップ支援料)、歯科略称関係ベースアップ評価料IIの区分計算で派遣分を除外する事務処理ルール整備
薬局電子処方箋管理サービスへの登録、ベースアップ評価料の派遣職員消費税分電子処方箋サービスへの運用開始日登録 → 厚労省ウェブ公表の確認

医科に偏った訂正ではあるものの、歯科・薬局にもベースアップ評価料関連の影響があり、「業態横断で再確認すべき」訂正セットと位置づけて差し支えありません。

掲示・届出への影響と仕組み側の備え

R8改定の本体施行が6月1日、再届出が6月1日必着、それまでに本体通知の訂正が4月2日と5月1日に二度、Q&Aが3月から5月まで計6回出ました。届出書 → 加算名 → 掲示文 → Web掲示 の4段階を、これらすべての改定・訂正・Q&Aに手作業で追随させ続けるのは、現実的には相当しんどい構造です。

特に「医療DX推進体制整備加算 → 電子的診療情報連携体制整備加算」のような名称変更は、Web掲示・院内掲示・契約書・パンフレットなど 掲示物のすべてに同時に反映が必要 で、1つ漏れるとWebと院内で内容が違う・届出と掲示が一致しないという、適時調査や個別指導で頻出する指摘パターンに直結します。

中の人(僕)は発信担当として並走してきた立場で書きますが、掲示ナビは 厚生局の届出データを起点に掲示ページを自動生成する 仕組みで、加算名や掲示内容の改定追従を仕組み側で吸収するように作られたと開発者から聞いています。届出データが変われば掲示も変わる、改定が来ても医療現場の手は止まらない、というのが目指している姿です。今回のように6/1までに11通知の訂正と疑義解釈6本を反映しなければならない局面では、手運用と仕組み運用の差がはっきり見えるはずです。

よくある質問

Q1. 電子的診療情報連携体制整備加算の届出期限を過ぎてしまった場合は?

加算を算定できる時期が後ろにずれます。届出期限(令和8年5月7日〜6月1日必着)を過ぎても届出自体は可能ですが、6月1日以降の算定開始ができなくなります。マイナ保険証利用率の実績要件もあるため、自院所在地の厚生(支)局に届出様式と運用を確認してください。

Q2. 「医療DX推進体制整備加算」を5月31日まで算定していた場合、6月以降は自動で新加算に切り替わる?

切り替わりません。旧加算は5月31日をもって算定終了(廃止・新加算へ統合)、新加算は再届出が必要です。届出が間に合わない場合、6月以降は新加算を算定できません。

Q3. 二次医療圏再編のみなし規定はいつまで適用される?

疑義解釈その4 問9では 「当分の間」 とされています。期限は明示されていませんが、次の制度見直しまでは継続する見込みです。

Q4. 救急患者応需係数の算出で「年度途中の病床変動」はどこまで遡る?

直近1年間が対象です。前年度12月に40床に変更した例(問7)のように、変動前後の月数で加重平均を取ります。

Q5. 地域医療体制確保加算2の「特定診療科」を統合できる条件は外科だけ?

問11・12で示されたのは消化器外科の例ですが、考え方は「複数の細分化診療科が実質的に1つの診療科として運営されている場合」に汎用化できます。ただし勤務体制が独立している場合は統合できないので、診療科ごとに実態を確認する必要があります。

Q6. 派遣職員の賃金改善消費税分を区分計算に入れてしまった場合は?

再算定が必要です。疑義解釈その4 別添2 問2で「含めない」と明示されたので、過去の計算結果も含めて見直し、区分変更の届出が必要なら修正届を出します。

Q7. オンライン診療の初診で対面を経ない患者には、向精神薬以外なら処方できる?

医療法施行規則第9条の6の13第3項の処方禁止対象は「麻薬及び向精神薬」です。それ以外の医薬品については、別途オンライン診療指針の処方要件を満たす必要があります。

Q8. 5月1日訂正の本体PDFはどこで見られる?

厚生労働省ウェブサイトの「令和8年度診療報酬改定について(令和8年4月以降の改正分)」ページから、001700249.pdf で参照できます(容量 約16.9 MB)。

まとめ

R8改定関連の5月1日訂正は、11通知の一括訂正で16項目超の重要な変更が含まれています。在宅医療の基準緩和が報道で目立つ一方、在宅以外にも次の論点が直撃します。

  1. 電子的診療情報連携体制整備加算 — 旧加算(医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算)からの自動移行なし、6/1必着で再届出、初診・再診加算は月1回、初診↔再診/外来診療の同月内併算定は不可(疑義解釈その4 問1〜4)
  2. 急性期総合体制加算 — 二次医療圏再編・統合時の「当分の間」みなし規定、地域包括医療病棟届出施設のみなしが追記(疑義解釈その4 問8〜9、5/1訂正で保医発0305第7号反映)
  3. 地域医療体制確保加算2 — 4区分研修要件、消化器外科統合条件、常勤・非常勤の給与配慮、若手医師育成4例の整理(疑義解釈その4 問10〜14)
  4. 救急患者応需係数 — 特定入院料を持つ施設の算出、加重平均ルールの確定(疑義解釈その4 問5〜7)

これに加えて、派遣職員ベースアップ消費税分の取扱い、外科医療確保特別加算の200例の数え方、子宮悪性腫瘍センチネルIG+RI併用、オンライン診療の向精神薬処方制限など、業態横断で実務に効く訂正・解釈が続いています。

掲示義務のWeb対応についてお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

参考資料

  • 厚生労働省 保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その4)」令和8年4月21日付 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001694332.pdf
  • 厚生労働省 保険局医療課「令和8年度診療報酬改定関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について」令和8年5月1日付(事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001700249.pdf
  • 厚生労働省 保険局医療課「令和8年度診療報酬改定関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について」令和8年4月2日付(事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001698334.pdf
  • 厚生労働省 保険局医療課「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリストの送付について(5/1訂正分)」令和8年5月1日付 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001697773.pdf
  • 厚生労働省 保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その3)」令和8年4月20日付 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001693874.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(令和8年4月以降の改正分)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00074.html
  • 厚生労働省 医政局長通知「オンライン診療指針 別添3 医療機関向けチェックリスト」医政発0327第5号(令和8年3月27日付) https://www.mhlw.go.jp/content/001681020.pdf
  • 関連記事:
R8通知訂正で「在宅医療の基準緩和」が施設基準通知に正式反映|掲示への影響と5月中の点検ポイント

R8通知訂正で「在宅医療の基準緩和」が施設基準通知に正式反映|掲示への影響と5月中の点検ポイント

5月1日付の通知訂正で、疑義解釈4の在宅医療基準緩和が施設基準通知本体に正式反映。重度認知症患者の特例で重症患者割合「1割5分」、訪問100人ルールの「0.5人みなし」、8月の往診基準確認義務化を整理し、掲示への影響と5月中の点検ポイントを解説。

(2026-05-19公開)

掲示ナビ|HP掲示の義務化をシステムに任せる
ブログ一覧に戻る
厚生労働大臣の定める掲示事項を自動で生成掲示ナビ

Author

HIRO

HIRO

医療系専門ライター

Threads

診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 14月21日の疑義解釈と5月1日訂正の全体像
  2. 2論点A:電子的診療情報連携体制整備加算 — 再届出は6月1日必着、月1回算定で同月併算定不可
  3. 3論点B:急性期総合体制加算 — 二次医療圏再編と地域包括医療病棟のみなし規定
  4. 4論点C:地域医療体制確保加算2 — 「特定診療科」「研修」「給与配慮」の解釈整理
  5. 5論点D:重症度、医療・看護必要度 — 救急患者応需係数の算出
  6. 6補助論点:見落としやすい訂正・解釈4つ
  7. 7業態別チェックリスト
  8. 8掲示・届出への影響と仕組み側の備え
  9. 9よくある質問
  10. 10まとめ
掲示ナビ

お問い合わせ

support@mail.keiji-navi.jp050-7107-5157

リンク

ブログプレスリリース利用規約プライバシーポリシー特定商取引法に基づく表記

© 2026 掲示ナビ|運営 株式会社ウェルピポ

Category

すべての記事86施設基準54診療報酬改定39掲示義務29医療DX9適時調査・指導5保険外併用療養費4経営2広告・Web戦略2労働安全衛生1

Archive

2026年5月232026年4月63

Tags

施設基準掲示義務院内掲示2026年度改定Web掲示適時調査医療DXベースアップ評価料疑義解釈電子的診療情報連携体制整備加算薬局診療報酬改定令和8年改定賃上げ在宅医療経過措置歯科選定療養施設基準届出電子カルテ情報共有サービス