【令和8年9月30日締切】Web掲載の猶予が残る加算は2つだけ|訪問看護医療情報連携加算の経過措置に注意

2026年(令和8年)6月1日の診療報酬改定で、掲示事項のウェブサイト掲載(Web掲示)は原則として一律で本格適用されました。「6月からはもう猶予がない」という理解が広まっていますが、これは大筋で正しい一方、ひとつだけ見落とされやすい例外があります。Web掲載に時限的な経過措置(猶予期間)が付いた加算が、施設基準の通知に2つだけ存在するのです。
そのうちのひとつ、訪問看護医療情報連携加算のウェブサイト掲載の猶予は、令和8年9月30日で切れます。6月施行から数えると、残りはおよそ3か月。「Web掲載は全部6月から本番」と思い込んでいると、9月末の締切を見落としかねません。
この記事では、6月1日施行後にWeb掲載の経過措置が残っている加算を一次資料で正確に切り分け、いつまでに何をすべきかを整理します。Web掲示義務の制度全体はウェブサイト掲示義務とは?制度の全体像と対応期限を解説【第1部】で、6月1日施行直後の総点検は【2026年6月施行】Web掲示が抜けていると算定できない?業態別・施行直後チェックリストで扱っています。本記事は「Web掲載の締切が後ろにずれている、数少ない例外」にしぼった話です。
大前提:Web掲載の一般的な猶予はない
最初に誤解をほどいておきます。令和8年6月の改定で、掲示事項のウェブサイト掲載そのものに、横断的・一般的な猶予は設けられていません。
R6改定(2024年)でいったん設けられたWeb掲載の経過措置(令和7年5月31日まで)は、すでに終了しています。そのうえで令和8年6月の改定では、掲示事項のWeb掲載は令和8年6月1日から一律で適用される建て付けです。根拠通知である「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」の実施上の留意事項(保医発0327第6号、令和8年3月27日、令和8年6月1日適用)の本体にも、Web掲載を先送りする経過措置は置かれていません。
つまり、基本的な掲示事項(入院基本料・届出施設基準・明細書発行状況・保険外負担など)のWeb掲載は、6月1日からすでに本番です。ここに「9月まで待っていい」といった猶予はありません。
例外は、施設基準そのものにWeb掲載が組み込まれた一部の加算で、その加算の届出に関する事項に時限的な経過措置が個別に付いているケースです。これが次の2つです。
例外その1:訪問看護医療情報連携加算(令和8年9月30日まで)
ひとつめが、令和8年6月改定で新設された訪問看護医療情報連携加算です。
この加算の施設基準では、連携体制や連携先機関の名称などを保険医療機関の見やすい場所に掲示すること(院内掲示)に加えて、その掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載していることが求められます(自ら管理するホームページ等を有しない場合はこの限りではありません)。
ここに経過措置が付いています。特掲診療料の施設基準等の取扱いについて(保医発0305第8号)の届出に関する事項で、このウェブサイト掲載の要件については、令和8年9月30日までの間に限り、基準を満たしているものとみなすとされています。
整理すると、こういうことです。
- 院内掲示は6月1日から必要
- ウェブサイト掲載は令和8年9月30日までは猶予される(HPがあっても、9月末までに載せればよい)
- 10月1日以降は、HPがある場合、ウェブサイト掲載まで満たしていないと施設基準を欠く
新設加算なので、6月に届け出て算定を始めた医療機関ほど、この9月末の締切が効いてきます。「院内には貼ったが、HPはまだ」という状態でも当面は算定できますが、それは9月30日まで。施行直後のいま、忘れないうちにHP掲載まで済ませてしまうのが安全です。
混同しやすい:在宅医療情報連携加算には9月末の猶予はない
ここで注意したいのが、名前のよく似た在宅医療情報連携加算・在宅歯科医療情報連携加算です。これらにも、ほぼ同じ文言のウェブサイト掲載要件があります。ところが、令和8年9月30日までの経過措置が付いているのは新設の訪問看護医療情報連携加算だけで、在宅医療情報連携加算・在宅歯科医療情報連携加算のWeb掲載には、この猶予がありません。
つまり、在宅・在宅歯科のほうは6月1日からウェブサイト掲載まで本番です。「連携加算系はどれも9月末まで猶予がある」と一括りにすると取り違えます。自院が算定しているのがどの加算かを確認してください。
例外その2:内視鏡手術用支援機器加算(令和9年5月31日まで)
ふたつめが、内視鏡手術用支援機器加算です。
こちらは掲示事項そのものというより、実績の公表に関する要件です。施設基準で、内視鏡手術用支援機器を用いた手術の前年の実績(症例数および平均在院日数)をウェブサイトに掲載していることが求められますが、この実績のウェブサイト公表については、令和9年5月31日までの間に限り、基準を満たしているものとみなすとされています(保医発0305第8号、および届出様式の記載上の注意で整合)。
こちらは手術実績の公表という特殊な要件で、対象も限られます。期限も令和9年5月31日と1年先なので、訪問看護医療情報連携加算ほど差し迫ってはいません。ただ「Web掲載に締切が残っている例外」としては、この2つで全部です。
まとめると:Web掲載の締切が残っているのはこの2つだけ
| 加算 | Web掲載要件の内容 | 経過措置の期限 |
|---|---|---|
| 訪問看護医療情報連携加算 | 連携体制・連携先の掲示事項 | 令和8年9月30日まで |
| 内視鏡手術用支援機器加算 | 前年の手術実績(症例数・平均在院日数)の公表 | 令和9年5月31日まで |
この2つ以外の掲示事項・加算のWeb掲載には、新たな猶予はありません。基本の掲示事項も、Web掲載が施設基準になっている他の加算(電子的診療情報連携体制整備加算、機能強化加算など)も、6月1日からすでに適用されています。どの加算でWeb掲示が算定要件になっているかはWeb掲示が算定要件の加算【完全リスト】で逆引きできます。
「施設基準の9月末猶予」と混同しない
最後にひとつ注意点です。令和8年度改定の施設基準の通知には、「令和8年9月30日まで」という経過措置がいくつも登場します。ただし、その大半は看護必要度や人員・体制の基準など、施設基準の本体に対する猶予であって、ウェブサイト掲載の猶予ではありません。
今回取り上げた訪問看護医療情報連携加算は、たまたま同じ令和8年9月30日という日付が、ウェブサイト掲載要件そのものに掛かっている珍しいケースです。「9月末の経過措置」と聞いたときに、それがWeb掲載の話なのか、施設基準本体の話なのかを取り違えないようにしてください。改定の経過措置全体の見取り図は2026年改定の経過措置まとめ|BCP要件は2027年5月までで確認できます。
いま確認すべきこと
- Web掲載に新たな一般的な猶予はない。基本の掲示事項は6月1日からすでに本番
- Web掲載の締切が後ろにある例外は2つだけ。訪問看護医療情報連携加算(令和8年9月30日)と内視鏡手術用支援機器加算(令和9年5月31日)
- 訪問看護医療情報連携加算を算定し、自院HPを持つなら、9月30日までにウェブサイト掲載まで済ませる
- 在宅医療情報連携加算・在宅歯科医療情報連携加算には9月末の猶予はない。混同しない
- 「9月末の経過措置」は施設基準本体の猶予であることが多い。Web掲載の話と切り分ける
掲示物の管理に時間を取られるのは、医療の本質ではありません。とはいえ、Web掲載の締切が項目ごとにずれていると、「猶予があると思っていた」「いや、それは別の要件の話だった」という取り違えが起こりやすくなります。届け出た内容を起点に、院内掲示とウェブサイト掲載を同じ情報でそろえ、締切のある項目だけは期限を意識して先に片づけておく。施行直後のいまが、その整理にいちばん向いたタイミングです。
出典・参考
一次資料(厚生労働省・法令)
- 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305第8号)※訪問看護医療情報連携加算・内視鏡手術用支援機器加算のWeb掲載経過措置の根拠 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707256.pdf
- 「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及びその実施上の留意事項について(一部改正)保医発0327第6号 令和8年3月27日(令和8年6月1日適用) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707280.pdf
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(告示・通知・疑義解釈の一覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
二次資料(参考)
- 厚生労働省 各地方厚生局 施設基準の届出受付に関する案内(届出様式・受付窓口) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/
