学校生活管理指導表の診療情報提供料は毎月取れる?算定は交付した月だけ【Q&A】

学校生活管理指導表の算定で、レセプトの手が止まる
アレルギーのあるお子さんの「学校生活管理指導表」。診療情報提供料として算定できるようになってから、作成のたびに算定している小児科は多いと思います。
ただ、「治療が続くあいだ、ずっと毎月取り続けていいんだっけ」と、レセプトの前でふと手が止まったことはありませんか。取りすぎて査定されないか、逆に取り損ねていないか。学校生活管理指導表まわりの算定は、自信を持ちきれない現場が少なくありません。
迷う原因は、規定にある「月1回に限り算定する」という言葉です。これが「毎月1回ずつ取れる」とも「月に1回までしか取れない」とも読めてしまいます。実はこの「月1回」は上限の話で、「毎月取っていい」という意味ではありません。算定してよいかどうかのスイッチは、別のところにあります。
この記事では、学校生活管理指導表に関する診療情報提供料(Ⅰ)の算定を、厚生労働省の点数表・通知(令和8年度の現行)に沿ってQ&A形式で整理します。
よくある疑問にお答えします
Q1. 学校生活管理指導表の診療情報提供料(Ⅰ)は、毎月取れますか?
いいえ。毎月診察していても、毎月算定できるわけではありません。算定できるのは、学校生活管理指導表を実際に交付した月だけです。
規定の「月1回に限り」は、あくまでその月に算定できる回数の上限を示したものです。「毎月取ってよい」と保証する文言ではありません。前提として、その月に学校生活管理指導表を交付していることが必要です。
Q2. 「月1回」が毎月の意味ではない、という根拠は?
診療情報提供料(Ⅰ)は区分番号B009で、その注7と通知に学校生活管理指導表の取り扱いが定められています。ここでは、生活管理指導表を学校医等に「交付した場合に算定する」と規定されています。
つまり算定のスイッチは、その月に生活管理指導表を実際に交付した(学校医等へ情報提供した)ことです。「月1回に限り」は、交付した月のなかでの回数上限を示しているにすぎません。診察の回数ではなく、交付の有無が算定の前提になる、という点がポイントです。
Q3. 毎月診察している患者なら、診察ごとに取れますか?
いいえ。診察の回数と算定はリンクしません。 学校生活管理指導表を交付していない月は、たとえ毎月診察していても算定できません。
「診察を毎月しているから毎月取れる」という読み方は、注7の規定とは合いません。算定できるのは交付した月だけ、という原則に立ち返ってください。
Q4. では、実際にはどのくらいの頻度で算定することになりますか?
学校生活管理指導表は、お子さんが学校生活を送るうえで必要な情報をまとめた文書です。ふつうは新学期や進級のタイミングで、学校からの求めに応じて交付します(食物アレルギーの場合、学校等からの求めに応じて交付する、と通知に明記されています)。毎月新しく作り直して提出するものではありません。
ですから「アレルギーが解除になるまで毎月1回」算定し続けるという形は、通常は起こりません。制度が毎月を禁じているというより、毎月新しく交付する状況が通常ないから、と理解すると正確です。
なお、年度の途中で症状が変わり、指導表を出し直した月については、その月についてあらためて算定できます。ただし上限はあくまで各月1回で、ひと月に2回取れるわけではありません。
Q5. 主治医が学校医を兼ねている場合は、算定できますか?
いいえ。主治医と学校医等が同一の場合、診療情報提供料(Ⅰ)は算定できません。 地域によっては主治医がその学校の学校医を兼ねていることがあり、注意が必要です。
ここで気をつけたいのは、「算定できない=自費で取れる」ではない点です。この場合の指導表は無償交付とする整理が一般的で、自費の文書料に振り替えられるとは限りません。自費徴収の可否や扱いに迷う場合は、所管の地方厚生局に確認するのが確実です。
文書料の実費徴収と掲示の考え方は「保険外併用療養費と実費徴収の違いとは?掲示義務と2026年6月の追加項目を解説」も参考になります。
Q6. 対象になる患者の年齢に決まりはありますか?
あります。対象は、18歳に達する日以後、最初の3月31日までの患者です。高校卒業の年度末まで、というイメージで捉えるとわかりやすいです。この年齢要件を外れる患者では、学校生活管理指導表に関する診療情報提供料(Ⅰ)の対象になりません。
Q7. 食物アレルギーの患者で算定できる条件は?
食物アレルギーの患者については、生活管理指導表の「食物アレルギーあり」に該当し、かつ除去根拠が次のいずれかに当てはまる場合に限られます。
- 食物経口負荷試験が陽性であること
- 明らかな症状の既往があり、かつIgE抗体等の検査が陽性であること
毎月の算定可否ばかりを気にして、この入口の条件を外していないか。算定の前提として、一度確認しておくと安心です。
レセプト点検チェックリスト
学校生活管理指導表に関する診療情報提供料(Ⅰ)を算定する前に、次の順番で確認すると、取りすぎ・取り損ねの両方を防げます。
- その月に、学校医等へ生活管理指導表を実際に交付したか(交付した月だけ算定)
- 主治医と学校医等は別か(同一なら算定不可、無償交付の整理が一般的)
- 患者は18歳に達する日以後、最初の3月31日以前か
- 食物アレルギーなら、除去根拠の要件を満たし、学校等の求めに応じた交付か
- 同じ月に2回算定していないか(上限は各月1回)
毎月の診察に合わせて自動で取るものではなく、「指導表を交付した月に、月1回まで」。ここを外さなければ大丈夫です。年度途中の再交付など個別の判断に迷うケースは、所管の地方厚生局や審査支払機関に確認するのが確実です。
関連する診療情報提供料・文書料の論点
学校生活管理指導表は、診療情報提供料(Ⅰ)という大きな枠組みの一部です。同じ診療情報提供料でも、ケースによって算定の可否や扱いが変わります。あわせて整理しておくと、文書まわりの算定が見通しやすくなります。
- 診察を伴わず紹介状だけを作成したケースや、自費の文書料との切り分けは「診療情報提供料(I)は診察なしで算定できる?紹介状だけのケースと自費文書料を解説」で扱っています。
- 小児を継続的に診る体制とあわせて確認するなら「小児かかりつけ診療料とは?施設基準・掲示義務・同意書をわかりやすく解説」も参考にしてください。
まとめ
学校生活管理指導表に関する診療情報提供料(Ⅰ)のポイントを整理します。
- 「月1回に限り」は上限の規定で、「毎月取ってよい」という意味ではない
- 算定のスイッチは学校生活管理指導表を交付したこと(B009 注7)。交付していない月は、毎月診察していても算定できない
- 学校の求めに応じた交付が前提で、通常は新学期・進級などのタイミング。毎月新しく交付する状況は通常ない
- 主治医と学校医等が同一なら算定不可(無償交付の整理が一般的で、自費に振り替えられるとは限らない)
- 対象は18歳に達する日以後、最初の3月31日まで。食物アレルギーは除去根拠の要件あり
「毎月の診察に合わせて自動で取る」ものではなく、「指導表を交付した月に、月1回まで」。この一点を押さえておけば、査定も取り損ねも避けられます。
出典・参考
一次資料(厚生労働省)
- 医科診療報酬点数表(令和8年厚生労働省告示)区分番号B009 診療情報提供料(Ⅰ) 注7(「月1回に限り算定する」の根拠) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発0305第6号・令和8年3月5日)別添1(医科)B009 診療情報提供料(Ⅰ) 通知(学校生活管理指導表の交付・除去根拠・対象年齢・主治医と学校医等が同一の場合の取り扱い) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000433602.pdf
二次資料(解説)
- 公益財団法人 日本学校保健会「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」配布ページ https://www.gakkohoken.jp/books/archives/232
