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2026年6月21日 · HIRO

連携強化診療情報提供料と診療情報等連携共有料の違い|歯科の医科連携でどっち?

連携強化診療情報提供料と診療情報等連携共有料の違い|歯科の医科連携でどっち?
# 歯科# 診療情報提供料# 令和8年度改定

「連携強化診療情報提供料」なのか「診療情報等連携共有料」なのか——歯科で全身疾患のある患者さんについて医科とやりとりしたとき、名前が似すぎていて、どちらの話をしているのか分からなくなる。そんな経験はありませんか。

しかも、対象になる疾患名が点数表のどこにも書いていない。「うちのこのケース、そもそも取れるんだっけ」とレセプトの前で手が止まる。歯科の情報提供系の点数まわりは、自信を持ちきれない場面が多いところです。

先に結論から言います。歯科で糖尿病などの全身疾患がある患者さんについて、医科に検査結果や投薬内容を求めたり、医科の求めに応じて歯科側の情報を提供したりする場面で算定するのは「診療情報等連携共有料」です。 一方の「連携強化診療情報提供料」は、施設基準の届出が必要な、別の枠組みの点数です。この記事では、令和8年(2026年)の点数表に当たって、2つの違いを歯科目線で整理します。

目次

  1. まず結論:名前は似ているが、別物の2点数
  2. 診療情報等連携共有料とは
  3. 連携強化診療情報提供料とは
  4. なぜ「対象疾患」が書いていないのか
  5. 算定でつまずきやすい3つの注意点
  6. 掲示義務との関係も違う
  7. まとめ
  8. 出典・参考

まず結論:名前は似ているが、別物の2点数

2つの点数は、区分番号も点数も、届出の要・不要も違います。混同しないために、最初に全体像を押さえておきます。

観点連携強化診療情報提供料診療情報等連携共有料
区分番号医科 B011/歯科 B011-2歯科 B011(料1・料2)
点数150点料1:120点/料2:120点
施設基準の届出必要不要
主な対象患者紹介患者(注1は疾患の限定なし。難病・てんかん・妊娠中 等の類型も)全身的な管理が必要な患者・慢性疾患(糖尿病 等)
算定の主体紹介を受けた/紹介した医療機関つねに歯科側
算定回数3月に1回3月に1回

名前のうち、混乱の元になっているのは真ん中あたりの言葉です。連携「強化」診療情報提供料と、診療情報「等連携」共有料。どちらも「連携」「診療情報」が入っているので、口頭でも書面でも取り違えが起きやすいわけです。

診療情報等連携共有料とは

歯科で全身疾患のある患者さんを医科と連携するとき、多くの場面で関係してくるのがこちらです。

診療情報等連携共有料は、歯科点数表の区分番号 B011 に定められた点数で、「診療情報等連携共有料1」「診療情報等連携共有料2」の2種類があり、どちらも120点です。令和8年度改定後も同じ点数です。施設基準の届出は要りません。

対象は、点数表の注で「歯科診療を行うに当たり全身的な管理が必要な患者」または「慢性疾患を有する患者」とされています。糖尿病や高血圧、抗血栓薬を服用している患者さんなど、歯科治療を進めるうえで全身状態や投薬内容の把握が必要なケースが当てはまります。

料1と料2は「向き」が逆

ここが実務で取り違えやすいポイントです。料1と料2は、情報の流れる向きが反対です。

  • 診療情報等連携共有料1:歯科が、患者の同意を得て、別の保険医療機関(歯科を除く)または保険薬局に対し、検査結果・投薬内容などの提供を文書等で求めた場合
  • 診療情報等連携共有料2:別の保険医療機関からの求めに応じ、患者の同意を得て、歯科側の診療情報を文書で提供した場合

つまり、料1は「歯科が医科・薬局に聞きにいく」側、料2は「医科に聞かれて歯科が答える」側です。冒頭の「全身疾患のある患者さんについて医科と情報をやりとりした」というのは、求めにいくなら料1、応じるなら料2、と整理できます。

算定回数は、照会・提供する保険医療機関または保険薬局ごとに、患者1人につき、求めた日の属する月から起算して3月に1回が上限です。

連携強化診療情報提供料とは

もう一方の連携強化診療情報提供料は、性格がかなり違います。

連携強化診療情報提供料は、医科点数表では区分番号 B011、歯科点数表では区分番号 B011-2 に定められた点数で、点数は150点です。最大の違いは、算定に施設基準の届出が必要な点です。届け出ていない医療機関は、そもそも算定できません。

この点数は、専門的な医学管理を行う医療機関と、かかりつけ機能を持つ医療機関とが連携する場面を評価するものです。対象は特定の病名に限られるわけではなく、特定機能病院等と200床未満の病院・診療所などとの紹介連携(注1は疾患の限定なし)に加えて、指定難病やてんかん(いずれも疑いを含む)、妊娠中の患者といった類型が定められています。令和8年度改定では評価体系が見直され、紹介元・紹介先のいずれの情報提供でも算定できる方向(双方向)に整理されました。算定回数は、提供する保険医療機関ごとに患者1人につき3月に1回です。

歯科の B011-2 は、医科の B011 に準じて算定します。歯科の注では妊娠中の患者に関する連携が定められており、歯科では妊娠中の患者についての医科連携などが想定されます。糖尿病などの全身疾患そのものを理由に歯科から医科へ情報を求める日常的な場面は、こちらではなく診療情報等連携共有料のほうが当てはまります。

なぜ「対象疾患」が書いていないのか

「うちのこのケース、取れるんだっけ」と迷う一番の原因は、点数表に具体的な疾患名のリストがないことです。

診療情報等連携共有料の対象は「全身的な管理が必要な患者」「慢性疾患を有する患者」という包括的な書き方になっています。糖尿病、高血圧、心疾患、抗血栓薬服用中——といった病名が列挙されているわけではありません。これは、歯科治療上のリスク管理が必要な患者を幅広くカバーするための書き方で、裏を返すと、現場で「この患者は対象か」を自分で判断しなければならないということです。

判断の軸はシンプルです。その患者さんの歯科治療を安全に進めるうえで、医科の管理情報(検査値・投薬内容など)が必要かどうか。必要だから医科に照会する、あるいは医科から求められて歯科の情報を返す——その実態があれば、対象に当てはまります。病名そのものより、連携の必要性で考えるのが要点です。

算定でつまずきやすい3つの注意点

要件を満たしていても、注の制限を見落とすと査定につながります。歯科で特に押さえたい点を挙げます。

1. 同じ月の併算定制限

診療情報等連携共有料には、同月の併算定制限があります。診療情報提供料(I)(B009)を算定した月は、診療情報等連携共有料を別に算定できません。 また、診療情報等連携共有料2は、連携強化診療情報提供料(B011-2)を算定した月は別に算定できないとされています。同じ患者・同じ月に複数の情報提供系の点数が動くときは、組み合わせの可否を確認しておく必要があります。

診療情報提供料(I)そのものの算定要件は、診療情報提供料(I)は診察なしで算定できる?紹介状だけのケースと自費文書料を解説で詳しく整理しています。

2. 3月に1回の数え方

算定回数の上限は「3月に1回」です。これは暦の3か月ごとではなく、求めた日(提供した日)の属する月から起算して3月に1回という数え方です。しかも、照会・提供する相手の保険医療機関・薬局ごとに数えます。相手が複数あれば、それぞれについて算定できます。

3. 患者の同意と文書

いずれの点数も、患者の同意を前提に、文書(またはこれに準じた方法)で情報をやりとりすることが要件です。口頭で伝えただけ、写しをカルテに残していない、といった場合は要件を満たしません。

掲示義務との関係も違う

実は、この2点数は「掲示義務」の観点でも扱いが分かれます。

連携強化診療情報提供料は施設基準の届出が必要な点数です。届け出ている施設基準は、厚生労働大臣が定める掲示事項として、院内に掲示し、原則としてウェブサイトにも掲載する対象になります。一方、診療情報等連携共有料は施設基準の届出がないため、この点数そのものを理由に掲示が必要になることはありません。

つまり、「うちは連携強化診療情報提供料を届け出ているのか」は、算定できるかどうかだけでなく、掲示すべき項目が増えるかどうかにも関わってきます。自院がどの施設基準を届け出ているかを掲示に正しく反映できているか、この機会に確認しておくとよいでしょう。歯科の掲示項目の全体像は、歯科の施設基準 掲示例・見本集【無料】と、厚生労働大臣が定める掲示事項とは?医科・歯科・薬局別に全項目を解説で確認できます。

なお、同じ「診療情報提供料」の名前がつく点数でも、用途はさまざまです。小児科の場面については学校生活管理指導表の診療情報提供料は毎月取れる?算定は交付した月だけも参考になります。

まとめ

歯科の医科連携でどちらを算定するか、最後に整理します。

  • 糖尿病などの全身疾患がある患者について、歯科が医科・薬局に情報を求める、または医科の求めに応じて歯科の情報を提供する→診療情報等連携共有料(歯科 B011、料1・料2 各120点、届出不要)
  • 専門医療機関とかかりつけ機能を持つ医療機関の連携で、施設基準を届け出ている場合→連携強化診療情報提供料(医科 B011/歯科 B011-2、150点、届出必要)
  • 対象疾患は病名リストではなく「全身的な管理が必要かどうか」で判断する
  • 同月の併算定制限と「3月に1回」の数え方に注意する
  • 連携強化診療情報提供料は施設基準の届出があるため、掲示義務の対象にも関わる

名前が似ているだけで中身は別物です。向き・点数・届出の要否を一度押さえておけば、レセプトの前で手が止まる場面は減らせます。

出典・参考

一次資料(厚生労働省・診療報酬点数表)

  • 歯科診療報酬点数表 B011 診療情報等連携共有料(令和8年) https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa1/r08s21_B011.html
  • 歯科診療報酬点数表 B011-2 連携強化診療情報提供料(令和8年) https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa1/r08s21_B011_2.html
  • 医科診療報酬点数表 B011 連携強化診療情報提供料 https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r06_ika/r06i_ch2/r06i2_pa1/r06i21_sec1/r06i211_B011.html
  • 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 外来医療・連携の評価(連携強化診療情報提供料の見直し) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001681336.pdf

二次資料(専門サイト)

  • 日本訪問歯科協会「診療情報等連携共有料(情共1・情共2)」 https://www.houmonshika.org/dental/labo4/
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1まず結論:名前は似ているが、別物の2点数
  2. 2診療情報等連携共有料とは
  3. 3連携強化診療情報提供料とは
  4. 4なぜ「対象疾患」が書いていないのか
  5. 5算定でつまずきやすい3つの注意点
  6. 6掲示義務との関係も違う
  7. 7まとめ
  8. 8出典・参考

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