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施設基準掲示義務診療報酬改定
2026年6月9日 · HIRO

訪問看護医療情報連携加算とは?点数・施設基準・算定要件・掲示義務を解説

訪問看護医療情報連携加算とは?点数・施設基準・算定要件・掲示義務を解説
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訪問看護医療情報連携加算は、2026年(令和8年)6月施行の診療報酬改定で新しく設けられた加算です。連携する医療機関や薬局、ケアマネジャーなどがICT(情報通信技術)で記録した患者の診療情報を活用しながら訪問看護を行った場合に評価される、いわば「在宅でのチーム連携をICTで回したこと」に対する加算です。

新設されたばかりで、点数や算定要件、施設基準、そして掲示義務の経過措置まで、整理しておきたい論点がいくつもあります。この記事では、訪問看護医療情報連携加算とは何かを、点数・算定要件・施設基準・掲示義務の順に、厚生労働省の告示・通知(一次資料)に当たって正確に解説します。名前のよく似た在宅医療情報連携加算との違いも整理します。

目次

  1. 訪問看護医療情報連携加算とは?
  2. 訪問看護医療情報連携加算の点数
  3. 訪問看護医療情報連携加算の算定要件
  4. 訪問看護医療情報連携加算の施設基準
  5. 訪問看護医療情報連携加算と掲示義務|Web掲載の経過措置に注意
  6. 在宅医療情報連携加算との違い
  7. 訪問看護医療情報連携加算の届出方法
  8. まとめ
  9. 出典・参考

訪問看護医療情報連携加算とは?

訪問看護医療情報連携加算とは、在宅で療養している通院困難な患者について、訪問看護を行う看護師等が、連携先の関係職種がICTで記録した患者の診療情報等を活用したうえで、計画的に訪問看護の管理を行った場合に算定できる加算です。令和8年度改定で新設されました。

ここでいう連携先の関係職種とは、連携する保険医療機関の医師、歯科訪問診療を行う歯科医師、訪問薬剤管理指導を行う薬剤師、管理栄養士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、相談支援専門員などです。これらの職種がサーバー上に記録した患者の情報を、訪問看護側がICTで参照し、それを踏まえて訪問看護計画を組み立てる――この一連の情報連携を評価するのが、この加算の趣旨です。

背景には、在宅医療におけるICT連携の推進があります。実は、医師の側にはひと足先に、令和6年度改定で「在宅医療情報連携加算」(在宅時医学総合管理料などの加算)が設けられていました。訪問看護医療情報連携加算は、その訪問看護版という位置づけで令和8年度に追加されたものです。両者の違いは後の章で詳しく整理します。

なお、この加算は医療保険の訪問看護に対する加算です。医療機関が行う訪問看護(在宅患者訪問看護・指導料)と、訪問看護ステーションが行う訪問看護(訪問看護療養費)の両方に、それぞれ同名の加算が用意されています。

訪問看護医療情報連携加算の点数

点数は、医療機関が算定する場合と訪問看護ステーションが算定する場合で、単位も金額も異なります。どちらも月1回が上限です。

算定主体根拠点数・金額算定回数
保険医療機関在宅患者訪問看護・指導料の注19(同一建物居住者訪問看護・指導料の注8で準用)100点月1回
訪問看護ステーション訪問看護療養費の注141,000円月1回

医療機関の訪問看護では「点」、訪問看護ステーションでは「円」で評価される点に注意してください。訪問看護療養費は点数ではなく金額(円)で定められているため、1,000円という表記になっています。いずれも、要件を満たした月に1回だけ加算できます。

訪問看護医療情報連携加算の算定要件

点数を算定するには、施設基準の届出(後述)に加えて、実際の訪問看護で次の要件を満たす必要があります。告示と留意事項通知に基づく主な要件は以下のとおりです。

対象となる患者・実施者

  • 対象患者:在宅で療養を行っている患者であって、通院が困難なもの
  • 実施者:施設基準を届け出た医療機関・訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)
  • 患者本人の同意を得ていること

准看護師による訪問看護では算定できない点、通院可能な患者は対象外である点は、最初に押さえておきたいポイントです。

ICTを使った情報連携の実態が要件

この加算の核心は、形式的に連携体制があるだけでなく、実際にICTで情報をやり取りしていることです。留意事項通知では、おおむね次のような対応が求められています。

  • 患者から、関係職種がICTで記録した情報を取得・活用すること、および訪問看護側が記録した情報をICTで共有することについて同意を得る
  • 訪問看護を行った日に、必要に応じて次回訪問予定日や訪問看護計画の変更の有無などをICTで共有できるよう記録する
  • 訪問看護を行うにあたり、過去90日以内に連携先が記録した患者の医療・ケア情報(自院・自ステーションや特別の関係にある機関が記録したものを除く)を、ICTを用いて1つ以上取得していること

特に最後の「過去90日以内に連携先の情報を1つ以上ICTで取得している」という要件は、連携の実態を担保するものです。自分たちが書いた情報ばかりで、連携先からの情報取得が伴っていないと、要件を満たさないことになります。

併算定できないケース

同じ目的の評価が重複しないよう、次の場合は算定できません。

  • 在宅患者連携指導加算を算定している場合
  • (医療機関の場合)同一月に、在宅時医学総合管理料の注15または在宅がん医療総合診療料の注9に規定する在宅医療情報連携加算を算定した月

つまり、医師側で在宅医療情報連携加算を算定している月は、同じ患者について訪問看護側で訪問看護医療情報連携加算を重ねて算定することはできません。この関係は後述します。

訪問看護医療情報連携加算の施設基準

訪問看護医療情報連携加算を算定するには、あらかじめ地方厚生局へ施設基準の届出を行う必要があります。施設基準とは、加算を算定するために満たすべき要件のことで、特掲診療料の施設基準等の通知(保医発0305第8号)に定められています。主な要件は次のとおりです。

  • 連携機関とICTを用いて患者の診療情報等を共有し、常に確認できる体制を有していること
  • 記録された情報は連携機関間で一元的に管理されたサーバーで保管され、患者が同意した参加者のみが共有できること。参加者が常時、必要な情報を閲覧・取得でき、患者ごとに時系列で表示されること
  • 体制整備にあたり、プライベートSNSに関する留意事項や「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を参考にすること
  • 患者の診療情報等を共有している連携機関(特別の関係にあるものを除く)の数が、5以上であること
  • 連携体制を構築していることおよび連携機関の名称等を、見やすい場所に掲示していること
  • その掲示事項を、原則としてウェブサイトに掲載していること(自ら管理するホームページ等を有しない場合は、この限りではない)

「連携機関5以上」という具体的な数の要件と、ICTで常時情報を共有・閲覧できる体制が、ハードルになります。届出は様式20の3の6を用います。

訪問看護医療情報連携加算と掲示義務|Web掲載の経過措置に注意

掲示ナビの観点から特に注意したいのが、施設基準に組み込まれた掲示義務です。前章の施設基準の最後の2項目――連携体制・連携機関名称を院内に掲示すること、そしてその内容を原則ウェブサイトにも掲載すること――は、加算の算定要件そのものです。

Web掲示義務とは、令和6年度改定で原則義務化された制度で、自院のホームページを持つ医療機関・訪問看護ステーションは、院内に掲示する事項をウェブサイトにも掲載する必要がある、というものです。この加算では、ICT連携体制と連携機関名称が、その掲載対象になります。

ここで一点、見落とされやすい経過措置があります。このウェブサイト掲載の要件については、令和8年9月30日までの間に限り、基準を満たしているものとみなすとされています。新設加算なので、6月に届け出て算定を始めた場合、院内掲示は6月1日から必要ですが、ホームページへの掲載は9月末まで猶予される、という建て付けです。

ただし、これは「9月末まで何もしなくていい」という意味ではありません。自院のホームページを持っているなら、10月1日以降はウェブサイト掲載まで満たしていないと施設基準を欠くことになります。施行直後のいま、忘れないうちにホームページ掲載まで済ませておくのが安全です。この9月末締切の経過措置は、ほかの加算と混同しやすいため、【令和8年9月30日締切】Web掲載の猶予が残る加算は2つだけで詳しく整理しています。どの加算でWeb掲示が算定要件になっているかは、Web掲示が算定要件の加算【完全リスト】で逆引きできます。

在宅医療情報連携加算との違い

名前がよく似ているため混同されやすいのが、在宅医療情報連携加算です。両者は別の加算で、算定する主体が異なります。

項目在宅医療情報連携加算訪問看護医療情報連携加算
新設令和6年度改定令和8年度改定
算定主体在宅医療を行う医療機関の医師訪問看護を行う看護師等(准看護師を除く)
根拠在宅時医学総合管理料の注15/在宅がん医療総合診療料の注9在宅患者訪問看護・指導料の注19/訪問看護療養費の注14
点数100点(月1回)医療機関100点・ステーション1,000円(月1回)

ひとことで言えば、在宅医療情報連携加算は「医師側」の情報連携を評価する加算、訪問看護医療情報連携加算は「訪問看護側」の情報連携を評価する加算です。同じ患者・同じ月に両方を算定することはできません(前述の併算定不可)。在宅医療情報連携加算そのものの詳細は在宅医療情報連携加算の施設基準と掲示要件|ICT活用の要件を解説で扱っています。

また、訪問看護関連では訪問看護医療DX情報活用加算という別の加算もあります。こちらはマイナ保険証等で取得した医療情報を活用する加算で、連携機関とのICT情報共有を評価する訪問看護医療情報連携加算とは趣旨が異なります。名称が似ているものが続くので、自院・自ステーションがどの加算を算定しようとしているのか、根拠の注番号まで確認しておくと取り違えを防げます。

訪問看護医療情報連携加算の届出方法

届出は、地方厚生局(都道府県事務所)に対して、様式20の3の6を用いて行います。届出にあたっては、連携機関が5以上あること、ICTで常時情報を共有・閲覧できる体制が整っていること、院内掲示を行っていることなどが確認されます。

施設基準のうちウェブサイト掲載については、前述のとおり令和8年9月30日までの経過措置がありますが、院内掲示やICT連携体制そのものは届出時点で求められます。「ホームページ掲載が9月末まで猶予される」だけで、ほかの要件まで先送りできるわけではない点に注意してください。

なお、届け出た施設基準は、適時調査(厚生局が施設基準の維持を確認する調査)や個別指導(保険請求の妥当性を確認する指導)の対象になります。届け出ている内容と、実際の院内掲示・ウェブサイト掲載の内容がずれていると、指摘の対象になりかねません。届出・院内掲示・Web掲載の三者を同じ情報でそろえておくことが、結局はいちばんの近道です。

まとめ

訪問看護医療情報連携加算の要点を整理します。

  • 令和8年度改定で新設。連携先の関係職種がICTで記録した診療情報等を活用して訪問看護の計画的管理を行った場合に算定
  • 点数は、医療機関(在宅患者訪問看護・指導料 注19)が100点、訪問看護ステーション(訪問看護療養費 注14)が1,000円。いずれも月1回
  • 対象は在宅療養中で通院困難な患者。実施者は看護師等(准看護師を除く)。過去90日以内に連携先情報をICTで1つ以上取得していること等が要件
  • 施設基準は連携機関5以上・ICT常時共有体制・院内掲示・原則Web掲載。届出は様式20の3の6
  • Web掲載には令和8年9月30日までの経過措置あり。ただし院内掲示は6月1日から必要、HPがあれば9月末までに掲載まで済ませる
  • 在宅医療情報連携加算(医師側)とは別加算で、同一患者・同一月の併算定は不可

掲示物の管理に時間を取られるのは、医療の本質ではありません。新設加算は、点数や算定要件に目が向きがちですが、施設基準に組み込まれた掲示・Web掲載まで満たして初めて算定要件を満たします。届け出た内容を起点に、院内掲示とウェブサイト掲載を同じ情報でそろえ、9月末の締切がある項目だけは先に片づけておく。それが、訪問看護医療情報連携加算を安心して算定し続けるための備えになります。

出典・参考

一次資料(厚生労働省・法令)

  • 診療報酬の算定方法(告示)医科点数表 ※在宅患者訪問看護・指導料 注19「100点」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(告示)※注14「1,000円」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665206.pdf
  • 訪問看護療養費の算定方法に係る留意事項について(通知)※算定要件の詳細 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686845.pdf
  • 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305第8号)※第16の6 施設基準・ウェブサイト掲載の経過措置 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707256.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(告示・通知・疑義解釈の一覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html

二次資料(参考)

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要(訪問看護ステーション向け)」※点数・趣旨・経過措置の概観 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671099.pdf
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1訪問看護医療情報連携加算とは?
  2. 2訪問看護医療情報連携加算の点数
  3. 3訪問看護医療情報連携加算の算定要件
  4. 4訪問看護医療情報連携加算の施設基準
  5. 5訪問看護医療情報連携加算と掲示義務|Web掲載の経過措置に注意
  6. 6在宅医療情報連携加算との違い
  7. 7訪問看護医療情報連携加算の届出方法
  8. 8まとめ
  9. 9出典・参考

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