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施設基準掲示義務診療報酬改定
2026年6月4日 · HIRO

連携充実加算とは?外来化学療法の点数・施設基準・掲示義務を解説

連携充実加算とは?外来化学療法の点数・施設基準・掲示義務を解説
# 連携充実加算# 外来腫瘍化学療法診療料# がん化学療法# レジメン# 掲示義務# 2026年度改定

がん患者さんが外来で抗がん剤治療(外来化学療法)を受けるとき、薬の受け取りやちょっとした体調変化の相談で、かかりつけの薬局や別の医療機関とかかわる場面が出てきます。そのとき、治療の中身(どのレジメンで、いまどんな副作用が出ているか)が薬局や他院にきちんと伝わっていないと、患者さんが何度も同じ説明をしたり、薬局側が判断に迷ったりします。

連携充実加算は、この「自院のがん化学療法の情報を、地域の薬局や他院と共有する体制」を評価する加算です。2026年(令和8年)6月の診療報酬改定でも引き続き算定でき、対象となる患者さんの範囲が少し広がりました。

この記事では、連携充実加算の点数・算定要件・施設基準・掲示義務・届出を、厚生労働省の告示や通知(一次資料)に当たりながら整理します。とくに掲示の観点では、「レジメンを自院のウェブサイトで公開する」ことが施設基準に組み込まれている点が大きな特徴なので、そこを丁寧に解説します。

なお、「レジメン」とは、抗がん剤の種類・投与量・スケジュールをまとめた治療計画のことです。本文でも繰り返し出てくるので、最初に押さえておいてください。

目次

  1. 連携充実加算とは?
  2. 点数と算定できる医療機関
  3. 算定要件(治療の進捗を文書で渡す)
  4. 施設基準(4つのポイント)
  5. 掲示義務(カギは「レジメンのウェブ公開」)
  6. 2026年6月改定での変更点
  7. 届出方法
  8. よくある誤解:外来腫瘍化学療法診療料2・3でも算定できる?
  9. まとめ
  10. 出典・参考

連携充実加算とは?

連携充実加算は、医科診療報酬点数表の区分「B001-2-12 外来腫瘍化学療法診療料」の「注8」に規定された加算です(令和8年厚生労働省告示、医科点数表)。外来でがん化学療法を行う医療機関が、治療の進み具合や副作用の状況を文書で患者さんに渡し、その情報を地域の薬局・他院と共有できる体制を整えていることを評価します。

ポイントを先に挙げると、次のとおりです。

  • 点数は月1回150点(外来腫瘍化学療法診療料への加算)
  • 算定できるのは「外来腫瘍化学療法診療料1」を届け出ている医療機関だけ
  • 患者さんに治療の進捗をまとめた文書を交付し、薬局・他院に見せるよう案内するのが算定要件
  • 自院のレジメンをウェブサイトで閲覧できるようにすることが施設基準に含まれる

つまり、連携充実加算は単なる点数の話ではなく、「自院のがん治療の情報を外に開いて、地域で患者さんを支える」ための体制づくりがセットになった加算です。掲示・Web掲載の観点で見落とせないのは、この体制要件のなかにウェブサイトでの情報公開が含まれている点です。

なお、加算の土台となる外来腫瘍化学療法診療料そのものの全体像(料1・料2・料3の違いや点数)は、外来腫瘍化学療法診療料とは?施設基準・点数・掲示義務をわかりやすく解説で整理しています。本記事はその「注8」の加算にしぼって掘り下げます。

点数と算定できる医療機関

点数は150点で、月1回に限り算定します。同じ患者さんについて同一月に何回外来化学療法を行っても、連携充実加算として算定できるのは月1回までです。

算定できるのは、外来腫瘍化学療法診療料1を届け出ている医療機関で、「1のイの(1)又は(2)」を算定した患者さんに対してです。少しかみ砕くと、外来腫瘍化学療法診療料1のうち、抗がん剤を投与した日に算定する区分(静注製剤等を投与した場合、または皮下注射で投与した場合の初回〜3回目)を算定した患者さんが対象、ということです。外来腫瘍化学療法診療料2・3には連携充実加算は付きません。

自院が外来腫瘍化学療法診療料の「1」「2」「3」のどれを届け出ているかで、そもそも算定できるかどうかが変わります。まずは自院の届出区分を確認しておくと安心です。

算定要件(治療の進捗を文書で渡す)

連携充実加算は、外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)又は(2)を算定する日に、次の業務を行った場合に算定できます(医科診療報酬点数表に関する事項=留意事項通知 区分B001-2-12)。

中心になるのは、患者さんへの文書交付です。化学療法の経験を持つ専任の医師、または化学療法に係る調剤の経験を持つ専任の薬剤師が、必要に応じて他の職種と協力しながら、抗がん剤などの副作用の発現状況を評価し、治療の進捗をまとめた文書を患者さんに渡します。この文書には、次の内容を記載します。

  • 患者さんに実施しているレジメン
  • そのレジメンの実施状況
  • 投与した抗がん剤などの投与量
  • 主な副作用の発現状況(有害事象の重症度評価〔CTCAE〕に基づくグレード、関連する血液・生化学検査の結果など)
  • そのほか医学的・薬学的な管理上必要な事項

そのうえで、次の対応も求められます。

  • 交付した文書を、他の医療機関の医師・薬剤師や保険薬局の薬剤師に提示するよう、患者さんに指導すること
  • 他の医療機関や保険薬局から、服薬状況や副作用などの情報提供があった場合は、必要な分析・評価を行うこと
  • (望ましい対応として)医師の診察前に、薬剤師・看護師などと連携して服薬状況・副作用の情報を集め、診療に活用すること
  • 栄養指導を行う場合は、管理栄養士と連携を図ること

要するに、「自院での治療内容を患者さん経由で薬局・他院に伝え、向こうから返ってきた情報もきちんと診療に活かす」という双方向のやりとりを、文書という形で回していくのが連携充実加算の実務です。

施設基準(4つのポイント)

施設基準は「特掲診療料の施設基準等の取扱いについて」(保医発0305第8号)の「連携充実加算に関する施設基準」に定められています。次の4点に整理すると把握しやすくなります。

  1. 外来腫瘍化学療法診療料1の届出を行っていること
  2. レジメンを審査・承認する委員会に、管理栄養士が参加していること
  3. 地域の医療機関・薬局との連携体制が整備されていること(後述の3つの要件)
  4. 外来化学療法を実施する医療機関に5年以上勤務し、悪性腫瘍患者を含む栄養管理に3年以上の経験を持つ、専任で常勤の管理栄養士が勤務していること

このうち3の「地域との連携体制」は、さらに次の3つに分かれます。

  • 自院で実施する化学療法のレジメンを、自院のホームページなどで閲覧できるようにしておくこと
  • 外来化学療法に関わる職員、および地域の保険薬局の薬剤師などを対象とした研修会などを、年1回以上実施すること
  • 他の医療機関・保険薬局からのレジメンの照会、患者の状況に関する相談、情報提供などに応じる体制を整え、その体制をホームページや研修会などで周知すること

専任の医師・看護師・薬剤師の配置については、加算の前提である外来腫瘍化学療法診療料1の本体の施設基準で求められています(化学療法の経験を5年以上持つ専任常勤医師、専任の看護師の常時勤務、専任の常勤薬剤師など)。連携充実加算は、その体制に「管理栄養士の関与」と「地域連携・情報公開」を上乗せした位置づけ、と考えると整理しやすいでしょう。

掲示義務(カギは「レジメンのウェブ公開」)

連携充実加算で掲示・Web掲載の観点からとくに重要なのが、施設基準に組み込まれた次の2つです。

  • 自院のレジメンを、ホームページなどで閲覧できるようにしておくこと(施設基準の必須要件)
  • 相談・情報提供に応じる体制を、ホームページや研修会などで周知すること

つまり、連携充実加算を算定するなら、「うちはこういうレジメンで化学療法を行っています」という情報と、「薬局や他院からの相談を受け付けています」という体制を、ウェブサイト上で示しておく必要があります。これは院内掲示だけでは完結せず、ウェブサイトでの公開・周知が施設基準そのものに含まれている、という点を押さえてください。

加えて、加算の前提である外来腫瘍化学療法診療料1の本体には、院内掲示とウェブサイト掲載の義務があります。具体的には、24時間の電話相談体制・緊急時の入院体制・レジメンの審査委員会への対応について「見やすい場所に掲示」したうえで、これらの掲示事項を「原則としてウェブサイトに掲載」することが求められます(ホームページを持たない医療機関はこの限りではありません)。医科・歯科・薬局それぞれで何を掲示すべきかの全体像は、厚生労働大臣が定める掲示事項とは?医科・歯科・薬局別に全項目を解説で確認できます。

このように、連携充実加算は「点数を取るために体制を整える」だけでなく、その体制を院内とウェブの両方で外に示すところまでが一続きになっています。どの加算でWeb掲示が算定要件になるかを横断で確認したい場合は、Web掲示が算定要件の加算【完全リスト】が逆引きに使えます。

2026年6月改定での変更点

連携充実加算そのものは、令和8年6月改定でも点数・要件の骨格は維持されています。点数は150点・月1回で据え置きです。

変わったのは、対象となる患者さんの範囲です。改定前は「外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)を算定した患者」が対象でしたが、改定後は「(1)又は(2)を算定した患者」に広がりました。これは、外来化学療法に皮下注射による投与の評価が新設されたことに伴うものです。

2026年6月の改定では、外来腫瘍化学療法診療料の「抗悪性腫瘍剤を投与した場合」が、静注製剤などの場合〔(1)〕と、その他の場合(皮下注射)〔(2)〕に分けて評価されるようになりました。連携充実加算は、この新しく設けられた皮下注射の区分〔(2)〕を算定した患者さんにも算定できるようになった、というのが今回の変更点です。

なお、同じ外来腫瘍化学療法診療料1の加算である「がん薬物療法体制充実加算」(注9)も、同様に対象が(1)から「(1)又は(2)」へ拡大しています(点数は100点で据え置き)。

届出方法

連携充実加算の施設基準に係る届出は、別添2の「様式39の2」を用いて地方厚生(支)局長に行います。外来腫瘍化学療法診療料1・2・3の本体の届出(様式39)とは別の様式なので、加算を算定するなら様式39の2もあわせて提出する形になります。

様式39の2では、地域連携の体制を確認するため、レジメンを閲覧できるようにしているウェブページのコピーや、レジメンの審査委員会の構成員を記載した文書などの添付が求められます。「ホームページでレジメンを公開している」という施設基準が、届出の添付書類の段階でも確認される、ということです。

なお、改定前から外来腫瘍化学療法診療料1を算定していた医療機関の取り扱い(経過措置)は、加算単独ではなく、前提となる外来腫瘍化学療法診療料1の本体の経過措置に従う形になります。施設基準が改正された診療料として、引き続き算定する場合の届出の取り扱いが定められているので、自院の届出状況とあわせて確認しておきましょう。自院がいま何を届け出ているかを確かめる方法は、施設基準の届出一覧|自院の届出状況を確認する3つの方法で解説しています。

よくある誤解:外来腫瘍化学療法診療料2・3でも算定できる?

間違えやすいのが、「外来でがん化学療法をしていれば、どの区分でも連携充実加算を算定できる」という思い込みです。連携充実加算が算定できるのは、外来腫瘍化学療法診療料1を届け出ている医療機関で、その「1のイの(1)又は(2)」を算定した患者さんに対してだけです。外来腫瘍化学療法診療料2・3には連携充実加算は付きません。

また、「レジメンのウェブ公開はやってもやらなくてもよい任意の取り組み」と捉えてしまうのも誤解です。レジメンを閲覧できるようにしておくことは施設基準そのものであり、満たしていなければ加算は算定できません。届出の添付書類でも確認される必須要件である、と理解しておく必要があります。

適時調査や個別指導の場面では、こうした「届け出た施設基準と、実際に外へ示している情報がそろっているか」が確認されます。掲示と届出の整合性が取れているかは、適時調査チェックリストもあわせて点検しておくと安心です。

まとめ

連携充実加算の要点を振り返ります。

  • 区分B001-2-12 外来腫瘍化学療法診療料の注8に規定された加算で、点数は月1回150点。外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)又は(2)を算定した患者が対象
  • 算定要件は、治療の進捗(レジメン・実施状況・投与量・副作用のグレードなど)をまとめた文書を患者に交付し、薬局・他院に提示するよう案内すること、返ってきた情報を分析・評価すること
  • 施設基準は、外来腫瘍化学療法診療料1の届出/レジメン委員会への管理栄養士の参加/地域連携体制(レジメンのHP公開・年1回以上の研修・相談体制とその周知)/専任常勤の管理栄養士の4点
  • 掲示の観点では、レジメンをウェブサイトで閲覧できるようにし、相談体制を周知することが施設基準に組み込まれている。前提の外来腫瘍化学療法診療料1には院内掲示+原則Web掲載の義務もある
  • 2026年6月改定では点数は150点で据え置き、対象患者が皮下注射の区分〔(2)〕にも拡大。届出は様式39の2

連携充実加算は、「自院のがん治療の情報を地域に開く」という考え方が施設基準と掲示の両面に通っている加算です。だからこそ、ウェブサイトに載せているレジメンや相談体制の案内が、実際の届出・運用とずれていないかが大切になります。届け出た内容と、院内に掲げている内容と、ウェブサイトに載せている内容――この3つを同じ情報でそろえておくことが、適時調査・個別指導での指摘を防ぐいちばんの近道です。掲示物の管理に時間を取られず、その時間を医療に充てられるよう、届出を起点に院内掲示とWeb掲示の内容を一致させておきましょう。

出典・参考

一次資料(厚生労働省)

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(医科点数表・施設基準通知・留意事項通知・疑義解釈の一覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(医科点数表)区分B001-2-12 外来腫瘍化学療法診療料 注8 連携充実加算(月1回150点) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 医科診療報酬点数表に関する事項(留意事項通知)区分B001-2-12(連携充実加算の算定要件・交付文書の記載事項) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707246.pdf
  • 特掲診療料の施設基準等の取扱いについて(保医発0305第8号)第6の8の4 連携充実加算に関する施設基準・様式39の2 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707256.pdf
  • 個別改定項目について(令和8年2月13日)外来腫瘍化学療法診療料・連携充実加算の対象拡大 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655176.pdf

二次資料(参考)

  • 厚生労働省 中央社会保険医療協議会(中医協)資料ページ(改定の議論の経緯) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html
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医療系専門ライター

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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1連携充実加算とは?
  2. 2点数と算定できる医療機関
  3. 3算定要件(治療の進捗を文書で渡す)
  4. 4施設基準(4つのポイント)
  5. 5掲示義務(カギは「レジメンのウェブ公開」)
  6. 62026年6月改定での変更点
  7. 7届出方法
  8. 8よくある誤解:外来腫瘍化学療法診療料2・3でも算定できる?
  9. 9まとめ
  10. 10出典・参考

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