【令和8年8月提出】ベースアップ評価料の賃金改善報告、8月に出すのは何本か|施設パターン別ガイド

6月の改定対応がひと段落して、ようやく通常運転に戻ったころ。ベースアップ評価料を算定している医療機関には、8月にもうひとつ宿題が控えています。賃金改善の「報告」です。
これは任意の提出物ではありません。ベースアップ評価料の施設基準そのものに「毎年8月に報告すること」と書き込まれている、算定を続けるための要件です。しかも令和8年8月は、施設の状況によって出す書類の本数が変わります。「うちは何を、何本出すのか」を、いま一次資料で整理しておきます。
何が起きるか ― ベースアップ評価料には「毎年8月の報告」義務がある
ベースアップ評価料は、賃上げの原資を診療報酬で手当てするしくみです。その代わりに、受け取った点数をきちんと職員の賃金改善に充てているかを、毎年報告することが施設基準の要件になっています。
施設基準の通知には、こう書かれています。「毎年8月に、①前年度の賃金改善の取組状況について、様式100『賃金改善実績報告書』により報告すること、②算定を行っている年度における賃金改善の取組状況について、様式100『賃金改善中間報告書』により報告すること」。
つまり8月の報告には、性格の違う2種類があります。前年度を締めた「実績報告書」と、今年度の途中経過を出す「中間報告書」です。この2つを混同すると、「片方しか出していなかった」という抜けが起きます。
8月に出す2つの報告書 ― 実績報告書と中間報告書の違い
まず、名前は似ていますが中身が違います。
- 賃金改善実績報告書 ── 前年度(令和7年度)に算定した分について、1年間の賃金改善が計画どおり行われたかを締めて報告するもの。
- 賃金改善中間報告書 ── 今年度(令和8年度)に算定している分について、年度の途中時点での賃上げの取組状況を報告するもの。
厚生労働省が新規算定機関向けに示しているスケジュール資料には、「8月中に、令和8年度『賃金改善中間報告書』を提出(令和8年度の6〜7月時点での賃上げ状況を報告)」とあります。令和8年8月に出す中間報告が対象にするのは、年度まるごとではなく、6月・7月分の賃上げ実績だという位置づけです(この6・7月という期間の切り方は、上記の厚生労働省のスケジュール資料で示された整理です。報告書の様式そのものに「6・7月」と逐語で書かれているわけではないので、自院の様式の記載欄に沿って確認してください)。
なお、実績報告書と中間報告書は、医科なら同じ「様式100」を使い、書類の種別チェックで区別します。別々の様式番号があるわけではない点に注意してください。
あなたの施設が8月に出すのは何本か ― パターン別に整理
ここが令和8年のいちばんの注意点です。8月に出す本数は、施設の状況で変わります。
- 令和7年度に、すでに(旧)ベースアップ評価料を算定していた医療機関 ── 令和7年度分の「実績報告書」と、令和8年度分の「中間報告書」の2本を並行して提出します。
- 令和8年6月から、新しいベースアップ評価料を新規に算定し始めた施設 ── 令和8年度分の「中間報告書」のみ。前年度に算定していなければ、実績報告書は存在しません。その令和8年度分の実績報告書は、1年後の令和9年8月に提出することになります。
薬局は、ここで扱いが分かれます。令和6年度改定の時点では、ベースアップ評価料の対象は病院・診療所などの勤務者で、薬局は対象外でした。令和8年度改定で新たに「調剤ベースアップ評価料」が設けられ、薬局の薬剤師・事務職員等が評価の対象になりました。したがって薬局は、令和8年6月からの新規算定という位置づけになり、令和8年8月に出すのは中間報告書のみ。前年度の実績報告書はありません。
自院がどのパターンかを、まず一度確認しておくのが確実です。
様式番号は業態で違う ― 早見表で突き合わせる
報告に使う様式は、業態ごとに番号が割り振られています。厚生労働省の特設ページによると、病院・診療所・歯科診療所は様式95〜100、歯科技工所は様式101〜102、保険薬局は様式103〜104、訪問看護ステーションは統一様式です。
自院がどの様式を、どの区分(実績か中間か)で出すのかは、厚生労働省が公開している「ベースアップ評価料の届出に必要な様式早見表(令和8年度版)」で突き合わせるのが確実です。番号を思い込みで選ぶと、別の業態向けの様式を出してしまうことがあります。
締切と、出し忘れたらどうなるか
締切は「毎年8月」。ただし、具体的な提出期日は各地方厚生局が指定します。令和8年分については、「詳しいご案内は現在掲載準備中」としている厚生局もあり、この記事の時点で全国一律の期日が確定しているわけではありません。自院を管轄する地方厚生局のベースアップ評価料のページで、令和8年の指定日を必ず確認してください。過去の年度の締切日をそのまま今年の期日と思い込まないことが大切です。
報告は、あくまで施設基準の要件です。「毎年8月に報告すること」が要件である以上、報告を出さなければ、算定を続けるための前提を欠くことになります。せっかく賃上げの原資として算定してきたものが、報告の抜けでつまずくのは避けたいところです。8月に入る前に、対象の様式と管轄厚生局の期日を押さえておきましょう。
ベースアップ評価料そのもののしくみは

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で、新設手当への充当や算定期間といった運用面の疑問は

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で整理しています。
これは掲示義務ではないが ― 制度が動くたびに手を止めないために
念のため位置づけを整理すると、今回の8月報告は厚生局への「届出・報告」であって、令和6年度改定で原則義務化されたWeb掲示義務(自院のホームページを持つ医療機関が、院内掲示事項をウェブサイトにも掲載する義務)とは別のものです。
とはいえ、ベースアップ評価料も院内掲示の対象になる項目で、賃金改善の取組を掲示している医療機関は多いはずです。届出や報告のたびに、院内掲示・Web掲示に載せている内容が実態とずれていないかは、あわせて見ておきたいところです。掲示ナビは、施設基準の届出データを起点に掲示ページを整えるしくみなので、制度が動くたびに掲示物まで手で直す負担を減らせます。報告は報告に集中し、掲示は仕組み側に任せる ── そういう切り分けができます。ベースアップ評価料の掲示は

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にまとめています。
まとめ
ベースアップ評価料には、「毎年8月に賃金改善の状況を報告する」という施設基準の要件があります。令和8年8月に出す報告書は、前年度を締める「実績報告書」と、今年度の途中経過を出す「中間報告書」の2種類です。
出す本数は施設で変わります。令和7年度から算定していた医療機関は実績報告書と中間報告書の2本、令和8年6月から新規に算定を始めた施設や、今回新たに調剤ベースアップ評価料の対象になった薬局は、中間報告書のみです。様式は業態ごとに番号が違うので早見表で突き合わせ、締切は自院を管轄する地方厚生局の令和8年の指定日を確認する。この3点を8月に入る前に押さえておけば、報告の抜けで算定の前提を崩さずに済みます。
出典・参考
一次資料
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
- 厚生労働省 ベースアップ評価料 新規算定機関向けスケジュール資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001695487.pdf
- 九州厚生局「ベースアップ評価料の届出について(令和8年度改定)」 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/iryo_shido/base-up_008.html




