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2026年6月2日 · HIRO

電子的調剤情報連携体制整備加算とは?薬局の点数・施設基準・掲示義務を解説

電子的調剤情報連携体制整備加算とは?薬局の点数・施設基準・掲示義務を解説
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2026年(令和8年)6月の診療報酬改定で、薬局向けに「電子的調剤情報連携体制整備加算」が新設されました。これは、それまでの「医療DX推進体制整備加算(調剤)」を組み替えて生まれた加算です。名前が変わったうえに要件も一部見直されたため、「結局うちは何を満たせばいいのか」「6月以降も今までどおり算定できるのか」と迷う薬局も多いところです。

この記事では、電子的調剤情報連携体制整備加算の点数・算定要件・施設基準・掲示義務・届出を、厚生労働省の告示や通知(一次資料)に当たりながら整理します。とくに掲示義務は、院内掲示とウェブサイト掲示の両方にかかわるため、項目をしぼって具体的に解説します。

なお、名前のよく似た医科の「電子的診療情報連携体制整備加算」とは別の加算です。本記事は薬局(調剤報酬)の加算を扱います。

目次

  1. 電子的調剤情報連携体制整備加算とは?
  2. 点数と算定できる薬局
  3. 施設基準(6つのポイントで整理)
  4. 掲示義務(院内とウェブサイト)
  5. 旧・医療DX推進体制整備加算(調剤)からの変更点
  6. 届出方法と6月以降の扱い
  7. よくある疑問:電子処方箋の「機能拡張」にどこまで対応すべきか
  8. まとめ
  9. 出典・参考

電子的調剤情報連携体制整備加算とは?

電子的調剤情報連携体制整備加算は、調剤報酬点数表の調剤基本料「注14」に規定された加算です(令和8年厚生労働省告示第69号)。医療DXに対応する体制を整えた保険薬局を評価するもので、オンライン資格確認や電子処方箋などの仕組みを活用して、患者さんの薬物療法の安全と質を高める取り組みを後押しする位置づけです。

ポイントを先に挙げると、次のとおりです。

  • 点数は月1回8点(調剤基本料への加算)
  • 旧「医療DX推進体制整備加算(調剤)」を改称し、複数区分を一律8点に一本化したもの
  • 電子処方箋の体制や、マイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)の利用率などが施設基準になっている
  • 院内掲示と、原則としてウェブサイトへの掲載が要件に含まれる

医療DXを「進めている薬局です」と外に示すための掲示までがセットになっている、という点が、掲示の観点ではいちばんの特徴です。

点数と算定できる薬局

点数は8点で、月1回に限り調剤基本料に加算します。同じ患者さんについて同一月に2回以上調剤しても、算定できるのは月1回までです。

算定できるのは、医療DX推進に係る体制として施設基準に適合し、地方厚生(支)局長に届け出た保険薬局です。ただし、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は算定できません。自院(自薬局)の調剤基本料の区分がどれにあたるかを、まず確認しておくと安心です。

施設基準(6つのポイントで整理)

施設基準は「特掲診療料の施設基準等」(保医発0305第8号)に定められています。条文では細かく分かれていますが、実務上は次の6点に整理すると把握しやすくなります。

  1. オンライン請求とオンライン資格確認の体制:電子情報処理組織を使った調剤報酬請求(オンライン請求)を行い、オンライン資格確認を行う体制を有していること
  2. 診療情報・薬剤情報の活用:オンライン資格確認システムを通じて取得した患者さんの診療情報・薬剤情報などを、閲覧・活用できる体制があること
  3. 電子処方箋への対応:電子処方箋を受け付けて調剤する体制を有し、原則としてすべての調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録すること。あわせて、重複投薬等チェック機能を用いて確認できる体制を整えていること
  4. 電子薬歴:電磁的記録による調剤録・薬剤服用歴の管理体制(電子薬歴)があること
  5. 電子カルテ情報共有サービスの活用:同サービスで取得される診療情報などを活用する体制があること(後述のとおり経過措置あり)
  6. マイナ保険証の利用率:マイナ保険証の利用率(算定月の3月前のレセプト件数ベース)が30%以上であること。なお、3月前に代えて前月・前々月の利用率を用いることもできます

このうち「電子処方箋管理サービスの重複投薬等チェック機能を用いて確認できる体制」は、今回の改定で要件として明確に位置づけられた部分です。電子処方箋を受け付けるだけでなく、重複投薬や併用禁忌のチェックまで使える状態にしておく、というイメージです。

このほか、医療情報システムの安全管理ガイドラインや薬局向けのサイバーセキュリティ対策チェックリストなどを参照したセキュリティ対応、マイナポータルの医療情報等にもとづく健康管理相談に応じる体制も求められています。

なお、似た体制を持つ仕組みである電子カルテ情報共有サービスそのものの位置づけは、電子カルテ情報共有サービスとは?仕組み・参加方法・掲示要件を解説で整理しています。

掲示義務(院内とウェブサイト)

電子的調剤情報連携体制整備加算では、施設基準のなかに掲示の要件が含まれています。ここは適時調査や個別指導でも確認されやすいところなので、丁寧に押さえておきます。

薬局内に掲示する内容

保険薬局の見やすい場所に、次の3点を掲示していることが求められます。

  • オンライン資格確認等システムを通じて患者の診療情報・薬剤情報などを取得・閲覧し、調剤や服薬指導などの際に活用している薬局であること
  • マイナ保険証の利用を促進するなど、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる薬局であること
  • 電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを活用するなど、医療DXに係る取り組みを実施している薬局であること

ウェブサイトにも原則掲載する

上の掲示事項は、原則としてウェブサイトにも掲載することが求められます。ただし、ホームページ等を有しない薬局についてはこの限りではありません。自薬局のサイトがある場合は、院内の掲示とウェブサイトの掲載の内容がそろっているかを確認しておきましょう。

よくある誤解:利用率の数値は掲示するのか

ここで間違えやすいのが、「マイナ保険証の利用率(30%以上)という数字そのものを掲示するのか」という点です。掲示が求められているのは、上に挙げた「医療DXに取り組んでいます」という趣旨の表明であって、利用率の数値の掲示は要件になっていません。利用率はあくまで施設基準を満たすかどうかを判定するための実績要件であり、掲示する事項とは別ものです。

このように、加算ごとに「ウェブサイトに何を載せるか」は細かく決まっています。どの加算でWeb掲示が算定要件になるかを横断で確認したい場合は、Web掲示が算定要件の加算【完全リスト】が逆引きに使えます。

旧・医療DX推進体制整備加算(調剤)からの変更点

電子的調剤情報連携体制整備加算は、これまでの「医療DX推進体制整備加算(調剤)」を改称して新設されたものです。主な変更点は次の2つです。

  • 評価区分の一本化:旧加算はマイナ保険証の利用率に応じて複数の区分(点数)に分かれていましたが、これを一律8点に整理しました
  • 要件の追加:電子処方箋管理サービスの重複投薬等チェック機能を用いて確認できる体制を、施設基準として明確に求めるようになりました

医科側でも、同じ時期に医療DX推進体制整備加算が見直され、6月から新しい加算へ移行しています。医科の流れは医療DX推進体制整備加算は2026年6月に廃止へ|新加算の掲示要件を解説で、医科版の新加算(電子的診療情報連携体制整備加算)の中身は電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準と掲示要件を解説でそれぞれ解説しています。名前が紛らわしいので、薬局は調剤の加算、医科は診療の加算、と分けて整理しておくとよいでしょう。

届出方法と6月以降の扱い

届出は、別添2の様式(様式87の3の6)を用いて地方厚生(支)局長に行います。施設基準のうち、マイナ保険証の利用率や健康管理相談の体制については、基準を満たしていればよく、届出は不要とされています。

実務でとくに重要なのが、6月以降も続けて算定する薬局の扱いです。令和8年5月31日の時点で旧「医療DX推進体制整備加算(調剤)」を届け出て算定していた薬局については、名称のみが変わった加算として扱われ、新たな届出は要しないとされています(経過措置を定めた通知の「名称が変更された加算」の一覧に、本加算が明示的に挙げられています)。つまり、すでに旧加算を算定していた薬局は、あらためて届出をし直さなくても6月から電子的調剤情報連携体制整備加算を算定できる、ということです。

一方で、これから新規に算定を始める薬局は、施設基準を満たしたうえで届出が必要です。新規届出の具体的な期限の扱いは、届出の取扱いを定めた通知側で確認するのが確実です。

よくある疑問:電子処方箋の「機能拡張」にどこまで対応すべきか

施設基準では「電子処方箋を受け付け、調剤する体制を有する」ことが求められています。電子処方箋は機能が段階的に広がっているため、「拡張された機能まで対応しないと算定できないのか」という疑問が出やすいところです。

この点について、疑義解釈資料(その6・令和8年5月22日/その7・令和8年5月29日)では、現時点では令和5年1月26日から稼働している基本機能(電子処方箋の発行・応需、処方・調剤情報の登録や閲覧、重複投与・併用禁忌のチェック)に対応した体制があればよい、という考え方が示されています。拡張機能への対応までは現時点では求められていない、という整理です。新しい機能のたびに身構える必要はない、と読める内容です。

6月施行にあわせた届出や運用の全体像は、【薬局向け】2026年6月改定 5/18届出 3日アクションプランもあわせて確認すると、段取りが立てやすくなります。

まとめ

電子的調剤情報連携体制整備加算の要点を振り返ります。

  • 調剤基本料の注14に規定された加算で、点数は月1回8点。特別調剤基本料Bを算定する薬局は算定できない
  • 旧「医療DX推進体制整備加算(調剤)」を改称し、複数区分を一律8点に一本化。電子処方箋の重複投薬等チェック体制が要件として加わった
  • 施設基準は、オンライン請求・オンライン資格確認、診療/薬剤情報の活用、電子処方箋への対応、電子薬歴、電子カルテ情報共有サービスの活用、マイナ保険証利用率30%以上が柱
  • 掲示義務は、医療DXに取り組んでいる旨の3つの事項を薬局内に掲示し、原則ウェブサイトにも掲載すること。利用率の数値そのものの掲示は求められていない
  • 令和8年5月31日時点で旧加算を算定していた薬局は、みなし届出により新たな届出は不要

掲示の観点では、「院内に掲げている内容」と「ウェブサイトに載せている内容」がそろっていることが大切です。届け出た施設基準と、実際に外へ示している情報がずれていると、患者さんの誤解や、適時調査・個別指導での指摘につながりかねません。届出データを起点に、院内掲示とWeb掲示の内容を同じ情報でそろえておく――この基本を、6月施行のタイミングであらためて点検しておくと安心です。

出典・参考

一次資料(厚生労働省)

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(調剤点数表・施設基準通知・疑義解釈の一覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第三 調剤報酬点数表(調剤基本料 注14・8点) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665294.pdf
  • 特掲診療料の施設基準等(保医発0305第8号)第95の2 電子的調剤情報連携体制整備加算(施設基準・掲示・届出・経過措置) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001700251.pdf
  • 疑義解釈資料の送付について(その6)令和8年5月22日 別添3 調剤報酬点数表関係 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001703573.pdf
  • 疑義解釈資料の送付について(その7)令和8年5月29日 別添5 調剤報酬点数表関係 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001706317.pdf

二次資料(専門サイト)

  • m3.com 薬剤師「調剤報酬 算定Q&A」(新8点・要件の解説) https://pharmacist.m3.com/column/chouzai_santei/7489
  • kakari(メドピア)調剤報酬事典(旧加算からの改称・要件追加) https://kakari.medpeer.jp/dispensation_fee_encyclopedia/11/
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1電子的調剤情報連携体制整備加算とは?
  2. 2点数と算定できる薬局
  3. 3施設基準(6つのポイントで整理)
  4. 4掲示義務(院内とウェブサイト)
  5. 5旧・医療DX推進体制整備加算(調剤)からの変更点
  6. 6届出方法と6月以降の扱い
  7. 7よくある疑問:電子処方箋の「機能拡張」にどこまで対応すべきか
  8. 8まとめ
  9. 9出典・参考

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