【令和8年9月11日】次期医療保険制度改革の13項目と期限|窓口負担の見直しも

令和8年9月11日に開かれた第215回社会保障審議会医療保険部会に、「次期医療保険制度改革に向けて」という資料が出ています。診療報酬改定の話ではなく、その手前にある制度そのものをどう変えるか、という段階の資料です。
中身は、7月に閣議決定された骨太方針2026と、与党の協議体がまとめた13項目の骨子の抜粋が中心になっています。読んでいて目を引くのは、ほとんどの項目に期限が書かれていることでした。令和8年末、令和8年度末、令和10年末。窓口負担の見直しは、このうち最も早い期限のグループに入っています。
9月11日の医療保険部会に出た資料
資料は厚生労働省保険局が作成したもので、骨太方針2026(令和8年7月21日閣議決定)と、「社会保障改革項目に関する具体的な骨子」(令和8年7月7日、自由民主党・日本維新の会 社会保障制度改革協議体)が抜粋・掲載されています。骨太方針にはこう書かれています。
連立政権合意書(令和7年10月20日)に盛り込まれた13の社会保障改革項目について合意された具体的な骨子
この骨子に基づき、
2026年度中に具体的な制度設計を行い、順次実行する。
とされています。大事な前提として、この13項目は与党協議体の合意文書であって、法改正や改定の内容が決まったものではありません。ただ、「令和8年度中に具体的な制度設計を行う」と書かれている以上、この先1年の議論はここを軸に進むことになります。
窓口負担は令和8年末までに一定の結論
13項目のうち、医療機関と薬局の窓口にいちばん直接効くのが4番目です。
70 歳以上の高齢者の医療費窓口負担割合について、低所得者等の必要な受診が確保されるよう適切に配慮することを前提として、原則3割となっている現役世代との間で年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点から見直しを行う。そのための改革工程表を令和8年末までに策定する。
検討する中身も具体的に挙げられています。
外来特例の在り方や、負担割合の区切りとなる所得の見直し、年齢の引き上げなど窓口負担の抜本的な見直しについて、現役世代の負担軽減の観点からの公費負担のあり方とともに総合的に検討を行い、その速やかな実現について令和8年末までに一定の結論を得る。
負担割合そのものだけでなく、外来特例、所得の区切り、対象年齢という3つの入口が並んでいます。どれをどう動かすかは資料に書かれていないので、数字の予想はできません。ただ、令和8年末という期限は3か月後です。年内に方向が見える話だと押さえておいて損はないと思います。
窓口負担が動けば、レセコンの設定も、窓口での説明も、患者さんからの問い合わせも一斉に発生します。

【令和8年8月1日】期限切れ健康保険証の暫定受付が7月末で終了|クリニックの窓口対応と患者周知
厚生労働省が令和8年7月1日に出した事務連絡で、期限切れ健康保険証を暫定的に受け付ける対応が7月末で終了。8月1日以降、期限切れの保険証だけを持参した患者は「保険証を忘れた場合と同様の対応」が基本になります。クリニック受付の準備を一次資料で整理します。
の窓口対応を思い出すと、準備期間があるかないかで現場の消耗がかなり変わります。
掲示に効いてきそうなのは、選定療養と民間保険
13項目のうち2つ、掲示の範囲に直結しそうなものがあります。
ひとつは8番目、大学病院機能の強化の末尾に置かれた一文です。
患者が医師を選択することに関する選定療養の新設について、次期診療報酬改定までに検討し、結論を得る。
いわゆる指名料のような形が検討されるということです。もし新設されれば、

長期収載品(先発医薬品)の選定療養と掲示義務をわかりやすく解説
長期収載品(先発医薬品)の選定療養について、患者負担の仕組みと掲示義務をわかりやすく解説。医療機関・薬局それぞれの対応ポイントもまとめています。
である以上、その内容と費用を院内に掲示し、原則としてウェブサイトにも載せることになります。療養担当規則が求めているのはそういう構造だからです。
もうひとつは7番目、公的保険と民間保険の役割分担です。
民間保険による補完が有効な領域(一部保険外療養と民間保険の相互補完を含む)

【令和9年3月施行想定】OTC類似薬が一部保険外療養に|77成分と薬剤費4分の1
OTC類似薬の保険給付見直しは「一部保険外療養」として令和9年3月施行が想定されています。対象77成分1,042品目、薬剤費の4分の1が患者負担に。窓口の実務フローと、9月3日の部会でまだ論点として残った3点を一次資料から整理しました。
は、令和9年3月の施行が見込まれている新しい枠組みです。そこに民間保険が絡む形が検討されると、窓口で説明する内容はさらに増えます。掲示義務の扱いは制度ごとに違うので、

保険外併用療養費と実費徴収の違いとは?掲示義務と2026年6月の追加項目を解説
差額ベッド代などの「保険外併用療養費」と、Wi-Fi利用料や診断書代などの「実費徴収」は同じ保険外でも扱いが異なります。厚生局報告の有無・掲示の決まり方の違いと、2026年6月に追加された4項目、院内・Web掲示義務までを医科・歯科・薬局向けに整理します。
のように、どこまでが掲示の対象かを都度確認する場面が増えそうです。
外来の包括報酬と、中医協そのものの見直し
6番目には、人口減少地域を念頭にした一文が入っています。
外来の包括報酬の在り方を検討し、所要の措置を講ずる。
出来高では成り立たない地域がある、という問題意識からの検討です。職員配置基準の一層の柔軟化も同じ項目に並んでいます。
3番目は、決める仕組みそのものの話です。中医協について、病院機能を反映した委員構成の見直しを含めて検討するとされ、創薬機能の強化の観点からは令和8年度末までに社会保険医療協議会法の改正を含めて結論を得る、と期限が切られています。診療報酬がどう決まるかの土台が動く可能性がある、ということになります。
12番目の医療法人の話も、経営側には大きい項目です。附帯業務・附随業務等の規制を見直すこと、そして一定要件下で非医師の理事長就任を速やかに可能とすることが挙げられています。
期限で並べ直すと
資料を期限順に読み替えると、こうなります。
令和8年末までが、70歳以上の窓口負担の改革工程表策定と、その一定の結論。令和8年度末までが、高齢者の定義見直しの工程表、中医協に関する社会保険医療協議会法の改正を含めた結論、費用対効果分析の指標、控除対象外消費税への対応、そして大学病院のあるべき姿。さらに先では、後期高齢者医療制度の運営主体の在り方が令和10年末まで、国民健康保険の都道府県内保険料水準の完全統一は現行の「遅くとも令和18年度まで」を前倒しする方向とされています。
つまり年内から年度末にかけて、結論が出る項目が固まっています。

【令和8年10月施行】病床機能「回復期→包括期」に変更|地域医療構想の省令改正
令和8年7月31日、地域医療構想の省令改正(医政発0731第3号)が公布。病床機能報告の「回復期機能」が「包括期機能」へ変わり、病院・有床診療所が担う役割を示す「医療機関機能」の報告が5区分で新設されます。報告関係は令和8年10月1日施行。何が変わるかを一次資料で整理します。
のように、決まってから施行までが短い話も出てくるはずなので、どの項目が自院に効くのかだけでも当たりを付けておくと動きやすいと思います。
いま何をしておくか
制度改革の資料は分量が多く、全部を追う必要はないと思います。医科・歯科・薬局それぞれの立場で見たとき、年内に注意しておきたいのは窓口負担の行方ひとつです。動けば全業態の窓口に同時に影響します。
そのうえで、選定療養が増える方向の検討が入っていることは覚えておきたいところです。選定療養が一つ増えるたびに、院内掲示とウェブ掲示に項目が一つ増えます。改定のたび、通知のたびに掲示を人の手で直していると、こうした積み上がりがそのまま作業量になります。
まとめ
令和8年9月11日の社会保障審議会医療保険部会に、次期医療保険制度改革に向けた資料が出されました。骨太方針2026と与党協議体の骨子にある13項目が示され、多くに期限が付いています。
窓口負担については、70歳以上の負担割合の見直しに向けて令和8年末までに改革工程表を策定し、外来特例・所得区分・年齢を含めて令和8年末までに一定の結論を得るとされています。掲示の観点では、患者が医師を選択することに関する選定療養の新設が次期診療報酬改定までに検討されること、一部保険外療養と民間保険の相互補完が検討対象に入っていることの2つが目を引きます。
いずれも決定ではなく、これから制度設計に入る段階です。ただ、決まったあとに慌てて掲示を直すより、届出や制度の動きから掲示が自動で追従する形にしておくほうが、こういう局面では効いてきます。医療現場の時間は、制度を追いかける作業ではなく医療に使いたいところです。
出典・参考
一次資料
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厚生労働省保険局「次期医療保険制度改革に向けて」(第215回社会保障審議会医療保険部会 資料2、令和8年9月11日) https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001748577.pdf
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厚生労働省「第215回社会保障審議会医療保険部会資料」(令和8年9月11日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76146.html
二次資料
- 厚生労働省「社会保障審議会(医療保険部会)」(過去の開催資料一覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126706old.html




