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2026年7月12日 · HIRO

「全部粉砕」の算定は外来服薬支援料2(一包化)?自家製剤加算?違いと併算定を薬局向けに解説

「全部粉砕」の算定は外来服薬支援料2(一包化)?自家製剤加算?違いと併算定を薬局向けに解説
# 調剤報酬# 薬局

「処方された薬、全部粉砕でお願いします」。窓口でそう言われて、さて会計はどうする——一包化(外来服薬支援料2)で取るのか、それとも自家製剤加算なのか。名前も中身も近い気がして、どっちが正解か自信が持てない。間違えると査定されるかも、と思うと手が止まる。そんなふうにレセプトの前でモヤっとした方は、少なくないはずです。

結論から言うと、「全部粉砕」で外来服薬支援料2と自家製剤加算のどちらを算定するかは、その粉砕が「何のための、どういう行為か」で分かれます。錠剤を砕いて散剤という別の剤形に製したなら自家製剤加算、飲み忘れ防止などのために服用時点ごとに一包にまとめたなら外来服薬支援料2(一包化)です。そして同じ薬剤の範囲について、この2つを同時に取ることはできません。この記事では、一次資料(告示と留意事項通知)で両者の違いと併算定の可否を確認しながら、Q&A形式で整理します。

目次

  1. そもそも自家製剤加算と外来服薬支援料2は何が違う
  2. Q1. 「全部粉砕でお願いします」は、どちらで取る?
  3. Q2. 自家製剤加算は、どんなときに取れる?
  4. Q3. 一包化(外来服薬支援料2)は、粉砕とどう違う?
  5. Q4. 粉砕して一包化した——自家製剤加算と外来服薬支援料2、両方取れる?
  6. Q5. 錠剤を割っただけ、既製剤を小分けしただけは?
  7. Q6. 結局どちらか迷うケースは、どう考える?
  8. 算定前のチェックリスト
  9. 掲示義務との関係
  10. まとめ
  11. 出典・参考

そもそも自家製剤加算と外来服薬支援料2は何が違う

まず、2つは評価している「行為」がまったく別ものです。

自家製剤加算は、薬価基準に収載された医薬品の剤形では対応できない場合に、医師の指示に基づいて剤形そのものを作り変える技術を評価する加算です。留意事項通知(点数表の各項目の運用を厚生労働省が示す文書)は、その例として「錠剤を粉砕して散剤とすること」を挙げています。錠剤を砕いて粉にする、という剤形変更そのものが対象です。

一方の外来服薬支援料2は、多種類の薬をのむ患者の飲み忘れ・飲み誤りを防ぐため、あるいは被包から取り出して服用するのが難しい患者に配慮するために、服用時点ごとに薬を一包にまとめる「一包化」を評価するものです。留意事項通知は一包化を「服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤、又は1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点ごとに一包として患者に投与すること」と定義し、「錠剤等は直接の被包から取り出した後行う」としています。つまり一包化は、錠剤をPTPシートから出してまとめる作業で、剤形は変えません。

「粉にする」のが自家製剤加算、「まとめる」のが外来服薬支援料2。ここが出発点です。

Q1. 「全部粉砕でお願いします」は、どちらで取る?

その粉砕が「何のための行為か」で決まります。

患者が錠剤を飲み込めない、剤形のままでは服用できないため、医師の指示のもとで錠剤を砕いて散剤に作り変えたのなら、剤形を製する行為として自家製剤加算の対象になり得ます。一方で、粉にすること自体が目的ではなく、服用時点ごとにまとめて服薬管理を支援する一包化の一環という位置づけなら、外来服薬支援料2の話になります。

窓口の「全部粉砕して」という一言だけでは、どちらの行為なのかは確定しません。飲めないから剤形を変えるのか、まとめて管理しやすくするのか——自局が実際に行った調剤行為の中身に立ち返って判断するのが出発点です。それぞれの点数や要件は、次のQ2・Q3で確認します。

Q2. 自家製剤加算は、どんなときに取れる?

自家製剤加算は、要件がやや厳しめの加算です。留意事項通知は、自家製剤を「個々の患者に対し薬価基準に収載されている医薬品の剤形では対応できない場合に、医師の指示に基づき、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫を行った場合」とし、「既製剤を単に小分けする場合は該当しない」と明記しています。

ポイントを整理すると、次のようになります。

  • 薬価収載の剤形では対応できないこと(飲めない等)
  • 医師の指示に基づくこと
  • 単なる小分けではないこと
  • 調剤した医薬品と同一剤形・同一規格の医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できないこと

最後の点は見落としやすい落とし穴です。錠剤を砕いて散剤にしても、その薬に同一成分・同一規格の散剤(既製の粉薬)が薬価基準にあるなら、そちらを使えばよいので自家製剤加算は取れません。

点数は、令和8年6月施行の告示(調剤報酬点数表)で、錠剤・散剤・顆粒剤などの内服薬を自家製剤の上調剤した場合、1調剤につき20点で、投与日数が7日またはその端数を増すごとに加算します。なお、医師の指示で錠剤を分割しただけの場合は、所定点数の100分の20に相当する点数まで下がり、分割した医薬品と同一規格の医薬品が薬価収載されていれば算定できません。関連する加算の整理は調剤時残薬調整加算とは?もあわせてどうぞ。

Q3. 一包化(外来服薬支援料2)は、粉砕とどう違う?

外来服薬支援料2は、剤形を変えずに「まとめる」点数です。前述のとおり一包化はPTPから取り出して服用時点ごとに一包にする行為で、粉にする工程は含みません。

算定は処方箋受付1回につき1回で、告示では投与日数が42日分以下の場合は一包化を行った投与日数が7またはその端数を増すごとに34点を加算、43日分以上の場合は投与日数にかかわらず240点です。錠剤と散剤を別々に一包化した場合なども算定できますが、いずれも受付1回につき1回に限られます。外来服薬支援料1(185点)とは別もので、外来服薬支援料2を算定した場合は外来服薬支援料1は算定できません。外来服薬支援料1と2の関係は外来服薬支援料1と2は同じ月に両方算定できる?で詳しく整理しています。

つまり「全部粉砕」がもし単に粉にするだけで、服用時点ごとにまとめる一包化を行っていないなら、それは外来服薬支援料2ではありません。逆に、粉にする必要がなく、ただPTPから出してまとめただけなら、それは自家製剤加算ではなく一包化の話です。

Q4. 粉砕して一包化した——自家製剤加算と外来服薬支援料2、両方取れる?

同じ薬剤の範囲については、両方は取れません。留意事項通知は、外来服薬支援料2について「外来服薬支援料2を算定した範囲の薬剤については、自家製剤加算及び計量混合調剤加算は算定できない」と明記しています。

ですから、ある薬剤を粉砕したうえで服用時点ごとに一包化し、その範囲について外来服薬支援料2を算定したなら、同じ範囲の薬剤に自家製剤加算は乗せられません。逆に、自家製剤加算を算定した場合は計量混合調剤加算が算定できない、というつくりも通知に定められています。「粉砕という作業をしたのだから自家製剤加算も別に取れるはず」と重ねてしまうと、査定の対象になりかねません。同じ薬剤範囲では、どちらの評価で算定するのかを1つに決める、と押さえておくのが安全です。

Q5. 錠剤を割っただけ、既製剤を小分けしただけは?

これらは自家製剤加算の本体としては評価されません。留意事項通知は「既製剤を単に小分けする場合は該当しない」とし、錠剤を分割する場合は所定点数の100分の20まで下がるうえ、分割した医薬品と同一規格の医薬品が薬価収載されていれば算定できないとしています。

「割る」「小分けする」といった作業は、剤形を製する自家製剤とも、服用時点ごとにまとめる一包化とも異なります。作業をしたこと自体ではなく、通知が定める要件に当てはまる行為かどうかで算定できるかが決まる、という点は共通です。

Q6. 結局どちらか迷うケースは、どう考える?

一次資料で明文化されているのは、ここまで見た「行為の定義」「点数」「同一薬剤範囲での併算定制限」までです。「嚥下が難しい患者の薬を全量粉砕して一包化した」といった個別ケースについて、自家製剤加算と外来服薬支援料2のどちらを選ぶべきかを名指しで整理した令和8年度の疑義解釈は、現時点では示されていません。

だからこそ、判断の起点は「自局が実際に行ったのはどの行為で、通知のどの定義に当てはまるか」に尽きます。剤形を製したのか、まとめただけなのか、その両方をしたが同一範囲なので片方で算定するのか。迷う個別事例は自己判断で押し通さず、所管の社会保険診療報酬支払基金・地方厚生局に確認するのが確実です。

算定前のチェックリスト

「全部粉砕」の会計で手が止まったら、次の順で確認すると整理できます。

  • 行った作業は、剤形を製する行為(錠剤→散剤など)か、服用時点ごとにまとめる一包化か、その両方か
  • 自家製剤加算を考えるなら、剤形では対応できず医師の指示があり、単なる小分けでなく、同一剤形・同一規格が薬価収載されていないか
  • 外来服薬支援料2を考えるなら、一包化の定義(服用時点の異なる2種類以上、または1剤でも3種類以上)に当てはまるか
  • 同じ薬剤範囲で外来服薬支援料2を算定するなら、その範囲に自家製剤加算・計量混合調剤加算は乗せない
  • 錠剤を割っただけ・既製剤の小分けだけになっていないか
  • 個別の当てはめに迷うケースは、支払基金・地方厚生局に確認

掲示義務との関係

掲示ナビは医療機関・薬局のウェブサイト掲示義務に対応するサービスなので、掲示との関係も整理しておきます。

自家製剤加算や外来服薬支援料2そのものは、算定の可否が調剤報酬のルールで決まる点数で、これ自体を掲示するかどうかは別の話です。ただし薬局には、届け出た施設基準や算定する項目などについて、薬局内やウェブサイトに掲示すべき事項が別に定められています。薬局が掲示すべき項目の全体像は薬局の施設基準 掲示例・見本集や薬局編 ウェブサイト掲示義務の掲示項目で確認できます。掲示ナビは厚生局への届出データを起点に掲示ページを自動生成するため、加算の出入りや改定があっても掲示内容が自動で追従し、届出と掲示の不整合を構造的に防げます。調剤基本料など区分ごとの掲示要件は調剤基本料の区分と点数一覧もあわせてどうぞ。

まとめ

「全部粉砕」の算定について、要点を整理します。

  • 自家製剤加算は「錠剤を砕いて散剤にする」など剤形を製する行為を評価する加算(内服薬は1調剤20点、7日ごと。要件を満たす必要がある)
  • 外来服薬支援料2は、服用時点ごとに一包にまとめる一包化を評価する点数(42日以下は7日ごと34点、43日以上は240点)で、粉砕は含まない
  • 「全部粉砕でお願いします」でどちらを取るかは、剤形を製したのか、まとめただけなのか、自局の行為の中身で決まる
  • 同じ薬剤範囲について、外来服薬支援料2を算定した範囲には自家製剤加算・計量混合調剤加算は算定できない
  • 個別ケースの選択を名指しで整理した令和8年度の疑義解釈は現時点で示されていないため、迷うケースは支払基金・地方厚生局に確認

会計で迷ったら、「自局が実際に行ったのは、剤形を製する行為か、まとめる行為か」に立ち返ると、どちらで算定するのかが見えてきます。算定の入口を正確に押さえつつ、掲示物の管理のような本質ではない作業に時間を奪われないよう、仕組みに任せられるところは任せて、医療現場の時間を診療に取り戻していきましょう。

出典・参考

一次資料(厚生労働省)

  • 診療報酬の算定方法(令和8年厚生労働省告示)別表第三 調剤報酬点数表 第1節 調剤技術料「注6」自家製剤加算(内服薬イ(1) 錠剤・散剤・顆粒剤等 20点、投与日数7又はその端数ごと。予製剤・錠剤分割は100分の20)、「注7」計量混合調剤加算、区分番号14の2 外来服薬支援料(1=185点、2=42日分以下は7日ごと34点・43日分以上240点) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665294.pdf
  • 厚生労働省保険局医療課「調剤報酬点数表に関する事項」(令和8年3月5日 保医発0305号 別添3)(11)自家製剤加算(「錠剤を粉砕して散剤とすること」=自家製剤に該当、単なる小分けは非該当、同一剤形・同一規格が薬価収載なら算定不可、自家製剤加算を算定した場合は計量混合調剤加算を算定できない)、外来服薬支援料2(1)〜(8)(一包化の定義、点数、外来服薬支援料2を算定した範囲の薬剤には自家製剤加算及び計量混合調剤加算は算定できない) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713883.pdf
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1そもそも自家製剤加算と外来服薬支援料2は何が違う
  2. 2Q1. 「全部粉砕でお願いします」は、どちらで取る?
  3. 3Q2. 自家製剤加算は、どんなときに取れる?
  4. 4Q3. 一包化(外来服薬支援料2)は、粉砕とどう違う?
  5. 5Q4. 粉砕して一包化した——自家製剤加算と外来服薬支援料2、両方取れる?
  6. 6Q5. 錠剤を割っただけ、既製剤を小分けしただけは?
  7. 7Q6. 結局どちらか迷うケースは、どう考える?
  8. 8算定前のチェックリスト
  9. 9掲示義務との関係
  10. 10まとめ
  11. 11出典・参考

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