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2026年6月22日 · HIRO

調剤時残薬調整加算とは?点数・算定要件・残薬調整の流れを薬局向けに解説

調剤時残薬調整加算とは?点数・算定要件・残薬調整の流れを薬局向けに解説
# 薬局# 令和8年度改定

残薬を確認して、処方医に疑義照会までして、調剤日数を削った。手間をかけた仕事ほど、「で、これは点数として取れているんだろうか」が気になります。令和8年度の調剤報酬改定で新しく登場した「調剤時残薬調整加算」は、まさにその残薬調整の手間を評価する加算です。

ところが名前のとおり区分が細かく、イ・ロ・ハ・ニで点数が分かれ、しかも「うちの薬局はそもそも算定できる体制なのか」という入口の要件まであります。レセプトの前で手が止まるのは当然です。この記事では、調剤時残薬調整加算の点数・算定要件を一次資料ベースで整理し、「結局、外来のうちのケースは取れるのか」までかみ砕いて解説します。

目次

  1. 調剤時残薬調整加算とは
  2. 点数とイ・ロ・ハ・ニの区分
  3. 算定要件 ― 何をすれば算定できるのか
  4. 「結局うちは取れるのか」手帳の活用実績という入口
  5. 減数調剤と処方医への情報提供
  6. 掲示義務との関係 ― この加算は掲示の対象なのか
  7. まとめ
  8. 出典・参考

調剤時残薬調整加算とは

調剤時残薬調整加算は、令和8年度(2026年)の調剤報酬改定で新設された、調剤管理料の加算です。患者やその家族などから集めた情報をもとに残薬が確認され、処方医の指示または処方医への照会の結果として調剤日数の変更(残薬調整)が行われた場合に算定します。

改定前は「重複投薬・相互作用等防止加算」という一つの加算の中に、重複投薬・相互作用の防止と残薬調整がまとめて入っていました。令和8年度改定では、この加算が見直され、残薬調整を評価する「調剤時残薬調整加算」と、薬学的な有害事象の防止を評価する「薬学的有害事象等防止加算」の二つに分かれて新設されています。残薬対策が独立した評価項目になった、というのが今回の改定のポイントです。

つまり「残薬を整理した仕事」が、専用の加算として明確に位置づけられたわけです。とはいえ、評価の対象になったぶん算定の線引きもはっきりしました。次の章から具体的に見ていきます。

点数とイ・ロ・ハ・ニの区分

調剤時残薬調整加算は、誰がどのように調剤日数を変更したかによって、点数が二段階に分かれます。

区分内容点数
イ在宅患者について、処方箋の交付前に処方内容を処方医へ相談し、その提案が反映された処方箋を受け付けた場合50点
ロ在宅患者について、調剤日数の変更が行われた場合(イを除く)50点
ハかかりつけ薬剤師により調剤日数の変更が行われた場合(イ・ロを除く)50点
ニイからハまで以外の場合30点

ポイントは、50点が付くのは「在宅患者」または「かかりつけ薬剤師による調整」というルートだという点です。つまり在宅でもなく、かかりつけ薬剤師でもない、ふだんの外来で疑義照会して残薬を調整したケースは、原則として「ニ(30点)」に当たります。

冒頭の「残薬を確認して、わざわざ疑義照会までしたのに」というモヤモヤの正体はここにあります。多くの外来ケースで取れるのはニの30点で、決してゼロではありません。手間をかけた仕事は、ちゃんと評価の対象になっています。

算定要件 ― 何をすれば算定できるのか

点数が分かっても、肝心なのは「どこまでやれば算定要件を満たすのか」です。調剤時残薬調整加算の要件を、実務の流れに沿って整理します。

残薬の確認

まず前提として、残薬が確認された患者であることが必要です。確認の根拠になるのは、薬剤服用歴などのほか、患者やその家族から集めた情報、そして残薬の外形状態や保管状況といった実際の残薬の状況です。「なんとなく余っていそう」ではなく、状況を具体的に確認したうえで判断する、という建て付けになっています。

処方医の指示または照会

残薬を確認したら、処方医の指示、または処方医への照会の結果にもとづいて調剤日数を変更します。薬局の独断で勝手に日数を削るのではなく、処方医との連携を経る、という流れが要件に組み込まれています。

何日分の変更が必要か

調剤日数の変更は、原則として7日分以上に相当する変更であることが求められます。ここが見落としやすい線引きで、数日ぶんの微調整では原則の要件を満たしません。

ただし例外があります。薬剤師が必要性を判断した場合には、6日分以下に相当する変更でも算定できますが、その場合は調剤報酬明細書(レセプト)の摘要欄に理由を記載することが要件になります。「7日に届かないから取れない」と即あきらめる必要はなく、理由を残せる場合は道がある、と理解しておくと実務が変わります。

算定の単位

調剤時残薬調整加算は、処方箋受付1回につき算定します。複数の処方について残薬調整を実施した場合であっても、受付1回につき1回のみの算定です。「薬剤ごとに積み上がる」加算ではない点に注意してください。

「結局うちは取れるのか」手帳の活用実績という入口

ここまでの要件を満たしても、その手前で引っかかることがあります。それが手帳の活用実績です。

調剤時残薬調整加算(および薬学的有害事象等防止加算)は、適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局では算定できないとされています。判定の分母になるのは、3か月以内に再び処方箋を持参した患者への服薬管理指導料の算定回数で、そのうち手帳を提示した患者の割合が低い(5割以下の)薬局が、この「相当程度あると認められない」薬局に当たります。判定の対象期間など細かな運用は通知で定められているため、自局が該当するかどうかは届出や実績の数字で具体的に確認しておくと確実です。

「残薬調整の手順はきちんと踏んでいるのに、なぜか算定できない」という場合、原因が個々のケースではなく薬局全体の手帳活用実績にある、というのは見落とされがちです。算定可否を考えるときは、目の前の1件の手順だけでなく、自局がこの入口の要件をクリアしているかを合わせて確認しておくと安心です。

減数調剤と処方医への情報提供

残薬を確認した結果として、実際に薬を減らして交付する「減数調剤」を行う場面もあります。ここには実務上おさえておきたい決まりがいくつかあります。

一つは、処方医へのフィードバックです。減数調剤を行ったときは、患者の残薬の状況やその理由、実際に患者へ交付した薬剤の投与量、患者への説明内容などについて、原則として翌営業日までに、その処方箋を発行した保険医療機関へ情報提供することが求められます。残薬を整理して終わり、ではなく、医療機関に戻す一手間まで含めて一つの流れです。

もう一つは、減数の限度です。残薬を確認した結果として減数調剤を行うにあたっても、調剤する医薬品の調剤日数や数量を「0」にすることはできません。残薬があるからといって、その薬を丸ごと出さない処理にはできない、という線引きです。

掲示義務との関係 ― この加算は掲示の対象なのか

掲示ナビは医療機関・薬局のウェブサイト掲示義務に対応するサービスなので、ここははっきり整理しておきます。

ウェブサイト掲示義務(自院のホームページがある場合に、掲示事項をウェブにも掲載する義務。令和6年度改定で原則化されました)の対象になるのは、主に施設基準を届け出て算定する項目です。地域支援・医薬品供給対応体制加算や調剤基本料の区分のように、届出を伴う施設基準は掲示の対象になります。

一方で、調剤時残薬調整加算は届出を伴う施設基準ではなく、調剤管理料の加算として要件を満たした調剤ごとに算定するものです。そのため、この加算そのものを「○○加算を算定しています」と個別にウェブ掲示しなければならない、という性質のものではありません。残薬調整加算が取れるかどうかと、掲示義務の対象かどうかは別の話、と切り分けておくと混乱しません。

掲示で本当に気をつけるべきなのは、届出をしている施設基準とウェブ・院内の掲示内容がずれていないか、です。届け出ているのに掲示にない、改定で要件が変わったのに古い掲示が残っている、というズレが、適時調査や個別指導で問われます(薬局がウェブに掲示すべき項目の全体像は、薬局編のウェブサイト掲示義務ガイドで整理しています)。掲示ナビは厚生局への届出データを起点に掲示ページを自動生成するため、加算の出入りや改定があっても掲示内容が自動で追従し、この「届出と掲示の不整合」を構造的に防げます。残薬調整のような日々の算定実務に集中できるよう、掲示物の管理は仕組み側に任せてしまう、という発想です。

まとめ

調剤時残薬調整加算は、令和8年度改定で新設された、残薬調整の手間を評価する調剤管理料の加算です。要点を整理します。

  • 在宅患者またはかかりつけ薬剤師による調整はイ・ロ・ハで50点、それ以外の一般的な外来ケースはニで30点
  • 残薬を確認し、処方医の指示または照会にもとづいて、原則7日分以上に相当する調剤日数の変更を行うことが要件
  • 6日分以下の変更でも、薬剤師が必要性を判断しレセプト摘要欄に理由を記載すれば算定可能
  • 算定は処方箋受付1回につき1回。減数調剤時は翌営業日までに処方医へ情報提供、調剤日数・数量を0にはできない
  • 手帳の活用実績が相当程度あると認められない薬局(手帳提示割合が5割以下)は算定できない
  • この加算は届出施設基準ではないため、加算そのものは個別のウェブ掲示義務の対象ではない

「わざわざ疑義照会までしたのに取れているのか分からない」というモヤモヤは、点数の区分と入口要件さえ押さえれば解消できます。手間をかけた残薬調整の仕事は、きちんと評価の対象です。あとは、掲示物の管理のような本質ではない作業に時間を奪われないよう、仕組みに任せられるところは任せて、薬局の時間を患者対応に取り戻していきましょう。

出典・参考

一次資料(厚生労働省・点数表)

  • 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001684593.pdf
  • しろぼんねっと「調剤管理料(調剤診療報酬点数表 令和8年)」※調剤時残薬調整加算の注・通知を収載 https://shirobon.net/medicalfee/latest/chozai/r08_chozai/r08c_sec2/r08c2_Y010_2.html
  • 日本薬剤師会「調剤報酬点数表(令和8年6月1日施行)」 https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/2026/20260402_01.pdf

二次資料(専門サイト)

  • m3.com 薬剤師コラム「【2026年新設】調剤時残薬調整加算の算定要件をわかりやすく解説」 https://pharmacist.m3.com/column/chouzai_santei/7463
  • kakari(メドピア)「【令和8年度版】調剤時残薬調整加算の解説と行政資料・疑義解釈等まとめ」 https://kakari.medpeer.jp/dispensation_fee_encyclopedia/21/
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目次

  1. 1調剤時残薬調整加算とは
  2. 2点数とイ・ロ・ハ・ニの区分
  3. 3算定要件 ― 何をすれば算定できるのか
  4. 4「結局うちは取れるのか」手帳の活用実績という入口
  5. 5減数調剤と処方医への情報提供
  6. 6掲示義務との関係 ― この加算は掲示の対象なのか
  7. 7まとめ
  8. 8出典・参考

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