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診療報酬改定施設基準
2026年8月7日 · HIRO

疑義解釈その11(令和8年7月30日)をわかりやすく|医科・歯科・ベースアップの改定Q&A総まとめ

疑義解釈その11(令和8年7月30日)をわかりやすく|医科・歯科・ベースアップの改定Q&A総まとめ
# 令和8年度改定# ベースアップ評価料

令和8年7月30日、診療報酬改定に関する疑義解釈その11が出ました。今回は医科・看護職員処遇改善評価料およびベースアップ評価料・歯科の3つの別添で構成され、初診料の取扱いから救急外来の医師配置、8月に提出する賃金改善の報告書の様式まで、実務でつまずきやすい点が整理されています。この記事では、医療機関・薬局の担当者が押さえておきたいQ&Aの要点を業態別にまとめます。

なお、疑義解釈とは、診療報酬改定の告示・通知だけでは判断に迷う点について、厚生労働省保険局医療課が「この場合はこう考える」と示す事務連絡です。強制力のある告示ではありませんが、実際の審査・指導はこの整理に沿って行われるため、実務上は必ず押さえておくべき資料です。

目次

  1. 疑義解釈その11の全体像 ― 3つの別添で何が示されたか
  2. 医科の主なQ&A ― 初診料・救急・両立支援など7項目
  3. ベースアップ評価料関係のQ&A ― 8月報告の様式が改定前後で分かれる
  4. 歯科のQ&A ― 暫間歯冠補綴装置の算定方法
  5. 掲示義務との関係 ― その11で新たな掲示事項の追加はない
  6. まとめ ― その11で押さえる要点
  7. 出典・参考

疑義解釈その11の全体像 ― 3つの別添で何が示されたか

疑義解釈その11(令和8年7月30日 保険局医療課事務連絡)は、次の3つの別添で構成されています。

  • 別添1 医科診療報酬点数表関係 ── 初診料、看護・多職種協働加算、精神科慢性身体合併症管理加算、医療安全対策地域連携加算、救急外来医学管理料、療養・就労両立支援指導料、投薬 通則6
  • 別添2 看護職員処遇改善評価料およびベースアップ評価料関係 ── 対象職員数の変動、常勤・非常勤の扱い、8月の賃金改善報告書、継続的な賃上げの取組に係る基準
  • 別添3 歯科診療報酬点数表関係 ── 暫間歯冠補綴装置

このうち、多くの医療機関に関わるのは別添2のベースアップ評価料関係です。まず医科から順に見ていきます。

医科の主なQ&A ― 初診料・救急・両立支援など7項目

初診料 ― コンタクトレンズの処方期間終了後、任意中止して再受診した場合

コンタクトレンズの処方期間が終了した後、患者が自分の判断で診療を中止し、その後に同じ医療機関を再受診した場合、初診料を算定できるかという問いです。

回答は、屈折異常に係る診療が継続しているとは考えられない場合、たとえば処方期間終了後に任意で中止し、1月以上経過してから再受診したような場合には、初診料を算定できるとされました。ただし、当該医療機関または特別の関係にある医療機関で過去3年間にコンタクトレンズを処方したことがある場合は、直近の処方年月日と処方期間を摘要欄に記載する必要があります。

看護・多職種協働加算 ― 一時的な変動なら都度の届出は不要

「A215」看護・多職種協働加算、および精神病棟看護・多職種協働加算の施設基準における「看護職員を含む多職種の数」について、暦月で1か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動であれば、その都度の届出は不要でよいか、という問いです。回答は「よい」。他の看護配置基準と同じ扱いになります。

精神科慢性身体合併症管理加算 ― 「一般血液検査が常時行える体制」の範囲

「A230-5」精神科慢性身体合併症管理加算の施設基準にある「一般血液検査が常時行える体制」について、外部機関に検査を委託しており委託先の営業時間外は次の営業日に結果が判明する場合や、院内で採取・検査するが診療時間外の検体は翌診療日に結果が判明する場合でも、基準を満たすとされました。院内で24時間即時に結果が出る体制まで求めるものではない、という整理です。

医療安全対策地域連携加算 ― 特定機能病院同士の連携の扱い

医療安全対策地域連携加算1について、特定機能病院同士で医療安全に関する連携体制を構築し相互に評価等を行う取組は、「特定機能病院における医療安全のためのピアレビュー推進事業」に限らず「当該連携」には含まれないと示されました。特定機能病院に関わる論点で、対象となる医療機関は限られます。

救急外来医学管理料 ― 専任医師に「常時5年以上2名」までは求めない

救急搬送医学管理料1・夜間休日救急医学管理料1・救急外来緊急検査対応加算1の施設基準にある「専任の医師」の配置についての問いです。ポイントは2つ。

  • 5年以上の救急外来診療の経験を持つ医師を、常時2名以上配置する必要はない。
  • 専任の医師を交代で担う複数の医師のうち、2名以上が5年以上の経験を有していればよく、そのほかに5年未満の医師が含まれていても差し支えない。

ただし、常時少なくとも1名は、速やかに救急外来診療を開始できる場所に勤務している必要があります。日や時間帯による交代は認められる、という運用が明確になりました。

療養・就労両立支援指導料 ― 「端緒」は患者と事業者の側から

「B001-9」療養・就労両立支援指導料について、医療機関の側から事業者へ問い合わせを行い、事業者が文書で回答した場合に要件を満たすか、という問いです。回答は「満たさない」。この指導料は、患者と事業者が医療機関の支援を必要として情報提供等を求めることを端緒とするものであり、医療機関からの問い合わせに事業者が答えただけでは端緒になりません。患者と事業者が自発的に共同作成した勤務情報の文書を、医療機関が患者から受け取った時点が支援の端緒になります。

投薬 通則6 ― 退院時処方は「入院中の患者以外」に当たらない

栄養保持を目的とした医薬品の投薬に関する「第5部 投薬」通則6について、退院間際に処方する退院時処方を受けた患者が「入院中の患者以外の患者」に該当するかという問いです。回答は、退院時の投薬は服用日にかかわらず入院患者への投薬として扱うため、該当しないとされました。

ベースアップ評価料関係のQ&A ― 8月報告の様式が改定前後で分かれる

別添2は、看護職員処遇改善評価料およびベースアップ評価料に関する10項目です。実務で影響が大きいものを中心に整理します。

対象職員数が0人になったら ― 翌月から算定しない

ベースアップ評価料等の施設基準で、対象職員数が0人になるなど施設基準を満たさなくなった場合は、速やかに地方厚生(支)局長へ届出の変更を行い、変更の届出を行った日の属する月の翌月から算定しないこととされました。これに伴い、疑義解釈その1(令和6年3月28日)別添2の問15は廃止されています。

40歳未満の非常勤医師 ― 一定の労働時間なら「常勤」に含める

区分計算に用いる「賃金改善算定基礎額」の算出において、40歳未満の非常勤の医師・歯科医師であっても、実労働時間が常勤の医師・歯科医師の所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)以上であれば、「常勤の医師及び歯科医師」に含めてよいとされました。

8月に提出する報告書 ― 実績は改定前様式、中間は改定後様式

今回のその11で特に注意したいのが、令和8年8月に提出する賃金改善の報告書の様式です。令和8年度改定より前からベースアップ評価料等を届け出ていた医療機関等は、令和7年度の賃金改善実績報告書と、令和8年度の賃金改善中間報告書の2つを提出する必要があります。

その際、令和7年度の実績報告書は令和8年度改定前の様式を、令和8年度の中間報告書は令和8年度改定後の様式を用いる、と明記されました。名前は似ていますが、使う様式が改定の前後で分かれる点に注意が必要です。提出にあたっては、この2つの報告書を1通のメールに添付して提出しても差し支えないとされています。

8月に出す報告書が施設のパターンによって何本になるかは、

【令和8年8月提出】ベースアップ評価料の賃金改善報告、8月に出すのは何本か|施設パターン別ガイド

【令和8年8月提出】ベースアップ評価料の賃金改善報告、8月に出すのは何本か|施設パターン別ガイド

ベースアップ評価料には「毎年8月に賃金改善を報告する」施設基準の要件がある。令和8年8月に出すのは実績報告書と中間報告書の2種類。継続機関は2本、新規算定や調剤ベースアップ対象の薬局は中間報告のみ——施設パターン別に一次資料で整理。

で詳しく整理しています。あわせて確認してください。

4月から賃金改善を実施した場合の比較の基準

令和8年度の中間報告書は、令和8年4月・5月分ではなく6月・7月分の賃上げ実績を報告するのが原則です。そのうえで、令和8年4月から賃金改善を実施した医療機関等については、「賃金改善前の令和8年3月時点の給与体系を、同年6月に勤務している職員の賃金に当てはめた場合の対象職員の基本給等総額」と、「令和8年6月時点の対象職員の基本給等総額」を比較する、という基準が示されました。

中間報告書の様式訂正 ― 訂正前の様式でも報告できる

同じ7月30日付で令和8年度の賃金改善中間報告書の様式が一部訂正されましたが、訂正前の様式で報告を行うことも可能とされました。この場合、様式中の「令和8年5月時点の給与体系」を「令和8年3月時点の給与体系」と読み替えて取り扱います。

入院基本料等の減算 ― 後から水準以上のベアを実施した場合

令和8年4月1日以降に新規に入院ベースアップ評価料の算定を開始した医療機関で、算定開始月時点では基準の水準以上のベア等を実施していなかったものの、その後に水準以上のベア等を実施した場合は、様式98を用いて施設基準の届出を行った日の属する月の翌月から、入院基本料等の減算が免除されます。なお、求められるベア等の水準は令和8年度に届け出る場合と令和9年度に届け出る場合とで異なる点にも留意が必要です。

一方で、令和8年3月時点で外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)のみを届け出ており、令和8年6月以降に入院ベースアップ評価料の届出を行わない病院は、入院基本料等の減算の対象になるとされました。

ベースアップ評価料そのもののしくみは

ベースアップ評価料とは?2026年6月改定後の点数・施設基準・院内掲示をわかりやすく解説

ベースアップ評価料とは?2026年6月改定後の点数・施設基準・院内掲示をわかりやすく解説

ベースアップ評価料は2026年6月改定で点数が最大3倍に拡充。現に算定中の医療機関も6/1までの再届出が必要です。点数表・施設基準・院内掲示のポイントを実務目線で整理。

で、新設手当への充当や算定期間などの運用面は

ベースアップ評価料の運用Q&A|新設手当への充当・算定期間・事務職員の範囲(疑義解釈その7)

ベースアップ評価料の運用Q&A|新設手当への充当・算定期間・事務職員の範囲(疑義解釈その7)

疑義解釈(その7)別添2のベースアップ評価料Q&A(問1〜7)を解説。届出は施設ごと、新設手当への充当、算定期間と賃金改善期間、「事務職員」の範囲、届出方法までを一次資料に沿って整理します。

で整理しています。

歯科のQ&A ― 暫間歯冠補綴装置の算定方法

別添3の歯科は、暫間歯冠補綴装置の1項目です。分割抜歯や分離切断を行った歯に対して暫間歯冠補綴装置を用いる場合、最終補綴物に係る歯冠修復の算定方法と同様に取り扱うとされました。たとえば金属歯冠修復を行う場合、分割抜歯を行った歯は1歯分、分離切断を行った歯は2歯分で算定する、といった具体例が示されています。ブリッジの支台歯とする場合の数え方も併せて整理されているので、該当する歯科診療所は原文の例示を確認してください。

掲示義務との関係 ― その11で新たな掲示事項の追加はない

念のため掲示の観点も整理しておきます。今回の疑義解釈その11には、患者向けの院内掲示・Web掲示の事項を新たに追加するような内容は含まれていません。中心は、算定要件や施設基準の運用、8月に出す賃金改善報告書の様式です。

ただし、令和6年度改定で原則義務化されたWeb掲示義務(自院のホームページを持つ医療機関が、院内掲示事項をウェブサイトにも掲載する義務)は引き続き有効です。ベースアップ評価料をはじめ、施設基準に基づく掲示事項は改定や届出のたびに内容が動きます。届出データを起点に掲示ページを自動で整えるしくみを使えば、疑義解釈の一つひとつを追いながら掲示物まで手で直す負担を減らせます。制度の細部は制度の細部として押さえ、掲示は仕組み側に任せる、という切り分けができます。

まとめ ― その11で押さえる要点

疑義解釈その11(令和8年7月30日)は、医科・ベースアップ評価料関係・歯科の3つの別添で、改定後の実務でつまずきやすい点を整理したものです。

医科では、コンタクトレンズ処方後に任意中止して再受診した場合の初診料、救急外来の専任医師に「常時5年以上2名」までは求めないこと、療養・就労両立支援指導料の端緒は患者・事業者の側からであることなどが示されました。ベースアップ評価料関係では、8月に出す実績報告書は改定前様式・中間報告書は改定後様式という様式の使い分け、対象職員数が0人になった場合の取扱い、入院基本料等の減算の免除条件が要点です。歯科では暫間歯冠補綴装置の算定方法が整理されました。

自院に関係する項目を洗い出し、8月の賃金改善報告では様式の取り違えがないか、管轄の地方厚生局が指定する提出期日はいつかを、原文とあわせて確認しておくのが確実です。過去の疑義解釈は

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、

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にもまとめています。

出典・参考

一次資料(厚生労働省・厚生局・支払基金 等)

  • 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その11)」(令和8年7月30日 保険局医療課事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001731253.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」(賃金改善実績報告書・中間報告書の様式掲載先) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html

二次資料(業界誌・専門サイト)

  • PT-OT-ST.NET「【診療報酬改定】疑義解釈(その11)|看護・多職種協働加算、ベースアップ評価料など」 https://www.pt-ot-st.net/index.php/topics/detail/1970
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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1疑義解釈その11の全体像 ― 3つの別添で何が示されたか
  2. 2医科の主なQ&A ― 初診料・救急・両立支援など7項目
  3. 3ベースアップ評価料関係のQ&A ― 8月報告の様式が改定前後で分かれる
  4. 4歯科のQ&A ― 暫間歯冠補綴装置の算定方法
  5. 5掲示義務との関係 ― その11で新たな掲示事項の追加はない
  6. 6まとめ ― その11で押さえる要点
  7. 7出典・参考

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