【11月30日まで】妥結率等の報告|未提出で調剤基本料は半減、初診料は75点減

10月に入りました。この時期に受付が始まる報告がひとつあります。妥結率等に係る報告です。4月1日から9月30日までの実績を、10月1日から11月末日までに地方厚生(支)局長へ報告するというもので、いま受付期間の真っ只中です。
地味な報告ですが、出し忘れたときの代償が大きい。薬局は調剤基本料が半分になります。200床以上の病院は初診料が291点から216点に下がります。しかも効き始めるのは数か月先なので、忘れたことに気づくのが遅れます。
何をいつまでに出すのか
報告するのは3つです。妥結率、医療用医薬品の取引に係る状況、流通改善に関する取組状況。妥結率というのは、購入した医療用医薬品の薬価総額のうち、卸売販売業者との間で取引価格が決まっているものの割合です。
妥結率=卸売販売業者と当該保険医療機関との間での取引価格が定められた医療用医薬品の薬価総額(各医療用医薬品の規格単位数量×薬価を合算したもの)/当該保険医療機関において購入された医療用医薬品の薬価総額
ここでいう妥結は「取引価格が決定しているもの」を指します。契約書等の遡及条項で取引価格が遡って変更できる場合は未妥結です。逆に、取引価格は決まっていて支払期間だけ決まっていないなど、取引価格に影響しない契約事項が未決定の場合は妥結として扱います。
提出先と期限は医科・薬局とも同じです。
- 医療機関:別添7の様式2の4により、毎年10月1日から11月末日までに、同年4月1日から9月30日までの期間における実績を地方厚生(支)局長へ報告(令和8年3月5日 保医発0305第7号 第2の5)
- 薬局:別添2の様式85により、毎年10月1日から11月末日までに、同年4月1日から9月30日までの期間における実績を地方厚生(支)局長へ報告(令和8年3月5日 保医発0305第8号 第91)
契約書の写しなど妥結率の根拠資料は、報告の際に添付する必要はありません。ただし医療機関・薬局の側で適切に保管しておくこととされています。
薬局は調剤基本料が100分の50になる
薬局にとってこれは軽い話ではありません。保医発0305第8号の第91は、次のいずれかに該当する薬局について、調剤基本料を100分の50に減算すると定めています。
(1) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率が5割以下であること。 (2) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率、医療用医薬品の取引に係る状況及び流通改善に関する取組状況について、地方厚生(支)局長に報告していない保険薬局であること。 (3) 薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務を1年間実施していない保険薬局であること。ただし、処方箋の受付回数が1月に 600 回以下の保険薬局である場合を除く。
妥結率が低いことだけでなく、報告していないこと自体が減算理由になっている点に注意してください。妥結率が9割でも、報告を出さなければ減算されます。

調剤基本料の区分と点数一覧|届出区分ごとの掲示要件を解説
調剤基本料の7区分(基本料1〜3・特別調剤基本料A・B)の点数・該当要件・掲示義務を令和8年度改定に対応して解説。処方箋集中率の計算方法や妥結率の減算ルールもわかりやすくまとめています。
は区分によって点数が違いますが、どの区分でも所定点数の半分になります。調剤基本料1なら47点が半分です。処方箋の受付1回ごとに効いてくるので、受付回数の多い薬局ほど影響が積み上がります。
適用される期間も押さえておきたいところです。11月末日までの報告に基づく調剤基本料は、翌年6月1日から翌々年5月末日まで適用されます。つまり今年の秋に出し忘れると、効いてくるのは来年6月から再来年5月まで。半年以上あとに、1年がかりで効きます。
なお新規指定の薬局には緩和があります。報告年度の当年4月2日以降に新規に保険薬局として指定された薬局は、翌々年5月31日までは妥結率が5割を超えているものとみなされます。
200床以上の病院は初診料・再診料が下がる
医科側は対象が絞られます。特定妥結率初診料と特定妥結率再診料は、告示上許可病床数が200床以上である病院に限られます。外来診療料のほうは条文に病床の限定がありませんが、外来診療料そのものが「許可病床のうち一般病床に係るものの数が200以上である保険医療機関」で算定するものなので、結果として規模で絞られます。
数え方が違う点には注意してください。初診料・再診料は療養病床や精神病床も含めた許可病床数で200床、外来診療料は一般病床で200床です。許可病床250床でも一般病床が120床の病院なら、算定するのは再診料のほうで、特定妥結率再診料の対象になります。
点数の下がり方は次のとおりです。
| 区分 | 通常 | 特定妥結率 |
|---|---|---|
| 初診料(A000) | 291点 | 216点 |
| 再診料(A001) | 76点 | 56点 |
| 外来診療料(A002) | 77点 | 57点 |
初診料は75点、再診料と外来診療料は20点下がります。初診料は情報通信機器を用いた初診の場合(注1のただし書)が253点で、特定妥結率のときは188点になります。外来の件数が多い病院ほど効きます。
該当条件は薬局とほぼ同じ構造です。基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号)は、妥結率が五割以下であること、または妥結率等について地方厚生局長等に報告していない保険医療機関であること、のいずれかに該当する場合としています。
適用期間は薬局と違います。11月末日までの報告に基づく特定妥結率初診料等は、12月1日から翌年11月末日まで適用されます。薬局が翌年6月スタートなのに対し、医科は12月スタートです。同じ報告なのに効き始めが半年ずれるので、法人で医療機関と薬局の両方を持っている場合は混同しないようにしてください。
無床クリニック・歯科診療所はどうなのか
診療所は、無床でも有床でもこの減算の対象外です。特定妥結率初診料と特定妥結率再診料は「病院である保険医療機関」に限られているためで、病床の有無ではなく病院かどうかで切れます。歯科も対象外です。歯科診療報酬点数表(別表第二)には特定妥結率の規定自体がありません。
ただし妥結率の考え方そのものは、流通改善ガイドラインの話とつながっています。通知は、原則としてすべての品目について単品単価契約とすることが望ましいこと、個々の医薬品の価値を無視した値引き交渉や、医薬品の安定供給・卸売業者の経営に影響を及ぼすような流通コストを全く考慮しない値引き交渉を慎むことに留意するよう求めています。医薬品を購入している以上、規模にかかわらず無関係ではありません。
報告書に何を書くのか
様式2の4(医療機関)と様式85(薬局)は、おおむね次の構成です。
- 当年度上半期の妥結率:購入した医療用医薬品の薬価総額と、取引価格が定められた薬価総額を記入し、割合を算出する
- 医療用医薬品の取引に係る状況:前年度における価格交渉および妥結価格についての状況
- 流通改善に関する取組状況:単品単価契約の推進、個々の医薬品の価値に基づいた価格交渉の推進、価格交渉の頻度の改善といった取組の状況
3つ目は選択式で、価格交渉を自院で行っているか代行者に依頼しているか、ベンチマークを一律に用いた交渉をしていないか、といった項目にチェックを入れていきます。
薬局はもうひとつ、この報告書が別の加算の要件にも直結しています。

地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準と点数一覧|届出要件と掲示義務を解説
令和8年度改定で統合された地域支援・医薬品供給対応体制加算(旧・地域支援体制加算+後発医薬品調剤体制加算)の加算1〜5の点数・施設基準・届出要件・掲示義務を解説。
の「単品単価交渉」の要件(保医発0305第8号 第92の1の(2)のオ)は、様式85の記載で判定されます。
直近に地方厚生(支)局長等に届け出た別添2の様式 85(妥結率等に係る報告書)の3の(1)において、「単品単価交渉を行っていない」に非該当であることで本要件を満たすものとして取り扱う。様式 85 を地方厚生(支)局長等に届け出ていない場合は本要件を満たさないものとして取り扱う。
つまり様式85を出していない薬局は、調剤基本料が半分になるうえ、この加算の要件も満たさない扱いになります。減算と加算の両方で効きます。ただし開設から1年に満たず報告書の提出経験がない薬局は、本要件を満たしているものとみなされます。
10月・11月に重なる他の期限
この時期は報告や届出が重なります。自院に当たるものを一度並べておくと取りこぼしが減ります。
- 妥結率等に係る報告:10月1日〜11月末日(本記事)

【次の期限は11月20日】外来データ提出加算の届出、実績認定までの2段階
令和8年9月16日、データ提出の実績が認められた医療機関に事務連絡が出ました。これから始める場合、様式7の10の次の期限は11月20日です。
:次の期限は11月20日

【令和8年8月】施設基準の定例報告とは|8月1日現在で自己点検、R8改定で報告内容が大幅見直し
施設基準を届け出ている医療機関・薬局・訪問看護ステーションが毎年8月1日現在で行う「定例報告」を、令和8年度版で整理。改定で報告項目が大幅に見直された点、対象・基準日・提出期限(多くは8月末必着)、郵送と電子申請(定例報告マクロツール)、届出と掲示のずれ点検までまとめます。
:8月1日現在で自己点検するもの。令和8年度分は済んでいるはずですが、未提出なら早めに
自院がどの施設基準を届け出ているか曖昧な場合は、

施設基準の届出一覧|自院の届出状況を確認する3つの方法
自院の施設基準の届出一覧を確認する3つの方法(厚生局サイト・医療情報ネット・届出控え)と、届出状況と掲示義務の関係を解説。厚生局ごとの確認ページリンク付き。
から入ると整理しやすくなります。
まとめと次のチェックポイント
- 妥結率等に係る報告は、4月1日〜9月30日の実績を10月1日〜11月末日に地方厚生(支)局長へ報告する
- 薬局は様式85。妥結率5割以下、または報告していない場合、調剤基本料が100分の50に減算される。適用は翌年6月1日〜翌々年5月末日
- 200床以上の病院は様式2の4。初診料291点→216点、再診料76点→56点、外来診療料77点→57点。適用は12月1日〜翌年11月末日
- 妥結率が高くても、報告しなければ減算対象になる
- 根拠資料の添付は不要だが、契約書の写し等は適切に保管しておく
次のチェックポイントは11月30日です。報告は年1回、この2か月間にしか受け付けられません。外来データ提出加算の11月20日と近いので、11月に入ってからまとめて処理しようとすると取りこぼします。10月のうちに自院・自局が対象かどうかだけでも確定させておくと確実です。
掲示ナビは厚生局の届出データを起点に掲示内容を自動生成しているので、届出や報告が動いても掲示側を手で直す必要がありません。報告のような年次の締切に向き合うとき、掲示物の管理まで同時に抱えなくていい状態をつくっておきたいところです。
出典・参考
一次資料(厚生労働省・厚生局)
-
厚生労働省保険局医療課長「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第7号、第2の5・別添7様式2の4) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000456074.pdf
-
厚生労働省保険局医療課長「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第8号、第91・別添2様式85) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000456075.pdf
-
厚生労働省「診療報酬の算定方法」別表第一 医科診療報酬点数表(令和8年厚生労働省告示第69号、A000初診料・A001再診料・A002外来診療料) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
-
厚生労働省「診療報酬の算定方法」別表第三 調剤報酬点数表(令和8年厚生労働省告示第69号、区分00調剤基本料 注4) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665294.pdf
-
厚生労働省「基本診療料の施設基準等」(平成20年3月5日 厚生労働省告示第62号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9732&dataType=0
-
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(告示・通知一覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html




