疑義解釈その12(令和8年9月2日)全22問|医科・調剤の改定Q&Aまとめ

令和8年9月2日、厚生労働省保険局医療課から「疑義解釈資料の送付について(その12)」が出ました。令和8年度診療報酬改定の運用が始まって3か月、現場から上がってきた迷いどころに答えるかたちの事務連絡です。
今回は別添1から別添4まで、医科14問・ベースアップ評価料1問・調剤6問・訪問看護療養費1問の計22問。数は多くありませんが、初診の窓口・健診との線引き・薬局の人員要件など、毎日の運用に直接ぶつかる内容が並んでいます。業態別に整理します。
疑義解釈その12はどの通知に対するQ&Aか
事務連絡の冒頭にこう書かれています。
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第 69 号)等については、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日保医発 0305 第6号)等により、令和8年6月1日より実施することとしているところですが、今般、その取扱いに係る疑義解釈資料を別添1から別添4までのとおり取りまとめましたので、本事務連絡を確認の上、適切に運用いただくようお願いします。
つまり、令和8年6月1日施行の点数表そのものではなく、その留意事項通知(保医発0305第6号)や施設基準通知(同第7号・第8号)の読み方を補足するものです。通知本文が書き換わるわけではないので、届出のやり直しが一律に発生する性質のものではありません。ただし今回は、届出をやり直す必要があるかを正面から扱った問が2つあります。
前回のその11(令和8年7月30日)は

疑義解釈その11(令和8年7月30日)をわかりやすく|医科・歯科・ベースアップの改定Q&A総まとめ
令和8年7月30日に出た診療報酬改定の疑義解釈その11(別添1〜3)を、医科・歯科・ベースアップ評価料の業態別にわかりやすく整理。初診料・救急外来医学管理料・療養就労両立支援指導料、8月に出す賃金改善報告書の様式(実績=改定前・中間=改定後)など主要Q&Aの要点をまとめます。
にまとめてあります。
医科:初診の窓口に直結する3問
特定機能病院等紹介患者受入加算は「紹介状」が要るのか
令和8年度改定で新設された特定機能病院等紹介患者受入加算について、問1はまず「特定機能病院等の医師が、他の保険医療機関での診療の必要性を認め、診療状況を示す文書(電子的に送付されたものも含む)を添えて紹介した患者について初診料を算定する場合に算定できる」としたうえで、対象にならない場合を明示しました。
なお、当該加算の対象となる紹介は、複数回の受診を通じた継続的な治療管理を前提とするものであり、単回の画像検査のみを目的とした紹介等、その後の継続的な診療を予定していない場合は該当しない。
読みどころは2つです。ひとつは「診療状況を示す文書」でよく、電子的に送付されたものも含まれること。もうひとつは、検査だけを引き受ける単発の紹介は対象外だということ。画像検査を受託しているクリニックは、受付で紹介元の文書の有無に加えて、その後も継続して診るのかを確認する導線が要ります。
電子的診療情報連携体制整備加算、届出はどうなるか
こちらは問2と問3で届出の扱いが整理されました。まず、加算2または3を届け出ている医療機関が加算1または2を新たに算定したい場合について。
(答)辞退の届出は不要だが、改めて届出を行う必要がある。
辞退届は要らないものの、上位区分の届出は改めて出す必要があります。一方、要件を割ってしまった場合はこうです。
(答)辞退の届出は不要。ただし、この場合は当該加算を算定することはできない。
こちらはマイナ保険証利用率の要件を満たさなくなったケースで、初診料の注16、再診料の注19、外来診療料の注10、そしてA207-5の電子的診療情報連携体制整備加算が対象です。辞退届を出さなくてよい代わりに、満たしていない月は算定できません。届出は生きているのに算定は止まる状態が起こりうるので、利用率の確認を月次作業に組み込んでおくのが安全です。加算そのものの要件は

電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準と掲示要件を解説
電子的診療情報連携体制整備加算の点数・施設基準・掲示要件を厚生労働省の一次資料をもとに解説。初診15点〜4点の3段階、入院160点・80点の要件の違い、院内掲示・Web掲載の義務内容をまとめました。
にまとめています。
眼科・歯科への情報提供は通院中でも算定できる
問5は、眼科医療機関連携強化加算と歯科医療機関連携強化加算について、すでに患者が眼科や歯科に通院している場合を扱っています。
(答)現に患者が眼科又は歯科を標榜する他の保険医療機関に通院中である場合であっても、医学的な必要性に基づき、診療情報提供書等を用いて毎年定期的に情報提供を行う場合は、同一患者に対して年に1回継続して当該加算を算定可能。
すでに通院中だから対象外、ではなく、医学的な必要性に基づく定期的な情報提供であれば年1回算定できる、という整理です。
医科:健診と同日の検体検査、どこまで保険で取れるか
問10が、実務でいちばん照会が多いであろう線引きに答えています。同一日に1回の受診で健診等と保険診療を行い、健診の一環として採血した血液を保険診療の検査に使う場合の扱いです。
(答)健診等の一環として実施する検体採取の手技について、第3部第4節診断穿刺・検体採取料は算定できない。
採血の手技料は取れません。検査そのものはこう続きます。
また、第3部第1節第1款検体検査実施料及び第3部第1節第2款検体検査判断料については、原則として算定できない。ただし、健診等の実施とは別に、診療上の必要性に基づき保険診療として実施する検査については、以下に該当する場合に算定できる。 ・健診等を実施した保険医療機関で当該受診日より前から診療中の疾患に関する継続的な疾病管理の一環として、健診等の受診の有無にかかわらず、予め保険診療として実施を予定していた検査 ・健診等の検査結果を踏まえ、治療方針を確立する必要が生じたため、別途追加で保険診療として行う検査
原則は算定できない、例外は2つです。健診の前から診ていた疾患の継続的な疾病管理の一環として、あらかじめ保険診療として実施を予定していた検査。そして、健診等の検査結果を踏まえ、治療方針を確立する必要が生じたため別途追加で行う検査。逆にいえば、健診項目をそのまま保険に振り替えることはできません。同日の初再診料の考え方は

健診後の初診料・再診料は算定できる?企業健診も対象か【R8改定で明確化】
健診のあと外来で保険診療に切り替えたとき、初診料・再診料は算定できるのか。令和8年改定で通則に明文化された「同じ受診か別の受診か」の線引きを、企業健診の扱いや他施設健診のケースまでQ&Aで整理します。
にあるので、窓口の判断はセットで整理しておくとよいと思います。
医科:BCP、CPAP、リハビリの記載
問7は、機能強化加算と在宅療養支援診療所・病院で新たに要件となった業務継続計画についてです。日本医師会が作成した「診療所用業務継続計画(BCP)のひな形」を参考にしてよいか、という問いに「参考としてもよい」と回答したうえで、こう続けています。
なお、いずれを用いた場合も、各医療機関や地域の特性、市町村の個別避難計画等を踏まえて、必要に応じて追加・削除等した上で記載するとともに、作成した計画を職員に適切に周知すること。また、作成した業務継続計画は定期的に更新することが望ましい。
ひな形をそのまま出せば済む話ではありません。地域の特性や市町村の個別避難計画を踏まえて足し引きすること、職員に周知すること、定期的に更新することがセットで求められています。機能強化加算のBCP要件には1年の経過措置があるので、期限とやることの並びは

機能強化加算 BCP等新要件の1年経過措置|2027年5月31日までに整備すべきことロードマップ
2026年6月改定で機能強化加算の施設基準にBCP(業務継続計画)策定が追加されました。3月31日時点の既届出施設は2027年5月31日まで1年の経過措置があります。何を、いつまでに整備すべきかをロードマップで解説します。
で逆算してください。
問9はCPAPです。令和8年7月30日の一部訂正で記載要領に加わった記載事項について、直近3月のうち1日平均使用時間が1時間以上だった月が1月でもあれば、1時間未満の月が混じっていても在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2を算定できるか、という問いに「算定可能」と答えています。3か月すべてで1時間以上である必要はない、ということです。7月30日の訂正の経緯は

CPAPの使用時間記載と算定ルールとは?導入直後の患者の算定可否を解説
CPAPを始めたばかりの患者の使用時間記載で手が止まる――。令和8年度改定で在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2に新設された使用時間の算定除外条件と、「開始3月以内は対象外」のただし書を一次資料ベースで整理。導入直後でも算定できる根拠を解説します。
で追っています。
問13は、離床を伴わずに実施するリハビリテーションの記載頻度です。診療報酬明細書への記載は毎月、診療録への記載は状態に変化が生じた際には随時、変化がない場合でも少なくとも月1回、と示されました。毎日書く必要はありませんが、月1回は必ず残す運用になります。なお、そのほか医科では身体的拘束最小化推進体制加算の一時的変動の扱い(問4)、心不全再入院予防継続管理料の研修会を対面原則としつつオンライン開催を認める条件(問6)、静脈奇形硬化療法の指針・研修の具体名(問14)も示されています。
薬局:調剤基本料の経過措置と人員要件
別添3は6問。まず調剤基本料2の問1です。特掲施設基準通知にある「令和8年5月 31 日において、現に処方箋の受付回数が1月当たりに 1,800 枚以下であるとして届け出ている保険薬局」について、5月31日時点で届出が受理されていなければ該当しないのか、という問いに、「受理状況にかかわらず」5月31日までに様式84を用いて1,800枚以下として届け出ている場合も該当する、と答えています。受理のタイミングではなく、5月31日までに出していたかで判断されます。
問2は特別調剤基本料Aの経過措置です。令和8年3月4日時点で同一建物内に保険医療機関が所在していた薬局について、3月5日以降に新たな不動産取引等が生じた場合や賃借区域の拡張が行われた場合はどうか、という問いに対して。
(答)いずれの場合も経過措置は適用されない。当該経過措置は、令和8年3月4日時点において存在していた特別な関係を対象とするものであり、令和8年3月5日以降に新たに生じた不動産取引等その他の特別な関係についてまで対象とする趣旨ではない。
経過措置に乗っている薬局が3月5日以降に賃貸借契約を動かすと、そこで外れます。区画の広げ方ひとつで結論が変わるので、契約更改の前に確認が要る論点です。
問3は調剤時残薬調整加算。照会の結果、処方箋の一部の処方について調剤日数または数量が0になった場合でも算定可能、ただし全ての処方について0になった場合は算定できない、という整理です。あわせて、「調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関に情報提供」の欄に指示がある処方箋であっても、事前の照会をせずに0とすることはできない旨が注意されています。加算の基本は

調剤時残薬調整加算とは?点数・算定要件・残薬調整の流れを薬局向けに解説
残薬を確認して疑義照会までしたのに、結局この加算は取れるのか——令和8年度新設の調剤時残薬調整加算について、イ・ロ・ハ・ニの点数区分、7日分ルール、手帳の活用実績要件、掲示義務との関係まで、薬局の実務目線で整理します。
にまとめています。
問4は服薬管理指導料のかかりつけ要件です。育児・介護休業法の規定による措置で所定労働時間が短縮されている保険薬剤師について、週31時間以上勤務する保険薬剤師として扱い、週24時間以上かつ週4日以上勤務している期間を継続在籍期間に計上してよいか、という問いに「よい」と回答しています。ただし但し書きが付きます。
なお、計上しないことも可能であるが、この場合は、当該保険薬剤師はかかりつけ薬剤師としての業務を実施しないこと。
計上するかどうかは薬局側で選べますが、計上しないならその薬剤師にかかりつけ業務をさせない、という組み合わせで固定されます。
問5は在宅薬学総合体制加算の「開局時間中は2名以上の薬剤師が常駐」をめぐるものです。原則は開局時間中2名以上の常駐としつつ、週45時間以上(うち平日は8時間以上、土曜日または日曜日は一定時間以上、祝日のある週は除く)2名以上が常駐する薬局で、薬局外の薬剤師が在宅患者の急変等に対応可能な体制を整え、かつ薬局内の薬剤師が処方箋を受け付ける体制を確保している場合には、一部の時間帯で1名でも差し支えないとされました。人員の谷ができる薬局には現実的な緩和ですが、「週45時間以上」「平日8時間以上」という下限が付いている点は落とせません。
問6は分割調剤時の調剤ベースアップ評価料と調剤物価対応料で、分割調剤の場合は初回のみ算定、ただし異なる保険薬局で分割調剤を行う場合は各薬局の初回のみそれぞれ算定できる、と整理されています。
ベースアップ評価料と訪問看護の各1問
別添2は1問だけです。常勤職員がおらず非常勤職員のみで運営している場合の対象職員の常勤換算数について、非常勤の対象職員の1週間における所定労働時間の合計を「32時間」で除して算出する、と示されました。分母が32時間で固定されている点がポイントです。ベースアップ評価料そのものの構造は

ベースアップ評価料とは?2026年6月改定後の点数・施設基準・院内掲示をわかりやすく解説
ベースアップ評価料は2026年6月改定で点数が最大3倍に拡充。現に算定中の医療機関も6/1までの再届出が必要です。点数表・施設基準・院内掲示のポイントを実務目線で整理。
を参照してください。
別添4も1問。訪問看護療養費の訪問看護遠隔診療補助料について、算定要件にいう主治医は様式13で「連携する保険医療機関」として届出を行っている保険医療機関の主治医を指すと考えてよいか、という問いに「そのとおり」と回答しています。医科側の訪問看護遠隔診療補助料でも同趣旨の問8があり、こちらは様式20の3の7で「連携する訪問看護ステーション」として届け出たステーションを指す、と示されました。訪問看護と医療機関の双方で、届出様式に書いた相手かどうかが判断軸になります。
いま確認しておきたいこと
その12を読んだあとに手を動かすなら、優先順位はこうなります。
医科は、電子的診療情報連携体制整備加算のマイナ保険証利用率を月次で確認する仕組みがあるか。辞退届が要らない分、算定を止める判断は自院で行うことになります。次に、特定機能病院等紹介患者受入加算を算定しているなら、単回の画像検査目的の紹介が混じっていないかをいちど遡ること。そして、健診と保険診療が同日になる日に、例外の2パターンに当てはまるかを誰が判断するのかを決めておくことです。ここが決まっていないとレセプト作成の段階で止まります。
薬局は、特別調剤基本料Aの経過措置に乗っている場合の契約関係と、在宅薬学総合体制加算の勤務時間の実績が先です。どちらも記録がないと後から証明できません。
なお今回のその12に、施設基準の掲示事項に関する新しい指示は含まれていません。掲示の内容そのものを見直す必要はありませんが、届出が変われば掲示も追随します。上位区分への届出をやり直したり、要件を満たさなくなって算定を止めたりしたときは、掲示内容と届出の実態がずれていないかを確認してください。届出と掲示のずれは、適時調査でも個別指導でも指摘されやすいところです。
まとめ
疑義解釈その12は全22問。医科は初診まわりの新設加算と健診との線引き、薬局は経過措置と人員要件、ベースアップと訪問看護は各1問という構成でした。
通知本文が変わったわけではないので、慌てて届出をやり直す性質のものではありません。ただし電子的診療情報連携体制整備加算の上位区分への移行は「改めて届出を行う必要がある」と明示され、特別調剤基本料Aの経過措置は3月5日以降の契約変更で外れることがはっきりしました。この2つは、該当していれば動く必要があります。
次のチェックポイントはその13が出るタイミングです。改定初年度は照会が積み上がる時期なので、続報が出る前提で運用を組んでおくと落ち着いて対応できます。
出典・参考
一次資料(厚生労働省・厚生局・支払基金 等)
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厚生労働省保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その12)」(令和8年9月2日 事務連絡) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001744953.pdf
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厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(疑義解釈資料)」(疑義解釈その1〜その12の一覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
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日本医師会「診療所用業務継続計画(BCP)のひな形」(疑義解釈その12 別添1 問7で参考として明示) https://www.med.or.jp/doctor/sien/s_sien/012844.html
二次資料(業界誌・専門サイト)
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日本病院会「疑義解釈資料の送付について(その12)(厚生労働省保険局医療課:R8.9.2)」(2026年9月3日 行政情報) https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/
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ドクターエージェント「【令和8年度診療報酬改定】特定機能病院等紹介患者受入加算は「紹介状」が必要?疑義解釈その12をわかりやすく解説」 https://www.dragent.jp/post/tokutei




