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診療報酬改定
2026年9月2日 · HIRO

家族だけの来院で再診料は算定できる?初診料との違いと外来管理加算をQ&Aで解説

家族だけの来院で再診料は算定できる?初診料との違いと外来管理加算をQ&Aで解説
# 初診料# 再診料# 令和8年度改定# 算定要件

患者さん本人が来られず、ご家族だけが窓口に来る。よくある場面ですが、初診料・再診料をどう扱うかで院内の意見が割れることがあります。

「初診は取れない、再診はやむを得ない場合なら取れる」と理解している方は多いと思います。その理解はおおむね合っています。ただ、根拠がどこに書いてあるかとなると、点数表の解説書をめくっても見つけにくい。実は答えは、再診料の告示の「注9」と、留意事項通知の外来管理加算の項に分かれて置かれています。

この記事では、家族のみ来院にまつわる疑問を7つに分けて、条文の場所とあわせて整理します。

目次

  1. なぜ根拠が見つけにくいのか
  2. 家族のみ来院、よくある疑問7つに答えます
  3. 迷ったときのチェックリスト
  4. 関連する論点
  5. まとめ
  6. 出典・参考

なぜ根拠が見つけにくいのか

理由は3つあります。

ひとつめ。根拠が「家族」という言葉で書かれていないからです。条文の表現は「その看護に当たっている者」で、家族という語では検索に引っかかりません。

ふたつめ。答えが2か所に分かれているからです。電話等の場合は告示の注9に、来院して症状を聞いた場合は留意事項通知の外来管理加算の項に書かれています。片方だけを見ると片手落ちになります。

みっつめ。似て非なる論点が混ざるからです。「家族が薬だけ取りに来た」は、家族かどうかとは別の理由で算定できません。ここを一緒くたにすると話がこじれます。

以下、順に見ていきます。

家族のみ来院、よくある疑問7つに答えます

Q1. 家族だけが来院した場合、初診料は算定できますか

算定できる根拠が見当たりません。

初診料の留意事項通知は、算定の条件をこう定めています。

特に初診料が算定できない旨の規定がある場合を除き、患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった場合に、初診料を算定する。

「医学的に初診といわれる診療行為」が要ります。そして後で見るように、再診料には家族から意見を求められた場合の規定(注9)が置かれているのに対し、初診料の側には対応する規定がありません。医科点数表のA000 初診料の注にも、留意事項通知のA000の項にも、「電話等」「看護に当たっている者」という文言は出てきません。

再診料には用意されている受け皿が、初診料にはない。この非対称が、実務上の「初診は取れない」という理解の裏付けになります。

Q2. 家族だけの来院で、再診料は算定できますか

算定できます。根拠は2つあります。

ひとつめは、医科点数表のA001 再診料の注9です。

患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示をした場合においても、再診料を算定することができる。ただし、この場合において、注8、注12、注13及び注15から注20までに規定する加算は算定しない。

「その看護に当たっている者」がご家族にあたります。告示そのものに書かれている、というのが大事なところです。レセプト電算処理システム用コードにも「電話等再診料」が通常の再診料とは別建てで用意されていて(同一日に2回以上の再診があった場合の 112008850 同日電話等再診料 など)、制度としてきちんと想定された算定であることがうかがえます。

ふたつめは、留意事項通知の外来管理加算の項です。こちらは来院して症状を聞いた場面を想定しています。

投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない。

「やむを得ない事情で」と条件が付いている点に注意してください。本人が来られる状態なのに家族が代わりに来る運用を常態化させる、という趣旨ではありません。なお「やむを得ない事情」の判断基準は通知に定義がなく、医師の判断領域です。

Q3. そのとき、外来管理加算は算定できますか

算定できません。ここは告示と通知の両方が同じことを言っています。

注9のただし書は、算定しない加算として「注8」を挙げています。外来管理加算はこの注8(52点)です。留意事項通知のほうも「再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない」と書いています。

なお注9が外しているのは外来管理加算だけではありません。あわせて挙げられている注12・注13・注15から注20までは、地域包括診療加算や外来感染対策向上加算、看護師等遠隔診療補助加算など、施設基準の届出を前提とした加算群です。家族から意見を求められて指示をしたケースでは、これらもまとめて算定できません。

ちなみに通知は、続けてこうも書いています。

また、多忙等を理由に、イに該当する診療行為を行わず、簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合にあっては、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない。

家族来院に限らず、丁寧な問診と身体診察を伴わない継続処方では外来管理加算は付かない、という整理です。

Q4. 家族が薬だけ、検査結果だけを受け取りに来た場合はどうなりますか

この場合は、そもそも再診料を算定できません。家族かどうかとは別の理由です。

初・再診料の通則2が、初診または再診に附随する一連の行為として次を挙げ、費用は元の初診料・再診料に含まれるとしています。

ア 初診時又は再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合 イ 往診等の後に薬剤のみを取りに来た場合 ウ 初診又は再診の際検査、画像診断、手術等の必要を認めたが、一旦帰宅し、後刻又は後日検査、画像診断、手術等を受けに来た場合

しかもこの通則には「初診又は再診が行われた同一日であるか否かにかかわらず」と書かれています。日をまたいでも同じ扱いです。

Q2との違いは、医師が治療上の意見を求められて指示をしたかどうかにあります。受け渡しだけなら算定できず、症状を聞いて指示をしたなら再診料を算定できる。この線引きで整理すると迷いません。

ひとつ実務上の注意があります。レセプトの記載要領(別表Ⅰ 項番2)は、再診に附随する一連の行為を後日行った場合で、その再診日が前月にあたるときは、上のアからウのうち該当するものを摘要欄に記載するよう求めています。レセプト電算処理システム用コードも、820100001(結果のみを聞きに来院)・820100002(薬剤のみを取りに来院)・820100003(後日検査等を受けに来院)が用意されています。月をまたいだときだけ必要になる記載なので、見落としやすいところです。

Q5. 乳幼児加算や時間外加算は付けられますか

付けられます。

注9のただし書が算定しないとしているのは、注8・注12・注13・注15から注20までです。乳幼児加算の注4と、時間外・休日・深夜加算の注5は、この除外リストに入っていません。

留意事項通知にも、そのまま書かれています。

乳幼児の看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、「注4」の乳幼児加算を算定する。

時間外加算を算定すべき時間、休日、深夜又は夜間・早朝等に患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、時間外加算、休日加算、深夜加算又は夜間・早朝等加算を算定する。ただし、ファクシミリ又は電子メール等による再診については、これらの加算は算定できない。

ファクシミリや電子メールによる再診だけは、これらの加算が付かないという例外があります。時間外の対応体制そのものについては

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にまとめています。

Q6. 医学管理料は算定できますか

原則として算定できません。

当該再診料を算定する際には、第2章第1部の各区分に規定する医学管理等は算定できない。

例外がひとつだけ置かれています。急病等で患者または看護に当たっている者から連絡を受け、休日または夜間の救急医療を確保している医療機関の受診を指示したうえで、指示を行った同日に受診先へ文書等で診療情報を提供した場合は、診療情報提供料(Ⅰ)を算定できる、というものです。受診先は地域医療支援病院、認定された救急病院・救急診療所、病院群輪番制病院などに限られています。

かなり限定された場面です。診察を伴わない診療情報提供料の扱いは

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で詳しく扱っています。

Q7. 予約に基づく特別の料金は徴収できますか

徴収できません。通知に一行で書かれています。

当該再診料を算定する際には、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。

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で整理しました。

迷ったときのチェックリスト

窓口で判断に迷ったら、上から順に見てください。

第一に、初診か再診か。初診なら、家族のみで算定できる根拠は見当たりません。

第二に、医師が治療上の意見を求められて指示をしたか。していないなら、薬や結果の受け渡しだけとして通則2の扱いになり、再診料は算定できません。

第三に、外来管理加算を外したか。告示の注9でも留意事項通知でも、算定できないとされています。

第四に、乳幼児加算・時間外等加算の要否。これらは除外されていないので、要件を満たせば付けます。

第五に、医学管理料を付けていないか。原則不可で、例外は救急の診療情報提供料(Ⅰ)だけです。

第六に、診療録の記載です。誰から症状を聞き、どんな指示をしたのか。「やむを得ない事情」に当たると判断した理由もあわせて残しておくと、後から説明ができます。

関連する論点

初診料・再診料の算定可否は、健診との関係でも迷いやすい論点です。こちらは

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にまとめました。

情報通信機器を用いた診療の扱いは、家族経由の再診とは別の枠組みです。施設基準と掲示については

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を参照してください。

慢性疾患の継続管理という文脈では、

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もあわせて確認しておくとよいと思います。

まとめ

家族だけが来院した場合、初診料には家族経由での算定根拠が見当たりません。一方、再診料には医科点数表のA001 注9という明確な根拠があり、留意事項通知の外来管理加算の項にも「やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合」の記載があります。

そのうえで、外来管理加算は算定できません。乳幼児加算と時間外等加算は除外リストに入っていないので算定できます。医学管理等は原則不可、予約の特別の料金も徴収できません。

そして混同しやすいのが、薬や検査結果を受け取りに来ただけのケースです。これは通則2により、家族かどうかを問わず再診料を算定できません。医師が治療上の意見を求められて指示をしたかどうか、が分かれ目になります。

院内で意見が割れたときは、告示の注9と留意事項通知の該当箇所を並べて確認するのが早道です。

掲示ナビでは厚生局の届出データをもとに掲示ページを自動生成しているため、届出内容が変われば掲示も自動で追従します。掲示物の管理に時間を取られず、こうした算定の確認に手を回せる状態をつくることが、開発の出発点だったと聞いています。

出典・参考

一次資料(厚生労働省・厚生局・支払基金 等)

  • 厚生労働省「医科診療報酬点数表」(令和8年度診療報酬改定・別表第一)A000 初診料、A001 再診料 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf

  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 第1部 初・再診料 通則、A000、A001 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf

  • 厚生労働省「別表Ⅰ 診療報酬明細書の「摘要」欄への記載事項等一覧(医科)」(「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について・令和8年3月27日 保医発0327第2号 別表。令和8年7月30日差し替え後) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732129.xlsx

二次資料(業界誌・専門サイト)

  • 本記事の回答は上記の一次資料のみに基づいて記述しており、二次資料による補足は行っていません。個別の判断は、所管の厚生局や審査支払機関にご確認ください。
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医療系専門ライター

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診療報酬・医療事務領域を専門とするライター。医療機関での勤務歴15年。臨床業務と並行して院内システムの運用にも携わり、事務長補佐として診療報酬改定対応・病院経営・適時調査・個別指導の実務を経験。制度の「建前」と現場の「実務」のギャップを知る立場から、医療経営者・医事課担当者向けに解説記事を執筆しています。本ブログでは、掲示義務・施設基準・診療報酬改定について、現場目線の実務情報をお届けします。

目次

  1. 1なぜ根拠が見つけにくいのか
  2. 2家族のみ来院、よくある疑問7つに答えます
  3. 3迷ったときのチェックリスト
  4. 4関連する論点
  5. 5まとめ
  6. 6出典・参考

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