歯科疾患管理料(歯管)とは?点数・算定要件・令和8年度改定の変更点を解説

歯科の日常診療でほぼ毎日算定する管理料といえば、歯科疾患管理料(通称「歯管」)です。むし歯や歯周病のように継続的な管理が必要な患者を、口腔全体で診ていくことを評価する管理料で、多くの歯科診療所の算定の土台になっています。令和8年度改定では、この歯管の点数が一律90点に統一され、算定要件に「継続的な管理の必要性についての説明」が明記されました。この記事では、歯科疾患管理料とは何か、点数・算定要件・主な加算・併算定の制限、そして令和8年度改定での変更点を、一次資料で整理します。
歯科疾患管理料(歯管)とは ― 口腔を一単位でとらえる継続管理の評価
歯科疾患管理料は、継続的な管理を必要とする歯科疾患を有する患者に対して、口腔を一単位(1口腔単位)としてとらえ、患者との協働で行う継続的な口腔管理を評価する管理料です。厚生労働省の留意事項通知では、継続的な口腔管理に加えて、病状が改善した歯科疾患などの再発防止および重症化予防を評価したもの、と定義されています。
ポイントは「1口腔単位」という考え方です。歯を1本ずつではなく、口腔全体をひとまとまりとしてとらえ、その患者の口の中の状態を継続的に管理していく。その管理行為に対して算定するのが歯管です。むし歯や歯周病の治療を続けている患者の多くが対象になり得るため、歯科診療所にとっては算定機会の多い、基本的な管理料といえます。
なお、留意事項では「当該患者に対して、継続的な管理の必要性について説明を行うこと」と、患者への説明が求められています。これは令和8年度改定で明記された要件です。単に管理料を算定するだけでなく、「なぜ継続的な管理が必要なのか」を患者に伝えることが、あらためて要件として位置づけられました。
点数と算定単位 ― 一律90点、月1回
歯科疾患管理料の点数は90点です。算定単位は1口腔単位で、算定できるのは月1回までとなっています。
算定の流れは2段階です。1回目は、患者などの同意を得て管理計画を作成し、その内容を説明したうえで算定します。2回目以降は、1回目を算定した日の属する月の翌月以降に、月1回に限り、作成した管理計画に基づく継続的な口腔管理を行った場合に算定します。つまり、同じ月に2回算定することはできず、翌月以降に継続管理を行って初めて次の算定ができる、という組み立てです。
なお、電話などによる再診のときには歯科疾患管理料は算定できません。あくまで来院しての継続的な管理が前提になります。
算定要件 ― 管理計画の作成と診療録への記載
歯管を算定するうえで欠かせないのが、管理計画です。1回目の算定では、患者の同意を得たうえで管理計画を作成し、その内容を説明し、説明の要点を診療録に記載する必要があります。管理計画には、全身の状態(基礎疾患・服薬状況・喫煙などの生活習慣を含む)、口腔の状態、検査結果の要点、治療方針の概要といった内容を記載することとされています。
2回目以降の算定では、この管理計画に基づいて継続的な口腔管理を行い、その要点を診療録に記載します。管理計画を立てて終わりではなく、計画に沿った管理を続け、その内容を記録していくことが求められる、という流れです。適時調査や個別指導では、この管理計画と診療録の記載が確認の対象になり得るため、算定するなら記録を残しておくことが大切です。
主な加算 ― 長期管理加算・文書提供加算など
歯科疾患管理料には、いくつかの加算があります。一次資料で確認できる主な加算は次のとおりです。
長期管理加算は、初診日の属する月から起算して6月を超えて管理・指導を行った場合に算定します。点数は2区分に分かれ、イが120点、ロが100点です。イとロの違いは施設基準にあり、口腔管理体制強化加算(口管強)の届出を行っている診療所はイの120点、それ以外はロの100点となります。長く継続して口腔を管理していく体制を評価する加算で、口管強を届け出ているかどうかで点数が変わる点がポイントです。
文書提供加算は、管理計画に基づく内容を文書で提供した場合に10点を算定します。提供する文書は、初回は別紙様式1、2回目以降は別紙様式2を用いることとされています。このほか、歯科疾患の管理の実施期間中に患者1人につき1回算定できるフッ化物洗口指導加算(40点)、別の医科の医療機関から診療情報の提供を受けて総合的な医療管理を行う場合の総合医療管理加算(50点)、特別管理加算(80点)などが規定されています。
併算定の制限 ― 同月に算定できない管理料
歯科疾患管理料には、同じ月に算定できない管理料が定められています。一次資料(告示の注)で確認できる、歯管を算定した月に同月算定できない主なものは次のとおりです。
周術期等口腔機能管理料、回復期等口腔機能管理料、歯科特定疾患療養管理料、歯科疾患在宅療養管理料、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、歯科矯正管理料などが、歯管と同月には算定できない管理料として挙げられています。これらは、いずれも「継続的な口腔管理」という性格が歯管と重なるため、同じ月に重ねて算定することはできない、という整理です。
一方で、歯科衛生実地指導料や歯周病安定期治療(SPT)、歯周病重症化予防治療などは、歯管の注では同月算定を制限する対象として列挙されていません。個々の算定要件は各区分で確認が必要ですが、少なくとも歯管の側の規定では、これらとの同月算定を一律に妨げてはいないことになります。併算定を考えるときは、歯管側の制限と、相手側の管理料・処置の算定要件の両方を確認するのが確実です。
令和8年度改定での変更点 ― 一律90点への統一と説明要件の明記
令和8年度診療報酬改定では、歯科疾患管理料についていくつかの見直しが行われました。
まず点数です。従来は初診月の点数が低く設定されていましたが、その減額が廃止され、初診月・再診月とも一律90点に統一されました。初診の月かどうかで点数が変わらなくなったことで、算定の考え方がシンプルになっています。
次に、算定要件への「継続的な管理の必要性についての説明」の明記です。前述のとおり、患者に対して継続的な管理がなぜ必要なのかを説明することが、留意事項にはっきりと位置づけられました。あわせて、口腔機能管理料の再編(小児口腔機能管理料、50歳以上を対象とする口腔機能管理料などの整理)も同時に行われており、口腔機能への対応と歯科疾患の管理が、それぞれの区分として整理された形です。これらの改定は令和8年6月1日から適用されています。
院内掲示との関係 ― 歯管の趣旨は掲示で情報提供を
歯科疾患管理料には、掲示にかかわる規定もあります。留意事項では、歯科疾患管理料を算定する保険医療機関は、歯管の趣旨および内容について、院内掲示により患者に対して情報提供を行うよう努める、とされています。義務ではなく努力義務ですが、算定する以上は「どういう管理料なのか」を患者にわかる形で示しておくことが望ましい、という位置づけです。
令和6年度改定で原則義務化されたWeb掲示義務(自院のホームページを持つ医療機関が、院内掲示事項をウェブサイトにも掲載する義務)とあわせて考えると、算定している加算・管理料の内容を院内とWebの両方でそろえておくことが、適時調査や個別指導での指摘リスクを避けるうえでも大切になります。歯科で掲示が必要な項目の全体像は

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まとめ ― 歯科疾患管理料で押さえる要点
歯科疾患管理料(歯管)は、継続的な管理を必要とする歯科疾患の患者を、口腔を一単位としてとらえて継続管理する、歯科診療所の基本的な管理料です。点数は一律90点、算定単位は1口腔単位で月1回。1回目は管理計画を作成・説明し、2回目以降は翌月以降に計画に基づく継続管理を行って算定します。
令和8年度改定では、初診月の減額が廃止されて一律90点に統一され、算定要件に「継続的な管理の必要性についての説明」が明記されました(令和8年6月1日適用)。長期管理加算は6月を超える管理で算定し、口腔管理体制強化加算(口管強)の届出があればイの120点、なければロの100点と、施設基準で点数が分かれます。周術期等口腔機能管理料や歯科特定疾患療養管理料などとは同月算定ができない点も押さえておきましょう。あわせて、歯管の趣旨は院内掲示で情報提供に努めることとされており、算定内容を院内・Web掲示でそろえておくと安心です。長期管理加算のイに関わる口管強の要件は

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出典・参考
一次資料(厚生労働省・厚生局・支払基金 等)
- 厚生労働省「歯科診療報酬点数表に関する事項」(令和8年3月5日 保医発0305第6号 別添2、B000-4 歯科疾患管理料の留意事項) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 東海北陸厚生局「令和8年度診療報酬改定に係る告示(別表第二 歯科診療報酬点数表、B000-4 歯科疾患管理料)」 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000433602.pdf
二次資料(業界誌・専門サイト 等)
- ドクセル「令和8年度改定 歯科疾患管理料・口腔機能管理料の3つの変更点を図解」 https://docswell.com/s/daitoku0110/ZN71YQ-R8-dental-management-fee




