【令和8年6月】在総管・施設総管の注16減算と様式19報告|届出済みでも要確認

在宅時医学総合管理料(在総管)と施設入居時等医学総合管理料(施設総管)を算定している医療機関へ。「施設基準の届出はもう済んでいるから大丈夫」——そう考えていると、令和8年6月から知らないうちに減算、さらに8月には報告漏れ、という事態が起こりかねません。
令和8年5月22日付で公表された疑義解釈(その6)の問15が、この2つの管理料に新しく関わる「注16」という基準と、6月・8月にやるべきことを整理しました。本記事では、一次資料をもとに「注16の基準とは何か」「減算とは具体的に何が起きるのか」「6月と8月に何を確認・報告すべきか」を解説します。
何が起きたのか|疑義解釈その6 問15の要点
まず事実関係から。令和8年5月22日、厚生労働省保険局医療課が「疑義解釈資料の送付について(その6)」を事務連絡として発出しました(同月21日付の版は廃止され、22日版が最新です)。疑義解釈とは、改定後の制度運用について厚労省がQ&A形式で示す通知のことです。
その別添1・問15が、在総管・施設総管を扱っています。要点は次の3つです。
- 改定後の施設基準を、改めて届け出る必要はない(注16の基準に「該当しない」場合のみ届け出る)
- ただし令和8年8月には、在総管・施設総管を届け出ているすべての医療機関が、注16の「厚生労働大臣が定める基準」に該当することを確認し、別添2の様式19で地方厚生(支)局長に報告する必要がある
- 注16の基準に該当しない場合は、令和8年6月から減算が適用される。だから基準への該当性は早期に確認しておくこと
根拠は、令和8年3月5日付の保医発0305第8号(特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)別添1・第15の5の(3)です。「届出は不要、でも確認と報告は必須」——ここが混同しやすい最大のポイントです。
注16の「厚生労働大臣が定める基準」とは
令和8年度改定で、在総管には「注16」という規定が加わりました。ざっくり言うと、月2回以上の訪問診療を行う患者のうち、重症度の高い患者が一定割合を占めていることを求めるものです。施設総管も、注5でこの注16を準用します。
具体的な基準は、次のいずれかを満たすことです(地方厚生局が公表している令和8年度版の様式19に、計算欄として明記されています)。
- 直近3か月において、在宅患者訪問診療料を月2回以上算定している患者の「延べ診療月数」が30月未満であること
- 延べ診療月数が30月以上の場合は、重症患者等(別表第8の2に該当する患者と、包括的支援加算の対象患者)の割合が20%(2割)以上であること
延べ診療月数とは、患者ごとの算定月数を合計した数のことです(単位は「人」ではなく「月」)。つまり訪問診療の規模が小さい医療機関(延べ30月未満)は自動的に基準を満たし、規模が大きい医療機関は「重症患者が2割以上いるか」が問われる、という構造になっています。
この基準の根拠告示は「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第71号)」で、令和8年6月1日から適用されます。なお該当性は、毎年2月・5月・8月・11月に確認することとされています。
「減算」の正体|月2回区分から月1回区分への引き下げ
ここで注意したいのが、「減算」という言葉の中身です。疑義解釈は便宜上「減算」と表現していますが、実際には「所定点数の○%引き」という一律カットではありません。
注16の基準を満たさない場合に起きるのは、月2回以上の訪問診療を行っていても、点数は月1回訪問診療の区分で算定する、という「算定区分の引き下げ」です。月2回区分と月1回区分には大きな点数差があります。たとえば機能強化型在宅療養支援診療所(病床あり)が単一建物で1人の患者を診ている場合、月2回以上なら4,485点、月1回なら2,745点です(単一建物の人数区分・施設区分によって点数は変わります)。
つまり「減算額」は施設区分や患者数によって変わり、影響の大きさも医療機関ごとに違います。だからこそ、自院が基準に該当するかどうかの確認が重要になります。
影響を受けるのはどんな医療機関か
注16が関わるのは、在総管・施設総管を「届け出て算定しているすべての医療機関」です。在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)かどうか、機能強化型かどうかを問いません。
特に注意が必要なのは、月2回以上の訪問診療を一定規模で行っている医療機関です。延べ診療月数が30月以上になると重症患者割合20%の判定が必要になり、ここを下回ると6月から月1回区分での算定になります。在宅医療を主力にしている医療機関ほど、影響額が大きくなりやすいといえます。
逆に、訪問診療の規模が小さい(延べ30月未満の)医療機関は、重症割合の計算を待たずに基準を満たします。ただし「自院が30月未満である」こと自体は、確認しておく必要があります。
令和8年6月までにやること・8月にやること
疑義解釈その6 問15を踏まえると、やるべきことは時期で分かれます。
6月までに(減算を避けるため)やること。
- 直近3か月の、在宅患者訪問診療料を月2回以上算定している患者の延べ診療月数を集計する
- 30月以上なら、重症患者等(別表第8の2・包括的支援加算の対象)の割合が20%以上かを確認する
- どちらかを満たせば基準クリア。満たさない場合は、6月から月1回区分での算定になることを織り込んでおく
8月に(全届出機関で共通の報告)やること。
- 注16の基準に該当することを改めて確認する
- 別添2の様式19(令和8年度改定対応版)に必要事項を記入し、地方厚生(支)局長へ報告する
様式19は、地方厚生局のサイトで令和8年度版が公開されています。よく似た名称の「様式19の2」は別の規定(注14・単一建物で1日10人以上などに関わる減算)に使う書類なので、取り違えに注意してください。判断に迷う点は、所管の地方厚生局に確認するのが確実です。
在宅医療の関連改定論点もあわせて確認
注16は、令和8年度改定で動いた在宅医療まわりの基準のひとつです。重症患者割合の考え方や、改定後に出た訂正・緩和とあわせて押さえておくと、自院の状況を整理しやすくなります。
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まとめ|届出して終わり、ではない
- 在総管・施設総管には令和8年度改定で「注16」が加わり、基準に該当しないと令和8年6月から月1回区分(実質的な減算)での算定になる
- 注16の基準は「延べ診療月数30月未満」または「30月以上なら重症患者等の割合20%以上」
- 改めての届出は不要だが、令和8年8月に全届出機関が様式19で地方厚生(支)局長へ報告する必要がある
- 「届出は済んでいる」と安心せず、6月の減算に間に合うよう、いまのうちに該当性を確認しておくのが安全
施設基準は、届け出て終わりではありません。改定のたびに該当性を確認し、必要な報告と院内・Web掲示まで整合させ続けることが求められます。注16のように「届出は不要でも確認・報告は必須」というケースは見落とされやすいので、改定後のチェックリストに加えておくとよいでしょう。
出典・参考
一次資料(厚生労働省・厚生局 等)
- 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その6)」(令和8年5月22日 保険局医療課事務連絡/別添1 問15) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001703573.pdf
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(関係法令・通知等)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 個別改定項目(在宅医療の評価・注16の見直しに関する説明資料) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686053.pdf
- 近畿厚生局「令和8年度 施設基準届出添付書類(様式19|在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料)」 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/r8-t19.pdf
二次資料(業界誌・専門サイト)
- 佐々木総研グループ「令和8年度診療報酬改定~在宅医療の主な変更点」(在総管・施設総管の重症患者割合20%要件を解説) https://www.sasakigp.co.jp/column/10029333
- note(K.Higuchi|診療情報管理士)「診療報酬改定2026 短冊解説 Vol.3(在宅医療・訪問看護)ー施設基準」 https://note.com/pf_bridge/n/n09d17803f989
